2。2.4 印刷における色混合
印刷物をつくるときは、上記のように3色の色材を使用するが、3色ではどうしても色を出せないものが発生する。そこで、墨が加わり、さらに特色という色材が必要になる。これは、あらかじめ色を作成したインクである。金、銀などがその代表である。
最初に印刷は色光の三原色(RGB)ではなく色材の三原色(CMY)を使わなければならいかということである。その理由は、色材のRGBを独立して変化させても単に明暗のみが変化するだけである、通常色の変化を求める場合、図のように、例えばRGB量の変化によって色は明るくなったり暗くなったりする。これらのレベルを適当な量にして混合すればフルカラーの全色を造ることができる。(普通の色の変化)

減色混合では、色フィルタや絵の具など特定の色光を吸収する物質を重ね合わせ、吸収されずに残った光により別の色を得ることである。カラーフィルム、印刷・プリント、水彩画などに利用される。原色には普通シアン(スペクトルの赤部を吸収)、マゼンタ(緑部を吸収)、黄(青紫部を吸収)の3色を使用する。
そもそも減色混合の研究では、RGBを掛け合わせると白くなるという、加色混合がベースとなったのは事実である。逆にいえば、色材は足しても白くならず、黒になってしまう。このことは、たとえRGBインクでも、掛け合わせた途端、理論とは逆方向になることを意味する。つまり、RGBは光をコントロールして得られる色再現法であり、RGBインクは単純に三原色の色味に近いものを色材から選んだに過ぎない。
また、推測であるが、当時の色材では彩度の高いRGBインクは得られなかったであろうことがうかがわれる。そして、得られた近いものの中から、掛け合わせによる色再現を試みたはずで、その際に、掛け合わせたら濁っていくことで相当悩んだと思われる。
その答えは簡単で、人は、物体に与えた光の分光反射を色として認識するためである。
この時、RGBインクでは、単に[C]+[M]で[R]が得られているに過ぎず、結果的にRGB加法混色が成り立っていないことが判る。
つまり、分光反射を用いて色再現をする都合上、絶対的に減法混色に依存する必然性があるわけである。換言するなら、分光反射の結果、網膜上でRGB加法混色による色再現を行う、と言っても過言ではない。そして、黎明期の研究者たちが1800年代後半から1900年代初期に悩んだはるか200年も前に、色の理論は基礎物理学の開祖たちにより光の研究の延長線として研究されており、理論的追求には困らなかった根拠を持ちえていたのである。今日ではRGBの彩度の高い色材が普通に存在し、理論的なものも確立しているため、なぜ色再現法をRGBに統一しないのか?と思われるのも当たり前かもしれないが、どれほど技術が進んでも、物理原則からは逃れられないということが非常に意味があり重要なことである。
では、どうしてインクジェットや一部の高品位印刷でRGBインクを用いるのか?と言う疑問が生じるのではないだろうか。
理論的にはCMYの減法混色でフルカラーが再現されるはずであるが、理想的な色材がない、分光反射率のバランスが取れない、ベースの支持体の影響を受ける、光源の影響を受けるなど、現実的な問題に直面し、理論がそのまま実践できないためである。そこで発生してしまう欠けたる色再現域を補うべく、色材を追加することになった。
この時、特にRGBにこだわる必要はないので、フジカラーなどではフィルムでグリーン色域を2つに分けているし、エプソンでは、RedとOrangeを追加し、CとMのカラーバランスを変えることで対応している。つまり、色域をバランス良く再現することを考え、現存する色材を掛け合わせて、それらを満たせればよい、と言うことになる。
また、それらを掛け合わせた結果は常に真黒(ないし、それより濃度の低い黒)になるので、減法混色といえる。余談であるが、ポジフィルムも液晶モニタも減法混色である。
加法混色法を用いた理想に近い色再現を行えるのは、CRTなどの自己発光型デバイスだけである。また、カラーネガフィルムはシステム上、フィルムの段階ではRGBに近いものとなる。しかし、CMY色再現であることには変わりない。つまり、現像前の段階では感色層となりRGBで感光するが、現像段階では発色層としてCMYの色素がフィルムに定着して残るために、色フィルタとして作用するのでCMY(減法混色)といえるのである。
実際にインキを塗った場合、図のように、光(RGBの白色)がインキRの塗膜を透過した光は反射光となって進むので、元の色Rに同期して目に見える色はR(赤)となる。これはインキのGとBの光が吸
また、例えばインキの赤RとシアンCを重ね塗りした場合は、C=G+Bなので、R+CがRGBの3色の重ね合わせと同じ状態となり、結局RGBのすべてが吸収されて、色光は一切反射されず、従って、真っ暗になり黒にみえることになる。他の色の組み合わせも同様で、発色する色の混色(現職混合)は上図の通りである。