1.2.5 電磁誘導

 電磁誘導とは、磁束が変動する環境下に存在する導体電位差電圧)が生じる現象である。また、このとき発生した電流を誘導電流という。

一般にはマイケル・ファラデーによって1831に誘導現象が発見されたとされるが、先にジョセフ・ヘンリーに発見されている。また、フランセスコ・ツァンテデシFrancesco Zantedeschi)が1829に行った研究によって既に予想されていたともいわれている。

ファラデーは、閉じた経路に発生する起電力が、その経路によって囲われた任意の面を通過する磁束の変化率に比例することを発見した。すなわちこれは、導体によって囲われた面を通過する磁束が変化した時、すべての閉回路には電流が流れることを意味する。これは、磁束の強さそれ自体が変化した場合であっても、導体が移動した場合であっても適用される。

電磁誘導は、発電機誘導電動機変圧器など、多くの電気機器の動作原理となっている。

・電磁誘導における起電力

ファラデーの電磁誘導の法則は、次のように示される。

Fig1_1_2_15a



ここで、 ε は、起電力 (V)

ΦB は、磁束 (Wb) とする。

同じ領域に N 回巻かれたコイルが置かれた場合、ファラデーの電磁誘導の法則は、次のようになる。

Fig1_1_2_15b


ここで、 N は、電線の巻数とする。

起電力は磁束の方向に向かって左回りに発生するが、物理学の慣習では、いわゆる右ねじ関係が正であるとされるため、(これは物理に限った話ではなく数学でも例えばクロス積などが同様に定められている。) 左ねじ関係であるファラデーの電磁誘導の式には負号がつく。 逆に言えば、慣習に逆らって左ねじ関係を正と定めれば、負号はつかない。よって、ファラデーの電磁誘導の式は起電力の大きさだけでなく、向きも示している。

また、起電力の向きだけ(大きさは含まない)を示した法則として、レンツの法則、つまり、「回路に発生する起電力は、起電力によって回路を流れる電流が起こす磁束が、与えられた磁束変化に逆らうような方向で発生する。」が存在する。

Fig1_1_2_15