2.4.2 反対色性

赤と青を混ぜると紫になり、赤と緑を混ぜると黄になる。この時、紫には元の赤味も青味もあるが、黄にはそれがない。また、黄と青から白を作る場合も、元の色味がなくなる。このような色味を打ち消しあう性質を反対色性という。

反対色性は、網膜から大脳へ効率的に色情報を伝達しようとするために生じると考えられている。なぜなら、それぞれの色は錐体応答間でも高い相関があるからである。そのため、相関が低くなるよう線形変換し、冗長性を低減している。

反対色

Fig1_2_4_3ある色をずっと見ていると、目にはその色の反対の色として、「反対色」というものが作られる。この反対色は、「補色」ともいわれている。 この画面の左にある赤を30秒くらいじっと見つめてから、白い紙に視線を移す。すると、何やら色が見えてくることが実感できる。それは、何色かというと、青緑が見えたはずである。このような実験をすると、さまざまな色の補色が見つけることができる。

「モナリザの微笑」を描いたレオナルド・ダビンチは、「補色同士はよく調和する」といっている。つまり、デザイン的にいえば、配色賭して都合がよい、というわけである。いろいろな色で試してみると、例えば、刺身の赤に緑の笹がある。これは、お互いによく調和し、さらにお互いを引き立て合う働きをしていることが理解できる。

また、外科医の執刀着が薄い緑から青になっているのは周知の通りであるが、これは、患者の血の色の反対色が目にちらつかないようにするための工夫である。このように、日常何気なく使われている配色には、きちんとした理由があることが多い。

Fig1_2_4_4・見えの現象

-乱反射

 物体の表面がなめらかな面でないとき、その凹凸のために入射した光が、いろいろな方向に反射散乱される現象である。平面のように見える面でも光の波長と同程度の尺度でみると乱雑な凹凸があるために、一方向から光を照射しても乱反射が起って、面上の各点が二次的光源になるので、どの角度からでもその面を見ることができる。

-鏡像

鏡像とは、一般的な意味では、鏡に映った像のことである。この鏡像はまた、数学的意味での鏡像と、光の反射の性質によってつながっている。鏡面が完全に平坦ならば鏡像は元の図形と合同になるが、凹面鏡や凸面鏡のように曲面の場合はその限りではない。

Fig1_2_4_5数学での鏡像は、鏡映とも言う。鏡像も鏡映も2つの点や図形の間の関係を指す。また元の点や図形をその関係にある相手に移す操作(鏡映操作)を指す。その関係にある相手の図形のことをも指すが、この意味では鏡像または鏡像体がよく用いられる。

狭義には、n次元ユークリッド空間にひとつのn-1次元空間(超平面)を定めたとき、ある点をこの超平面に対して対称な点に写像する操作を言う。ここで対称な点とは、この超平面に対する垂線上にあり、垂線と超平面との交点からの距離が等しい2点のことを指す。

また、この操作で互いに移る2点間の関係、つまり超平面に対して対称な点同士の関係をも鏡像、または鏡映という。この意味での鏡映も鏡像も英語では"reflection"であるが、"mirror image"は鏡像関係にある図形のことを指す。

さらに狭義にはn=3の場合のみを指す。

n次元空間での狭義の鏡像同士は合同ではあるが、特定の対称性を持たない限りはn次元空間内での回転と並進だけでは重ね合わすことができない。しかしn+1次元空間内での回転や並進でならば重ね合わすことができる。これはn=2の場合は容易に確かめられる。4次元空間を移動して人の左右が入れ替わったり、体内の分子が対掌体に変換したり、物質が反物質に変換したりする設定はSF作品でよく見られる。

ある図形の全ての点を鏡映した点の集合が自身と完全に一致するような鏡映面が存在するとき、この図形は鏡映対称である(面対称である)といい、この鏡映面をこの図形の対称面と呼ぶ。鏡映対称な図形の任意の面による鏡像体はもちろん、回転と並進により元の図形に重ね合わせることができる。だが、その鏡像体を回転と並進により元の図形に重ね合わせることはできるが鏡映対称ではない図形が存在する。例えば、2回回映軸を持つが対称面は持たない図形がそうである。

-凸レンズによる虚像

 物体から出た光がレンズや反射鏡の光学結像系を通過したのち、発散光線となり,実際には像を結ばず,その光線を逆向きに延長したものが像をつくる場合,これを虚像という。平面鏡の像や,凸面鏡,凹レンズの像,および凸レンズの焦点距離内に物体を置いたときの像は虚像である。

Fig1_2_4_6
  虚像(virtual imageとは、レンズや鏡で屈折、反射された光線が実際には像に集まらないが、光線を逆向きに延長すると集まって一種の像を作ることをいう。光線はまるで虚像から発するように見える。レンズによる正立像や、平面鏡の作る鏡像は虚像である。

転じて、第三者によってつくられた実際とは正反対の姿も指す。 これは、屈折像と間違えやすいので注意を要する。