2.8.5 色空間の構造体

 色空間(color spaceは、立方的に記述される色の空間である。カラースペースともいう。色を秩序立てて配列する形式であり、色を座標で指示できる。色の構成方法は多様であり、色の見え方には観察者同士の差異もあることから、色を定量的に表すには、幾つかの規約を設けることが要請される。また、色空間が表現できる色の範囲を色域という。色空間は3種類か4種類の数値を組み合わせることが多い。色空間が数値による場合、その変数はチャンネルと呼ばれる。

色空間の形状はその種類に応じ、円柱や円錐、多角錐、球などの幾何形体として説明され、多様である。

色を指定するにはColor構造体を使っている。標準の色は、Color構造体や、SystemColorsクラスのプロパティに定義されている。任意の色を指定するときに、このクラスを利用する。

Fig1_2_8_6

 色域(gamut, color gamutは、コンピュータグラフィックスや写真などでの色のサブセットである。特定の色空間や特定の出力機器など、与えられた状況で正確に表現できる色のサブセットを指すことが多い。また、特定の画像に使われている色の完全なセットを指すこともある。この場合、写真をデジタイズし、デジタイズした画像を別の色空間に変換したり、固有の色域を持つ出力機器を使って出力したりすると、オリジナルの持っていた色はその過程で失われることがある。

・色域の表現

Fig1_2_8_7色域は右図左側で示すようにCIE 1931 色度ダイアグラム内の領域として表現することが多く、曲線の境界線は単色を表している。一般に色の再現には三原色を使うことが多いので、色域は三角形の領域となっていることが多い。

しかし、実際の色域は明るさも関係する。そのため完全な色域は、右図右側のように3次元空間で表現しなければならない。

-物体表面

20世紀初めごろ、色を制御可能な形で記述する方法が産業界で必要とされるようになり、光のスペクトルの測定が可能となったことで色を数学的に表現する研究が行われるようになった。ドイツの化学者ヴィルヘルム・オストヴァルトは最適色 (optimal colors) の考え方を提唱した。エルビン・シュレーディンガー1919年の論文 Theorie der Pigmente von größter Leuchtkraft(高輝度顔料について)で、最も飽和した色は可視スペクトル上のゼロまたは完全な反射がもたらす刺激によって生成されるとした(つまり、反射スペクトルはゼロと100%の間で高々2回遷移する必要がある)。したがって、2種類の最適色スペクトルが考えられる。右の図にあるようにスペクトルの両端はゼロで途中に1になる部分がある場合と、一方の端では1でもう一方の端でゼロとなる場合である。前者はスペクトル色のような色となり、CIE xy 色度ダイアグラムにおける馬蹄形部分に大まかに対応する。後者は同じダイアグラムの直線部分に近い色となり、だいたいマゼンタ系の色になる。シュレーディンガーの業績は David MacAdam Siegfried Rösch が受け継ぎ、さらに発展させた。MacAdamは、世界で初めて CIE 1931 色空間に明るさを Y = 10 から 95 まで10単位で設定し、最適色の立体の正確な位置を計算した。これにより、実用的な精度で最適色の立体を描けるようになった。この業績により、最適色立体の境界線を MacAdam limit と呼ぶようになった。今日では、効率的アルゴリズムで実用的な時間内(最近のコンピュータでは1時間程度)に高精度に境界を計算できる(明るさのレベル毎に数百ポイント。MacAdamは明るさレベル毎に12ポイントを計算)。MacAdam limit は最も飽和した(最適な)色が対応する境界線であり、黄色以外の単色に近い色は輝度が低いところにあることを示していた。黄色の輝度が高いのは、スペクトルの赤から緑までの長い部分を1とすることで単色の黄色に非常に近い色になるためである。

-光源

加法混合による表現では明るさを表すために光源が必須であり、一般に単色に近くないものが使われる。すなわち、多くの光源の色域は純粋な単色(単波長)の光を作り出すことが難しいため、このようになっていると理解できる。技術的に最良の(ほぼ)単色の光源はレーザーだが、高価であり多くの場合現実的でない(ただし、レーザー技術の進歩によって低価格化が進んでおり、色再現の光源としても利用が始まっている)。レーザー以外では、多くのシステムは多少大ざっぱな近似で高飽和色を表現しており、必要な色以外の波長の光も含んでいる。これは一部の色相で顕著に現れることがある。

加法混合を使うシステムでは、色域はおおよそ色相飽和平面内の凸多角形となる。この多角形の頂点がシステムが生成できる最も飽和した色である。減法混合の場合、色域はもっと不規則な形になる。

・補間方法

目標値(または指令値)は、通常は離散的で不連続な点で与えられるため、点と点の間を結ぶよう補間する必要がある。この連続する離散点を補間する方法として、Bスプライン曲線(B-splineを用いたBスプライン補間がある。

また、同様の補間方法としてベジエ曲線(Bézier Curve、ベジェ曲線ともいうを用いたベジエ補間によるスムーズな軌跡を生成する手法もある。

Bスプライン曲線(またはB-スプライン曲線)は、離散的な指令値(制御点)についてノットベクトルを用いて定義される滑らかな曲線である。

Fig1_2_8_8
このBスプライン曲線は、コンピュータグラフィックスのエリアで広く用いられている。

特徴としては、

-制御点の一部を変更しても全体に影響が及ばない

-生成された曲線は必ずしも制御点を通るわけではない

-曲率が連続である

という点があります。

B-スプライン(B-spline)の”B””Basis”の略である。

また、ここでいう補間とは、近似色の設定画像で、隣り合うドットの色の数値が極端に違う場合、全体の傾向から推測して、近似する色を補うことで、スキャナーやデジタルカメラなどで用いられる技術をいい、グラフを作成する機能のひとつでもある。グラフのもととなるデータが欠けている際、その前後のデータから欠けているデータの値を推測し、自動的に補う。折れ線グラフやレーダーチャートなどで利用できる。

Fig1_2_8_9

ベジエ曲線を用いることで、離散的な点を滑らかに補間することができる。このベジエ曲線は、Bスプライン曲線の特殊なケースである。このベジエ曲線は、Bスプライン曲線と同様にコンピュータグラフィックスのエリアで広く用いられている。

特徴としては、

-始点と終点を必ず通る

-その他の制御点は基本的には通らない

-曲率を制御し易い

という点がある。また、このベジエ曲線はBスプライン曲線のパラメーターを制限すると作成することが出来るため、ベジエ曲線はBスプライン曲線の特殊な場合という関係性がある。

このように、ベジエ曲線は、N個の離散的な指令点から得られるN-1次の滑らかな曲線といえる。滑らかな曲線を容易に描くことが可能なため、コンピュータグラフィックス分野で広く用いられている。このベジエ曲線は、Bスプライン曲線のパラメーターを制限することで作成が出来るため、ベジエ曲線はBスプライン曲線の特殊な場合という関係性がある。



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