本シリーズは7回にわたって「数学的な美」について掲載します。
美の概念
出典:オープン百科事典Wikipedia

数学的な美(mathematical beauty)とは、数学に関する審美的・美学的な意識・意義・側面を様々な観点から取り上げる概念である。 数学的な美 (mathematical beauty) と数学の美 (beauty in mathematics) はしばしば同義に扱われるかもしれないが、後者が数学そのものの審美性の概念であるのに対して前者は数学を含む全ての事象の数学的側面に注目し、かつ後者を包含しうることがそれらの違いである。従って本文では前者の意味に基づいて論じる。
多くの数学者は彼らの仕事、一般的には数学そのものから美学的な喜びを覚えている。 彼らは数学(あるいは少なくとも数学のある種の側面)を美として記述することにより、この喜びを表現している。 数学者は芸術の一形態あるいは少なくとも創造的な行動として数学を表現している。 このことはしばしば音楽や詩を対照として比較される。 数学者バートランド・ラッセルは数学的な美に関する彼の印象を次のように表現した。
それを正しく考察された数学にあるものは真実のみではない。そこには至高の美、すなわち、彫刻が持つような冷淡で厳粛な美、人間の弱い性質が惹き付けられることなく、絵画や音楽の華麗な罠なしに、依然として崇高で純粋な、そして偉大な芸術のみが見せることができる強固な完成度の有能性を備えている。真の歓喜の精神は、高揚、人類以上のものであるという感覚、最も卓越した優越性の試金石であり、詩がそうであるように確実に数学において見つかるものだ。
ハンガリーの数学者ポール・エルデシュは数学の言語での表現不可能性(英語版)に関する彼の見解を次のような言葉で表現した。
「数は何故美しいのか。それはベートーベンの交響曲第九番がなぜ美しいのかと訊ねるようなものだ。君がその答を知らないのであれば、他の誰も答えることはできない。私は数が美しいということを知っている。もし数が美しくないのなら、美しいものなど何も無い。」