
つまり、明暗度を0~255(!~256と等価)で表現した特性曲線といえる。この曲線を見るとフィルム時代によく見かけたS字カーブとよく似ている。これはまた、入力が0~255まで比例して変化しても記録される明るさはs字カーブの曲線になるということである。当然のことながら明るい方(ハイライト、255に近い領域)は光のサチレーション(飽和)するので漸減(寝た形)してしまう(視覚でも同じ現象となる)。反対に暗い方(シャドウ、0に近い領域)は光のアテネーション(減衰)するのでやはり漸減(寝た形)してしまう。
ここで重要なことが2つある。
1つ目は、図にみられる「18%グレー」の位置である。
18%グレー濃度は、もともと人間の眼は明るさに対して感度を持っており光学的に比較され、明るい(ハイライト)~暗い(シャドウ)になるちょうど中間(50%濃度)になる明るさ(グレー)と等価となっている。また、写真撮影の際も、身の回りの物体の明るさを平均すると濃度18%のグレー(グレーチャート上では見た目に結構暗い色になっている)になるといわれており、露出計の基準値として用いられている。
マクベスカラーチャートやグレースケールなど18%グレー濃度を含んだものを撮影時に映し込んでさえおけば、RAWデータ現像を行う際に適正なカラーバランスが得られるので、撮影時の色再現手段として有効に活用できる。
2つ目は、撮影時に濃度の目標値(基準値とバラツキ補正値)を設定するのに用いる。
18%グレーは、あらゆる撮影器材の基準色となっており、撮影された画像のニュートラル値を得るために用いられる。つまり、カメラで用いる露出計は内蔵、外付を問わず、基本的には測光される明るさが18%グレーを基準にして、適正露出を見極める基準としている。そのため白いドレスなど明るい場面では、標準値よりも暗く設定されるので、白いドレスを白く写すためにはプラス補正が必要となる。逆に黒が多い場面では、標準値よりも明るく設定されるので、マイナス補正をしないと締まった黒色は表現できない。これを数的に表すと「肩部」で240程度(ハイライトの制限目標)、「足部」で10程度(シャドウの制限目標)となる。ただし、目標値は絶対値ではないので、経験値から多少ずらしても構わない。つまり、撮影時に基準の黒より黒い色があったり、基準の白より白い色があった場合(暗い舞台で白鳥の湖を踊る白いドレスを着たバレリーナにように)、それに対応できる(色潰れながない)ように余裕を持つように設定することである。
注意すべきことは、撮影時に白(純白かそれに近い白)が入っているカラーチャート(グレースケールでも良い)を用意してホワイトバランスを取ることが重要なことは言うまでもないが、グレーバランスは撮影後に調整する色補正(特にRAW現像時)の鉄則であるということである。よくある間違いで、ホワイトバランス(撮影前に実施)とグレーバランス(撮影後に実施)を混同して適用されていることである。(どのタイミングでやるかをよく考えてから実施すべき)
また、撮影環境に対して余裕のない極端な値に設定すると「黒潰れ」や「白飛び」の原因になるので十分な余裕を取って滑らかな階調表現ができるようにすることが肝要である。