これまでも述べたように2つの色空間があって上図上側に図示したように、例えば、モニタの色空間(RGB)からプリンタの色空間(CMY)へ色変換しようとすると、プリンタの色空間はモニタの色空間の全色域を包含していないので当然元の色は色域からはみ出してしまう。これでは元の色を表現することができなくなるために、モニタの色域内の最も近似した色に置換しなければならない。つまり、存在しない色を何とかレンダリングインテントを適用して階調が崩れないように色変換を行う。このときCIEで4つの方法を推奨しているので、最も相応しい色を選択すればよい。
次に、色変換で問題になることは上図下側に図示したように同じRGB表色系でもsRGBとAdobeRGBでは同じGreenでも色が違ってしまう。なぜそうなるかというと、sRGBとAdobeRGBでは色域が違うからで、
(R,G,B)=(0,255,0)
の値でもxyY色度図上の色を置換すると異なった色に変換されてしまう。
従って、色空間を変換する場合は、あらかじめ色調表現が好ましい方向でなされることが非常に重要なこととなる。(色変換に失敗するケースでは、このことを念頭に置いていないか、忘れている場合が多い)
一時、写真業界ではAdobeRGBが多く採用されていたが、現在ではsRGBを採用することが多くなってきた。(これは、単に色空間が広いから良いとするのではなく、色管理全体の関わり合いの中から必然的に醸成されたもである、ということを肝に銘じておくべきである)
言いたいことは、色空間の生い立ちを正しく見極め、それを画像表現する際に最適に適合させることである。