アンディマンのテクノロジー(援技力)

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2020年03月

光と色の基礎知識 No.29

2.6 視覚

視覚とは、可視光を物理的入力とした感覚のことであり、いわゆる五感のひとつである。視覚によって、外界にある物体の、形、運動、テクスチャ、奥行きなどについての情報、物体のカテゴリーについての情報、物体の位置関係のような外界の空間的な情報などが得られる。したがって、視覚は光情報をもとに外界の構造を推定する過程とみなせる。脊椎動物神経系では、可視光は網膜において符号化され、外側膝状体(LGN)を経て大脳皮質において処理される。コンピュータビジョンでは、光センサーからの光情報の入力をもとにした処理が行われる。ここではヒトを中心に、動物の視覚のみを扱う。脊椎動物(人を含む)、節足動物(昆虫、甲殻類)、軟体動物(タコ、イカ)など、多くの動物が視覚を持つ。

Fig1_2_6_1
・視覚刺激

物体が網膜において結ぶ像の大きさを、視角によって表現する。視角とは物体の両端から結点に引いた線のなす角度のことである。中心窩からの視角を偏心度と呼ぶ。視覚系に入力した画像の各点の性質は、輝度と色によって記述される。輝度と色は、画像の一点のみで決定できる視覚属性であるため、一次属性と呼ぶ。テクスチャ、運動、両眼視差のように、空間的・時間的に異なる画像の複数の点において定義される視覚属性を、二次属性あるいは高次属性と呼ぶ。網膜像が空間的周期を持つとき、周期の細かさを空間周波数によって記述する。空間周波数の単位は、c/dcycle per degree;視角1度あたりの周期)をとることが多い。時間的周期については、Hzが用いられる。視覚刺激を記述する際には、輝度コントラストの定義として Fig1_2_6_1a用いることが多い。LmaxLminは、画像中の輝度値の最大値と最小値を表す。この定義をMichelsonコントラストと呼ぶ。

・視感度と錐体分光感度

視覚系の感度は、光の波長によって異なる。ヒト視覚系の視感度は、明所視では555 nmでピーク値をとる。このときの感度を基準として、他の波長の光に対する感度を求めると、可視光全体に対する比視感度が求まる。暗所視では507 nmの光に対して最も感度がよい。暗所では感度曲線が短波長側にシフトしている。この事実をプルキンエシフト(別名:プルキニエまたはブルーシフト)と呼ぶ。放射輝度と視感度をかけ合わせた値を輝度と呼ぶ。

Fig1_2_6_1b
 明所視では色が知覚される。色覚異常者の視感度曲線や等色関数から、分光感度の異なる3種類の光受容器(錐体)が存在することが示唆される三色説。健常者の等色関数および2色型色覚異常者の混同色中心から、錐体分光感度を求めることができる。暗所視における光受容器(桿体1種類であるため色覚は存在しない。桿体分光感度は暗所視視感度に等しい。

Fig1_2_6_2
 上図に示したように、色々な光源を用いて物体(リンゴ)を見ると、光は物体の表面で乱反射してその色の情報のみを反射光として人間の目に送る。色情報は反射光と透過光(吸収光)に分散されるが、乱反射も含めて色情報という元の光源のエネルギーは法則に従って反射の前後で変化しない(一定である=エネルギー保存の法則)。

 

光と色の基礎知識 No.28

 

2.5.2 測光・放射測定

 光放射エネルギーに対して時間的・空間的な量を組み合せることによって構築される量を「放射量」という。これに、光放射が人間の視覚に対して与える影響を波長に対する重みづけ(分光視感効率)として加えたものを「測光量」という。

 単位時間当たりの光放射エネルギーを「放射束(Radiant Flux)」という。光源を点光源と見做し、その中心を頂点とする微小錐体を考え、そこに含まれる微小放射束を立体角で割ったもの(放射束の立体角密度)を「放射強度(Radiant Intensity)」という。これに対し、有限の面積を有する光源を考える場合には、その単位面積当たりの放射強度を考え、これを「放射輝度(Radiance)」という。また、受光面の単位面積当りに入射する放射束の量を「放射照度(Irradiance)」という。このような光放射に関する諸量(放射量)について、物理的に放射を測ることを、総称して放射測定(radiometry)という。

 これに対して、測光量は、放射量に対して光放射(可視領域の放射)が人間の視覚に与える影響を重みづけした量として表されるものであり、放射量の分光密度(微小波長幅に含まれる放射量をその波長幅で割ったもの)に分光視感効率:V(λ)をかけて可視領域(360nm830nm)の波長範囲について積分したものである。分光視感効率:V(λ)は、可視放射が人間の目に入ったときに感じる明るさの知覚の度合い示す尺度であり、下図のように定められている。この値は、CIECommission Internationale de l'Éclairage; International Commission on Illumination:国際照明委員会)によって1924年に採用され、後に補間と補外を行って完全なものとし、1972年に国際度量衡総会(CIPM)において勧告されたものである。横軸は光放射の波長(nm)、縦軸は波長:555nm の単色放射に対して感ずる明るさを 1 として正規化した時の、その他の波長で感ずる同じ放射強度の明るさの比、という形で表されている。これによると、例えば波長:470nm の光は、物理的には同じ放射強度であっても、波長:555nm の光の約10分の1 の明るさにしか感じないことになる。このような、光放射に対する人間の感ずる「明るさ」を与えるための分光視感効率:V(λ)に基づいた測定を、総称して測光(photometry)という。

(厳密には、測光量には明所視量と暗所視量があるが、ここでは明所視の場合についてのみを説明している。暗所視の場合には、分光視感効率:V'(λ)を用いる。)

  一般的には、ある放射量:Xeの分光密度をXとしたとき、対応する測光量:Xv

Fig1_2_5_6b




で表される。ここで、比例定数:Kmは最大視感効果度と呼ばれる量で、V(λ)1となる波長(λ = 555nm)において測光量と放射量を関係づける値であり、Km = 683lm/W]と規定されている。

刺激を与える側、すなわち「光」の電磁的エネルギーを「放射量」といい、電力などと同じ「ワット [ W ] 」を基本単位として表記される。また、刺激を受ける側の人間の眼がその光からどれだけの刺激を受けるか、すなわち、人間の眼が感じる「明るさ」を「測光量」という。「測光量」は、「ルーメン [ lm ] 」という単位を基本単位として表わされる。

Fig1_2_5_6


 測光量の場合、基本となるのは放射量での「放射束」に対応する「光束(Luminous Flux)」であり、光束の立体角密度として「光度(Luminous Intensity)」が表される。光度は放射量の放射強度に対応する量ということになる。

 同様にして、「輝度(Luminance)」「照度(Illuminance)」が定義されている。

主な測光量と対応する放射量

主な測光量

単位

主な放射量

単位

光束(Luminous Flux

lm(ルーメン)

放射束(Radiant Flux

光度(Luminous Intensity

cd(カンデラ)

放射強度(Radiant Intensity

W/sr

輝度(Luminance

cd/m2

放射輝度(Radiance

W/sr/m2

照度(Illuminance

lx(ルクス)

放射照度(Irradiance

W/m2

 測光量の1つである光度の単位:カンデラ(cd)は国際単位系(SI)の7つの基本単位の1つであり、重要な物理量(厳密には心理物理量)であることから、その単位を国家標準として設定・維持・供給していくことは様々な産業開発の基礎を支える上で極めて重要である。そして、光度(cd)に関連した他の測光量についても同様に長年に渡って国家標準の維持・供給が行われている。

 現在ではカンデラ(cd)は下記のように定義されており、極低温放射計に基づいた新しい光度単位の設定とそれに基づく高精度測光標準の確立が図られている。

カンデラ(cd)の定義(1979年改訂)

「1カンデラ(cd)は、周波数540×1012Hz(波長555nm)の単色放射を放出し、所定の方向におけるその放射強度が1/683ワット毎ステラジアンである光源の、その方向における光度である」

 この他、放射量を分光的に定義した量も、主にスペクトル標準としての意味合いから広く用いられており、放射輝度の分光密度である「分光放射輝度(Spectral Radiance)」、放射照度の分光密度である「分光放射照度(Spectral Irradiance)」などが重要である。

 さらに、現在の測光・放射測定に必要不可欠である検出器についての分光感度を表す「分光応答度(Spectral Responsivity)」、光源の分光分布を黒体放射炉の温度と関連づけて表す「分布温度(Distibution Temperature)」、物体の光学的特性を表す基本的な量である「分光反射率(Spectral Reflectance)」「分光透過率(Spectral Transmittance)」などについても、重要な測光・放射量として挙げられる。

 























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光 と色の基礎知識 No.27

2.5.1 照度単位:ルクス)

照度(illuminance)とは、平面状の物体照射された光の明るさを表す心理的な物理量のことである。単位面積あたりに照射された光束と等しい。文字通り、どれだけ対象物を「照らしている」かを表す指標であり、机の上や部屋などの明るさを示すのに利用される。  単位は、国際単位系ではルクス (lx) またはルーメン平方メートル (lm/) である。JIS照度基準では、建物別、部屋別、行為別に照度の基準値が示されている。

照度単位:ルクス)と明るさの目安」を下表に示す。これらの値はもちろん周囲の状況等によって変化するので使用するに当たっては注意する必要がある。

照度(ルクス)

 明 る さ の 目 安     

(ルクス)

100,000

・雪山・真夏の海岸        
・晴天昼太陽光        
・晴天午前10時太陽光      
・晴天午後3時太陽光      
・曇天昼太陽光         
・曇天午前10時太陽光      

>100,000
100,000
65,000

35,000
32,000
25,000

 10,000

・曇天日出1時間後太陽光     

2,000

 1,000

・晴天日入1時間前太陽光     
・パチンコ店内          
・百貨店売場         
・蛍光灯照明事務所      
・日出入時              
30W蛍光灯2灯使用八畳間      
・夜のアーケード       

1,000
1,000
500~700
400~500
300
300

150~200

    100

・街灯下            
・ライター@30cm            

50~100
15

     10

・ロウソク@20cm         
・市民薄明(太陽天頂距離96)      

10~15
5

      1

・月明り            
・航海薄明(太陽天頂距離102)  
・天文薄明(太陽天頂距離108) 

0.5~1
0.01
0.001

 通常、明るさは照度によってあらわされるが、明るさを与える明かりはいろいろな方法がある。数に示すように、ヒトの視覚は昼間視、黄昏視、夜間視という3つ分けられるが、物の明暗や物の形・色の識別能力にその能力の違いが顕著に表れる。

さらに、ヒトの目の感度は10510-4まで実に109つまりなんと10億倍の違いを感じるセンサーを持っていることになる。

Fig1_2_5_5

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