
一般に「黒」と言ってもいろいろとあるが、意味づけや表現内容が多岐に渡っていて分かり難い面がある。
まず、光源色で言えば、RGB全てを混合すると白になり、どんな色を混ぜ合わせても黒にならない。(加算なので色を混ぜると白に近づく)では、どうするかというと、RGB全ての光源を遮断した時の色となる。(最も顕著で分かり易いのがブラックホールである。何せ、すべての光を吸い込んで光の反射がゼロだからである)
一方、物体色は「色フィルタ」と「色材」(絵の具やインクなど)によってCMY全てを混合すると黒なる。ところがこの黒は混合方法によって表現方法が異なる。つまり、色フィルタの場合の黒は、コンポジット(複数のものを組み合わせたもの)の黒でBK(Bk)で表現するが、色材の場合の黒は墨版のKで表現する。このKはKey Plateの略で画像の輪郭など細部を表現するために用いられた印刷板のことをいう。よくある間違いで、「Black」末尾の「K」や「くろ」の「K」と解釈されたことである。「Black」の頭文字の「B」にすると英語の「Blue」や「Brown」と紛らわしいので末尾の「K」にしたと間違った説が普及してしまったことによる誤謬である。また、「くろ、Kuro」の「K」も間違いである。

図2に示すように、通常、色は「色光」であれ「色材」であれ、三原色を基調として8ビットなどの階調で表現される(色深度)。当然のことながら色深度の総数が8ビット、16ビット、24ビットとビット数が多ければ多いほど色の表現できる範囲は多くなる。
だからと言ってむやみに色深度を増やしても意味がない。その理由は人間工学的な見地から眼の解像度(色の識別能力)は約700万画素から多くても1,000万画素と言われているので、フルカラーで約1,677万色あれば十分に足りるのである。だからむしろRGBやCMYの各色が8ビット(256階調)となっている根拠にもなっている。
当然のことながら色深度は使い方によって適切な画像表現が得られる色構成を選べば良く、効率良く運用することが肝心である。
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、色深度とは、「コンピュータグラフィックスにおける概念で、カラーやグレースケールのビットマップ画像でのピクセル毎のビット数を意味する。bits per pixel(bpp)という単位で、グラフィックス機器のスペック表記などで使われる。色深度は色表現の1つの側面のみを表しており、表現可能な色の多さを表している。もう1つの側面として色域をどれだけ広範囲に表現できるかという観点もある。色深度と色域によって色の符号化仕様が定義され、色符号の値と色空間における位置が対応付けられる。」である。

階調とは、色や明るさの濃淡の段階数をいう。ディスプレイやプリンタなどの画質を決める要素のひとつで、色や明るさの表現力の単位として使われる。階調が多ければ多いほど、色や明るさの変化をなめらかなグラデーションで表現でき、自然に近い描画ができる。階調は数値で表され、2階調や16階調、256階調というように表現する。
白黒の2階調では、濃淡を白と黒の2段階で表現する。勿論、白から黒に至る階調表現も可能である。一方、カラー画像では、光の三原色のRGBのうち、1つの色についての階調の精度を示す。たとえば、三原色がそれぞれ16階調の場合、表現できる色数は、16の3乗の4096色、256階調なら256の3乗で約1677万色になる。