2.3 色の創生

・自然現象(青空と夕焼け)

 青空夕焼けの発生メカニズムは、レイリー散乱(太陽光が大気に入射して空気分子に衝突するとFig1_2_3_1そこで起こる散乱)によるものである。つまり、大気自身の成分である窒素分子、酸素分子、水蒸気、あるいは大気上層部に存在する小さな塵(エアロゾルと言い、大きさが数 nm~数十 nm)により散乱が生じることによって引き起こされる自然現象である。

微粒子が大きいと重いので、すぐ地上に落下してきてしまい、その大きさになるとレイリー散乱になる。

青空は、太陽の方向はまぶし過ぎるので、太陽から離れた位置を大抵見ることになる。そのため見ている視線方向は、光源である太陽から大きく逸れてしまう。このため、太陽からの直接光は目にほとんど入らず、ほぼ散乱光を見ていることになる。そのために青色の方が強く散乱するから、青く見えるわけである。

ただし、これは大気の厚みがいわば絶妙なために、散乱された青色が生き残っているが、夕焼けのように太陽光が通過してくる大気の距離が長くなると、青色は生き残れなくなる。

Fig1_2_3_2一方、夕焼けについて、これも青空と同様にレイリー散乱である。つまり、地平線付近にいる太陽からの光は、昼間の太陽に比べて、大気を通ってくる距離が格段に長くなる。

そして、散乱は四方八方に光を再放射するので、散乱光がまた別の物体に当たればそこでも散乱されるようになる(多重散乱)。

従って、何度も何度も散乱を繰り返すほど、どこか別の方向へ行ってしまって、目に届く光は減ってしまう。これは波長に関係なく一般的な現象である。つまり、単に光が通ってくる距離が長いか短いかで色が決まっているということである。

さらに、赤色の方が元々の散乱光の強さは青色に比べると1/4程度に弱い(波長が450 nm633 nmの場合)ので、透過しやすく、かつ、散乱され難くなる。

このため、散乱光の減衰の程度は、透過光と同じく赤色の方が小さいことになる。

結果として、青の散乱光と赤の散乱光のどちらが多く目に届くかは、気象条件、太陽の位置、大気中のエアロゾル等の条件で変化する。その場倍でも夕焼けは存在しているので、赤色の散乱光の方がより多く目に届く条件となっていたということになる。

・光の干渉(シャボン玉)

玉虫は光線の具合で緑や紫色に見えることで有名であるが、クワガタやカナブンも玉虫のように綺麗ではないが、光の具合によっては色が変化して見える。 また、シャボン玉も無色の石鹸水なのに虹のような色が見える。

Fig1_2_3_3

 玉虫などの色変化は、層状のクチクラによる多層膜干渉 によって起こるが、シャボン玉のように薄い膜が1枚のときは、膜の表面で反射した光と、膜の下の面で反射した光が干渉して色が出る。この薄い膜が何層にも重なると、更に複雑な色が出る。組織の構造によって出る色なので構造色と呼ばれる。CDDVDの記録面に何種もの色が見えるのも構造色の一種である。

Fig1_2_3_4右図に示すように、シャボン玉のように薄い膜が1枚のとき、薄膜干渉によって膜の表面と下の面で反射した光の経路差は、

2×膜の屈折率×膜の厚さ×COS(光の膜中での傾角)

で求められる。光の膜中での傾角というのは、幕の面に垂直線と膜に進入した光が成す角である。

・虹の発生原理

 雨上がりの空には無数の水滴が浮かんでいる。これらの水滴群に太陽の光(白色光)が入射すると、水滴の表面で屈折現象が起こる。屈折した光は波長によって異なる方向に進行し水滴の内面の別の場所で空気との界面に達し、そこで殆どの成分は鏡面反射される。(一部は界面を通過して空気中へ抜ける)界面で反射した光は進行方向を変えて再び空気との界面に達し、空気中へ屈折して抜け出して行く。つまり、水滴へ入射した太陽光は屈折・反射・屈折という過程を経て空気中へ再放出される。その結果、下図に示すように、例えば可視域短波長成分(紫色に見える)は太陽からの入射光方向に対して約40°の角度で折り返すことになり、可視域長波長成分(赤く見える)は入射光方向に対して約42°の角度で折り返すことになる。このような現象が、空中に浮遊している水滴の全てで同時に生じて、結果的にあの7色の虹が出現する。

Fig1_2_3_5
上述したように、無数の屈折現象を観察する側の眼から見ると、水滴群から眼の方向に向かって降り注いでくる光は、長波長光(赤)の光のみとなる。これらの水滴群からの赤より短い波長成分の光は観察者の眼には入らずに頭の上を通過してしまう。また、紫色の直線上に存在する水滴群から眼の方向に向かって降り注いでくる光は、短波長光(紫)の光のみとなる。これらの水滴群からの紫より長い波長成分の光は観察者の眼より下の足元の方に向かってやって来ることになる。

・オーロラが光る仕組み

Fig1_2_3_6
太陽風のプラズマ粒子は千ボルトから1万ボルトくらいまでの電圧で加速され、地球の外から地球の磁力線に沿って大気中に飛び込んでくる。この荷電粒子のエネルギーは、陽イオンと電子で構成される高温のプラズマである。地球の大気には、酸素原子と窒素分子が存在している。このプラズマ粒子が大気中の酸素原子や窒素分子と衝突すると、持っていたエネルギーを大気中の酸素原子や窒素分子に与える。

エネルギーを与えられた酸素原子や窒素分子は励起状態と呼ばれるエネルギーの高い状態になる。励起状態は不安定なため、元の安定な基底状態に自然に戻るが、この時、2つの状態のエネルギーの差の分だけ光を放出することになる。このエネルギー放出による発光が、オーロラとして発光する。

プラズマは、温度が上昇すると、物質は固体から液体に、液体から気体にと状態が変化する。気体の温度が上昇すると気体の分子は解離して原子になり、さらに温度が上昇すると原子核のまわりを回っていた電子が原子から離れて、正イオンと電 子に分かれる。