2.2.3 光の三原色
人間の視覚は主に赤(red)・緑(green)・青(blue)の各色の光に強く反応する色覚受容体で構成され、これらの組み合わせとして様々な色を知覚している。この3色を「光の三原色」と呼び、各色の頭文字を取って「RGB」(Red-Green-Blue)という略号で表される。
画面や照明のような発光体の色はこの三色の組み合わせにより表現される。強度を高めるほど色が明るくなっていき、三色を最大の強度で足し合わせると白色となる。このような混色系を「加法混色」という。
光の三原色(加法混色)の混合形式は、下図の通りである。
つまり、加法混色には「同時」「継時」「併置」(並置)の3つがあり、いずれかの方法によって色を混合して、各色を生成している。
波長の異なる 2種あるいは 3種の光を同時に(あるいは,短い時間間隔で交互に)網膜に与えることによって,任意の色覚を生じさせることを混色という。例えば、589nmの光によって起こる黄色に対して、これと同じに見えるような色を、671nmの赤の光と 536nmの緑の光とを一定の割合で混合することによってつくることができる。このような混色は加法混色と呼ばれ、グラスマンの法則が成り立つ。すなわち、一般に3つの互いに独立した、任意の色刺激 R,G,B(→RGB)の加法混色によって、任意の色刺激 Cが得られる。この関係を色方程式で表すと,C≡rR+gG+bBとなる。ただし、r,g,bはそれぞれの色刺激の量である。なお、R,G,Bをただ加え合わせただけでは、どのようにしても Cと等しくすることができない場合には,Cの方に Bを b量加えて、Rと Gのみの混合で C+bB≡rR+gGという関係を成立させることができる。他方、色フィルタないしは染料や顔料のような、スペクトルを選択的に吸収する媒質を重ね合わせることによって、透過光が別の色に見えるのは、減法混色に基づく現象である。絵具の混合はその一例である。

2つ以上のライトを重ね合わせると、重なった部分は両方の光が当たるので明るくなる。これを光の異なるライトで行うと、その部分は元の色よりも明るい別の色となる。このような色光による混色を同時加法混色という。
混色には、元になる色があり、同時加法混色では、加法混色の三原色といい、以下の3色(ライトの色)となる。
◎ R (赤:レッド)
◎ G (緑:グリーン)
◎ B (青:ブルー)
この3色は、それぞれ他の2色を混色してもつくれない色で加法混色では、この3色を元にして、3色の混合量を調節しながら様々な色を作る。
・継時混色(回転混色)
玩具のコマに複数の色を塗って回転させると、その中間の色に見える。例えば、白と黒の場合には、灰色に見え、黄と赤の場合には橙色に見える。図のようにR,B,Yの3色を混合すると肌色となる。また、塗る色の面積比を変えると、その比に応じて色が変化して見える。
人間は、回転するコマを網膜上に結像して見ている。網膜上の特定の位置(錐体)から回転するコマを見ると、塗り分けられた色の各エリアからの色光が時間的に交互に入射してくることになる。この入れ替わりの速度がゆっくりであれば、ヒトはそれぞれの色が交互に入れ替わりながら回転していることを認識できる。しかし、回転が速くなると、錐体の応答速度が追いつかなくなってしまう。その結果、混合(合成)された色が生成される。
コマに塗る色の面積比を変えれば、錐体の応答時間特性(持続時間)も変わるので、混色の結果は2色の中間で面積比に応じて変化します。
色ゴマ以外にも、色分けした風車(かざぐるま)でもこのような継時混色が見られる。
・併置混色(並置混色)
例えば右図のようなR,G,Bの三原色を考えてみる。画素が粗いときには網膜上でRのエリアとGのエリアおよびBのエリアの結像位置が明らかに異なるため、当然別々の色として認識される。しかし、画素をどんどん細かくしていけば、ついには画素が区別できなくなり、R,G,Bが渾然一体となって白色に見えてくる。網膜上での錐体の分布状態で決まる位置的分解能(識別限界)を超える細かいモザイク状の複数色に対しては、それらの色の中間の色として認識される訳で、この中間混色を並置混色(併置混色)と呼んでいる。
-並置混色の例( 1 )・・・・カラーテレビやパソコンディスプレイ
我々の身の周りには、例えば、カラーテレビやパソコンのディスプレイなど、並置混色を応用したものが多く使えあれている。これらの画面は、青 ( B ) 、緑 ( G ) 、赤 ( R ) の極めて細かい画素が規則的配列で敷き詰められている。画面上で青に表示された領域は青 ( B ) の画素のみが光っており、緑 ( G ) と赤 ( R ) の画素は消えている。同様に、緑に表示されたエリアは緑 ( G ) の画素だけ、赤に表示されたエリアは赤 ( R ) の画素だけが光っている。また、黄色に表示されるエリアは、緑 ( G ) と赤 ( R ) の画素が光っており、青 ( B ) の画素は消えている ( Y = G + R ) 。
同様に、マゼンタ色に表示されるエリアは、赤 ( R ) と青 ( B ) の画素が光っており、緑 ( G ) の画素は消えている ( M = R + B ) 。
シアン色のエリアは、青 ( B ) と緑 ( G ) の画素が光っており、赤 ( R ) の画素は消えている( C = B + G ) 。
また、白に表示されるエリアは、青 ( B ) 、緑 ( G ) 、赤 ( R ) の全ての画素がすべて光っている ( W = B + G + R ) 。
各画素 ( B 、G 、R ) の発光強度の比率を変えれば、様々な色が作り出せる仕組みになっている。
-並置混色の例 ( 2 ) ・・・・織物
衣服などの布地で、異なる色の糸を縦糸と横糸にして織り上げた布は、遠くから見ると両者の色が混ざり合った中間の色に見える。
-並置混色の例 ( 3 ) ・・・・点描画
19 世紀に活躍した新印象派の画家、ジョルジュ・スーラ Georges Seurat ( 1859 ~ 1891 ) や ポール・シニヤック Paul Signac ( 1863 ~ 1935 ) が用いた「点描画」という描画手法は、並置混色を絵画に応用したものである。画面全体に亘って何種類かの細かい色点を敷き詰めて絵を構成し、個々の色点の組合せとそれらの密度を変えることによって中間の色調を作り出している。