


アナログとデジタルの違いは何かというと、IT用語辞典によると(図1参照)
アナログ:
アナログとは、機械で情報を扱う際の表現方法の1つで、情報を電圧の変化など連続的な物理量の変化に対応付けて表現し、保存・伝送する方式のこと。対義語は「デジタル」(digital)で、情報を離散的な数値で表現し、段階的な物理量として表現する方式を意味する。
アナログで情報を扱う利点として、デジタル化において避けることができない数値化に伴なう誤差が生じないという点がある。情報の発生時点では、それを正確に表現して記録することができる。ただし、保存や伝送、再生、複製に際して劣化やノイズによる影響を受けやすく、変化した情報は復元することができないため、伝送・複製を繰り返したり長年に渡って保存すると内容が変質してしまう。
デジタル:
デジタルとは、機械で情報を扱う際の表現方法の1つで、情報をすべて離散的な数値(整数など)の集合として表現し、明確に区別可能な段階的な物理量に対応させて記憶・伝送する方式のこと。そのようにして表現されたデータを「デジタルデータ」(digital data)という。
特に、コンピュータのようにデータをすべて0と1の組み合わせ(二進数の数値の羅列)に置き換えて、これをスイッチのオン・オフや電圧の高低など二状態の物理量に対応させて保存・伝送する方式のことを意味する場合が多い(理論上は三値以上の系で情報を表現する場合もありうる)。
対義語は「アナログ」(analog)で、情報を連続した物理量に対応付けて表現する方式を意味する。
デジタルで情報を扱う利点として、保存や伝送、再生、複製などを行う際に劣化やノイズの影響を受けにくく、伝送・複製を何度繰り返しても内容が変化しない点や、様々な種類の情報を数値の集合として同じように扱うことができ、保存や伝送の媒体を選ばない点などがある。ただし、すべてを離散量で表現するために数値化に伴う誤差が必ず発生することになる。
アナログは、カラーフィルムで考えると、ハロゲン化銀(粒子)で構成され粒子の大きさは疎らで位置もランダムに配置されている(整列していない)。したがって、粒子に光が当たると酸化して黒化してしまう。この状態は粒子が重なり合っていたり、適度に拡散するので得られる画像は大雑把に認識できるレベルになる。また、フィルムは粒子で構成されるために1粒、2粒・・・というに整数で数えることができる。これはある意味では量子化された状態と同じになるので、デジタル的である言える。
このことを図2で説明すると、
銀塩フィルムは今はやりのデジタル画像に対するアナログの雄として代表的なものであるが、実は銀塩フィルムがデジタルそのものであることはあまり知られていない。
フィルムの表面に塗られた乳剤の中には「ハロゲン化銀」と呼ばれる6角形の結晶が閉じこめられている。このハロゲン化銀結晶に光が当たると銀が生成して黒化し、写真が撮れるのです。 撮影すると被写体の明るい部分では多くの光が、暗い部分では少しの光がこのハロゲン化銀結晶に当たる(2番目)。
ところが、いざ現像すると(3番目)、少ない光しか当たっていない粒子も、多くの光が当たった粒子も、同様に粒子全体が黒化(銀に変わる)してしまいます。つまり現像された後のフィルムは、光が当たった部分の黒(0のレベル)か当たらなかった部分の白(1のレベル)の2種類に分けられる、デジタルそのものなのである。
ではどうしてあの、なだらかな階調がでるのか?というと、小さなハロゲン化銀粒子がたくさん、それもランダムな配置で存在し、光の量が少ない部分と多くの光が当たる部分では、光の当たる粒子と当たらない粒子の比率が違ってくるからである(4番目)。場所によって(当たる光の量によって)黒化する粒子の比率が異なり、マクロに見たときに階調が再現されるのである。
一方、デジタルは、インクジェットプリンタのように面積ないし濃度として捉えられる。
これはインク的による面積効果や試験管にインクを満たしたような状態になり、まさにアナログ的であるといえる。つまり、面積法は用紙の面積に比例して濃度が決まり、濃度法はインクの高さ(深さ)により濃度が決まる。この面積や深さによってデジタル的に濃度差を創り、階調を醸し出している。
アナログとデジタルはこのように双対に状態になっているがいずれも優劣はなく同等とかん考えるべきである。(両者は別物として考えても良い)
余談ではあるが、図1を見るとヨットの人物がアナログではなんとか「人」と認識できるレベルであるが、デジタルではブロック(ノイズぽい)画像的で予断なしでは人物と認識できない。古い話になるが、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した時、撮られた航空写真による機体の尾翼のマークが“JAL”であるとアナログ写真(フィルム使用)を見て分かったことがあり日本航空の機体の特定に役立ったという事例といえよう。また、NHKのデジタルアーカイブはのデータベースを4Kに変換していることから見てもデジタルでは表現できなかった画像データを細部にわたって抽出できる証にもなっている。
<補遺>
近年の映像技術は殆どがデジタル技術で駆逐された感があるが、その前提にはアナログ技術が存在していることを忘れてはならない。
よくデジタルはアナログを凌駕したと言われるが決してそうではないことを理解してほしい。つまり、アナログなくしてデジタルは存在しないといっても過言ではないからである。
例を挙げると、デジタルと言えばパルス波形がその顕著なものである。デジタルでは必須なパルス波形も、波長(周波数)の違うサイン波(アナログ)をいくつも重ね合わせることであのフラットな波形(デジタル)が初めて創出されることになる。
では何故デジタルだけが目立ってしまうのであろうか?
それは何と言ってもコンピュータ技術の開発・発展が挙げられる。そもそもコンピュータはデジット(0,1)をベースにして一瞬にして膨大なデータを創出し、かつ、超迅速な処理スピードで多くのタスクを一度にこなしてしまうのである。
これを映像処理に応用すれば、画像を一瞬にしてデジタル化し、そのデータを専用のレタッチソフトを使って全く恣意的な画像を創造することができる。また、クリエータ達にとってアナログ時代には被写体をフィルムに撮影し、(個人では手の届かない)現像所(DPE)に出さなければ印画画像は得られなかった。もちろん、その間クリエータは露光量や色彩など要望事項を伝えるだけで後は一定の時間待たなければならない。そして出来栄えに対する不安を抱えるのが落ちであった。(できたものに一喜一憂するのみ)
それに比べ、デジタルは撮影現場で撮った画像をその場で見ることが出来、また、編集が必要なら加工(追加、消去、補間、補正など)ができるし、撮り直しもでき、いわば好きなように画像の編集・加工ができるのである。これは、クリエータにとっても大変魅力的なことで、能力があるクリエータ達はデジタル技術を駆使してコンテンツ(作品)を仕上げることが出来るようになった。筆者の偏見かもしれないがこのことが「デジタルはアナログを凌駕した」ということに繋がっているのだと考えている。
デジタルカメラは万能ではない。従って、長所もあるが短所もある。
また、アナログでは経験したことのない問題点やデジタル特有の別の問題点がある。
そのため、デジタルカメラで撮影する際には、これらの特徴を十分に知った上で、なおかつ短所を克服して考えられる改善と工夫をこらすことによって、デジタルカメラの良さを最大限引き出し、最終的には、銀塩写真に限りなく近づけることが目標でもある。
少なくとも、銀塩写真とデジタル写真では、本質的に異なりその差は歴然としたものがあると考えるべきある。例えば、デジタルカメラで画像を撮影する際にアナログにはない4つの大きな問題点(モアレ、フレア、ゴースト、ノイズ)があることを忘れてはならない。
しかしよく考えて欲しいのは、「アナログ」と「デジタル」を比較してどちらが良いかと問われたら答えに窮するはずである。要するに、コンテンツに求められる絶対的なものは、単に機材、測定器、照明器具、スタッフなどで決まると捉えられがちであるが、素材や人的要因を揃えることが究極の目的ではないということである。絶対的に必要なことは顧客要求(自己を含む)を満足させ、完成品の価値が認められるように恣意的なコンテンツを創ることであるから、アナログVSデジタル、高価な機材や測定器、人材などは関係なくどうすれば最小の資源(人、物、金、技術)で目標達成できるかを考えることに尽きる。