2.1.3 減法混色

色を表現する媒体のうち、色や光を反射して観る者に色刺激を起こすものは、減法混色を使用して色を作っている。

物体の表面を特定のにする為にインクなどを塗る場合、元の光を遮る形で色を作る。その合成の元になる基本色は一般に「色の三原色」や「色料の三原色」といわれ、次の3色を用いる。

シアン(緑青、碧)

マゼンタ(赤紫、紅)

イエロー(黄)

この3色を合成して着色された物体の表面は、光の三原色の場合と反対に黒色になる。

 

2.1.4 CMYK(四色印刷)

印刷産業では、様々な色を表現するために減法混色の原色であるシアン、マゼンタ、黄色の3色が用いられる。「シアン」や「マゼンタ」という色名が標準的に使われる以前は、印刷の三原色は「青緑」や「紫」、あるいは「青」や「赤」などとも呼ばれていた。正確な三原色は長年の間に、新たな顔料や技術の開発とともに何度も変えられている。

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減法混色。原色のうち、マゼンタとシアンはそれぞれ紫と青緑、または青と赤とも呼ばれることもある

イエローとシアンを混ぜると緑が、イエローとマゼンタを混ぜると赤が、マゼンタとシアンを混ぜると青が生まれる。理論上は3色すべてを均等に混ぜると灰色になり、3色に充分な光学濃度(光学密度、OD:optical density)があれば黒が生まれるはずである。実際には、暗色になりきれいな黒は作れない。美しい黒を印刷するため、また三原色のインクを節約し消費量と乾燥時間を減らすため、この3色に加えて黒のインクがカラー印刷に使われる。

これはCMYKモデルとよばれるもので、シアン(cyan)、マゼンタ(magenta)、イエロー(yellow)、キー(key)の略語である。キーとは印刷する画像の細部(輪郭や濃淡)を表現するために用いられるキープレートという版の略称で、通常は黒インキ(墨版)が使われる。

実際には、絵具など現存する物質からできた着色料を混ぜることは、より複雑な色の反応を引き起こす。三原色の顔料を混ぜるより、天然の色からできた中間色の顔料を使う方がより明るく彩度の高い色が得られる。また、顔料の持つ天然の性質も混色の過程に干渉する。例えば、黄と青(紫青)の塗料やインクなどの着色材を混ぜると、暗い緑ないし暗いマゼンタができる。これは実際の混色が理想的な減法混色と異なることを意味している。印刷の場合は、三原色の顔料は実際にはあまり混ぜられることなく、網点(ハーフトーン)の状態で印刷され、一定のパターンで配置された各色の微小の網点を見ることにより、混ぜられた色が知覚されることになる。

減法混色では、白色顔料を加えることで一定の効果を挙げられる。着色材の顕色材の量を減らすか二酸化チタンなど反射度の高い白色顔料混ぜることで着色材の色相をあまり変えずに彩度を下げることができる。また、減法混色印刷は、印刷面や紙面の色が白かまたはそれに近い場合、もっとも効果を発揮する。

減法混色のシステムは、RGBのカラートライアングルのように、色度図上で色域を簡単にあらわす方法はなく、色域は三次元のモデルで表現する必要がある。また、二次元の色度図や三次元の色空間でCMYKの色域を表現する試みは非常に多くある。

実際の印刷では、CMYKに加えて蛍光色などの特色インクを用いて色彩表現の幅を広げることが良く行われる。また、パソコン用のカラープリンタでは、以前は低価格機ではコストダウンのためにCMYのみのモデルも存在したが、現在ではCMYKにやはり中間色のインクを加えて色再現性を高めるのが主流となっている。