2.8 色空間

 色空間は、立方的に記述されるの空間である。色を秩序立てて配列する形式であり、色を座標で指示出来る。色の構成方法は多様であり、色の見え方には観察者同士の差異もあることから、色を定量的に表すには、幾つかの規約を設けることが要請される。英語のColor Spaceであるから、カラースペースともいう。また、色空間が表現できる色の範囲を色域という。色空間は3種類か4種類の数値を組み合わせることが多い。色空間が数値による場合、その変数はチャンネルと呼ばれる。

色空間の形状はその種類に応じ、円柱や円錐、多角錐、球などの幾何形体として説明され、多様である。

Fig1_2_8_1

2.8.1 表色系

表色系は心理的概念あるいは心理物理的概念に従い、色を定量的に表す体系である。通常は3つの方向性を具える空間で表現され、色空間を構成する。

混色系(color mixing system)とは色を心理物理量と捉え色刺激の特性によって現すものである。数値として伝達する場合に適している。

顕色系(color appearance system)は、色を色の3つの特徴に従って配列して、その間隔を調整し整合性を高め、尺度と共に差し出すものである。後述のマンセル表色系やNCSが代表的な例である。

色の具現化のガイドが厳格な色体系は、色を直接作り出す場面で用いられることが多く、そうでない色空間は、色を情報として伝達する場面で用いられること場合が多い。

数学的には3つの変数があれば、すべての色を表現できると言える。しかし、すべての色を表示できる必要がない状況や、そのほか実用の便宜のために、2変数以下、あるいは4変数以上を用いる色空間もある。また変数の取り方もさまざまなものがあり、目的に応じて多種多様な規格が存在する。計算によってある色空間から別の色空間への変換は行えるが、変換後の色空間で表現できない色の情報は失われてしまう。また、その計算はふつう不完全である。色を扱うにあたっては、なるべく色空間を統一して作業することが求められる。なお、色空間にはカラープロファイルとして記録可能な色空間 (RGB,RGBA, YCbCr, CMYK, Lab color) と記録できない色空間がある。