アンディマンのテクノロジー(援技力)

写真表現に関わる専門的な知識を補うために設けたブログです。 新たらしい時代に相応しい技術情報を掲載していきます。 普段疑問に思った問題の解決に繋げるテーマを醸成していきます。

2019年10月

光と色の基礎知識 No.10

2.色彩概論

2.1 原色

 原色primary colors)とは、混色することであらゆる種類のを生み出せる、互いに独立な色の組み合わせのことをいう。互いに独立な色とは、たとえば原色が3つの場合、2つを混ぜても残る3つ目の色を作ることができないという意味である。

人類のにおいては、原色は3つの色の組み合わせであることが多い。たとえば、テレビモニタや照明などで、異なる色の光を重ねて新たな色を作る「加法混色」の三原色は、通常3色である。また、絵具を混ぜたり、カラー印刷で色インクを併置するときに行われる「減法混色」の場合の三原色は、シアンマゼンタイエロー3色である。

原色とされる色の選択は、基本的には恣意的なものである。加法混色の三原色に使う赤・緑・青も多様であり、表現のしやすさなどを考えに入れてさまざまな基準が定められている。また例えば、リュミエール兄弟が開発した初期のカラー写真・オートクロームAutochrome Lumière)では、赤・緑・青のほかにの組み合わせも使われた。

 

2.1.1 生物学的な基礎

原色は電磁波の本質的な要素ではない。原色は、生物の可視光線に対して起こす生理学的反応と結び付けられている。レーザー光のような単色光は別として、天然光や照明などの光は、あらゆる波長の放射エネルギーが合成されており連続的なスペクトルを持つ。その刺激値空間は無限次元にわたるが、人間の目はこれを次のような受容の仕方によって三次元の情報として処理している。

人間の目の奥の網膜には一面に光受容細胞(錐体細胞桿体細胞)があるが、光量が充分な場合は3種類からなる錐体細胞が反応する。錐体細胞には、長波長に反応する赤錐体、中波長に反応する緑錐体、短波長に反応する青錐体の3種類があり、それぞれの波長に最も反応するタンパク質(オプシンタンパク質)を含む。これらが可視光線を感受することで信号が視神経を経由して大脳の視覚連合野に入り、ここで赤・緑・青の3種類の錐体からの情報の相対比や位置を分析し、色を認識している。

人間など、3種類の色覚受容体をもつ生物の色覚は「三色型色覚」(trichromacy)とよばれている。これらの種の生物は、光刺激を3種類の錐体で受けとめ三次元の感覚情報として処理し、あらゆる光の色を3つの原色の混合比として捉える。

色覚受容体の種類の数が違う生物は、異なる数の原色によって色を感じている。たとえば、四色型色覚tetrachromacy)を持つ生物には四種類の色覚受容体があり、四原色の組み合わせで色を認識している。人間は波長780nm(赤)から380nm(紫)の範囲までしか見ることができないが、四色型色覚の生物は波長300nm紫外線まで見ることができ、四番目の原色はこの短波長の範囲にあると考えられている。

鳥類有袋類の多くは四色型色覚を持つが、人間でも女性の中には四色型色覚を持つ人もいる。X染色体にある赤錐体と緑錐体の遺伝子は時として変異により赤・緑のハイブリッドの錐体細胞を作ってしまい色覚障害を起こすことがあるが、女性の場合はX染色体が2つあるため、1つのX染色体でこのような変異が起こってももう一方で正常な赤錐体と緑錐体が作られれば、赤・緑・青のほかに長波長の範囲にもうひとつの原色を認識することになる。人間の色覚受容体が反応する波長は個々人においても多様であり、色覚の「正常」な人の間でも微妙な色覚の差として現れる。人間以外の生物の場合、こうした多様性の幅は大きいが個々の生物はそれに適合していると考えられる。霊長類以外の哺乳類のほとんどは、緑と青の2種類の色覚受容体しか持たないため二色型色覚dichromacy)であり、原色は2色しかない。

大多数の人間のもつ3色型色覚以外の生物の見る世界は色が狂って見える、と考えるのは誤りといえる。そのように生まれた生物にとってはそれが普通な世界の色であり、そうした生物が色を知覚する能力は、人間の色覚の能力とは種類が違うであろう。また、人間にとって自然な色に見えるものは、他の生物たちにとっても自然に見える。しかし、三原色の光を使って人工的に再現した色(たとえば、カラーテレビの画面)を見る場合、人間にとっては自然な色に見えても他の生物にとっては自然な色には見えない。つまり、原色を使って色を再現するときには、再現するものの色覚のシステムに依存した再現がなされる。

 

2.1.2 加法混色

Fig1_2_1_1

色を表現する媒体のうち、様々な色の発光体を組み合わせて観るものの方へ放つことで色刺激を起こすものは、加法混色を使用して色を作っている。この場合、典型的に使われる原色は赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3色である。

白色の光を合成する為の波長を「光の三原色」や「色光の三原色」といい、次の三色を用いる。

 (橙赤)(波長: 625-740 nm

 (波長: 500-565 nm

 (紫青)(波長: 450-485 nm

テレビほかディスプレイ類はこの三原色からなる「RGB」を用いて様々な色を加法混色で作る代表的な例である。原色として用いられる3色は、幅広い色を表現するために色度図上で可能な限り大きなカラートライアングルを描ける色相・純度の色であり、蛍光体や燐光体の手に入りやすさ(またはコストや使用電力など)も加味して選ばれている。ITU-Rの勧告BT.709-2ITU-R BT.709-2)で定められたsRGBは、その例である。

Fig1_2_1_2

赤と緑の光を重ねて投影すると黄色橙色茶色の影ができる。緑と青の光を重ねるとシアンの影が、赤と青の光を重ねるとマゼンタの影ができる。3つの原色を等しい割合で重ねると、灰色および白色の影ができる。こうして生成される色空間を、RGB色空間という。

国際照明委員会CIE)が1931に定めたCIE標準表色系CIE 1931 color space)は、単色の原色の定義に当たりその波長を435.8nm(青)、546.1 nm(緑)、700 nm(赤)とした。    カラートライアングルの各頂点(三原色)は、色度図に描かれた馬蹄形の曲線上(最も彩度の高い「スペクトル色」の軌跡)に置かれ、可能な限りの大きさ(色の幅の広さ)を実現している。しかし、このトライアングルにある赤と紫の限界の波長を現行のディスプレイで表現するには発光効率が非常に低くなるため、この三原色を実際に使うディスプレイ類は、存在しない。

光と色の基礎知識 No.9

1.2.7 色温度

 色温度とは、ある光源が発しているを定量的な数値で表現する尺度(単位)である。単位には熱力学的温度K(ケルビン)を用いる。

・概説

色温度は、表現しようとする光の色をある温度(高熱)の黒体から放射される光の色と対応させ、その時の黒体の温度をもって色温度とするものである。

どのような物質も、高熱を加えると、その温度によってさまざまな波長放射するようになる。その色合いは、物質ごと、温度ごとに微妙に異なる。たとえば、の釘など金属をガスの炎で加熱すると光を発するようになる(実際には温度を持っていればオレンジよりも波長が長い赤外線、遠赤外線などをわずかに発している)。最初はオレンジ色であり、だんだん白く輝くようになる。

一般的な感覚とは逆に、寒色系の色ほど色温度が高く、暖色系の色ほど色温度が低い。これは、日常的に目にする赤い炎は、炎としては最も温度が低いものだからである。

・色温度の単位

理想的な黒体を想定すると、ある温度において黒体が放射する光の波長分布を導き出すことができる。温度が低い時は暗いオレンジ色であり、温度が高くなるにつれて黄色みを帯びた白になり、さらに高くなると青みがかった白に近くなる。このように、白という色を黒体の温度で表現することができるのであり、この温度を色温度と呼ぶ。

Fig1_1_2_18
(このカラーチャートは概略図であり、特に物体を特定して色温度を計算したものではない。理論式については プランクの法則 を参照のこと。)

朝日や夕日の色温度はおおむね2000 Kであり、普通の太陽光線は、50006000Kである。澄み切った高原の空の正午の太陽の光はおおよそ6500 Kといわれている。これらは、一般に考えられている白より、かなり黄色っぽい(実際に物体を照らす光は大気の青色がかなり色味を中和しているためで、6500 Kよりも高い色温度のほうが「白」く感じられる)。

・色の再現性

写真やテレビ、パソコンのモニタなどでは、色温度は色の正確な再現のために重要である。写真撮影では、スタジオ撮影のライトが3200 K、太陽光線が5500 Kと想定されており、フィルムはこの色温度の照明下で最適な色再現ができるよう作られている。

色彩工学では「標準の光D65」が現在の事実上の標準であり、これは色温度6500 Kである。アメリカのカラーテレビ(NTSC)では色温度基準は、6500 Kで、日本のテレビ (NTSC-J) の色温度基準は9300 Kであり、かなり青みがかっている(当然ながら色再現上の問題がある)。

パソコンのモニタは9300Kが主流であるが、極端な廉価品を除き、6500 K5000 K に変更できるため、デザインや映像制作などの都合で適切な色温度を選べる。また、鋭く青白い 9300 Kの設定から温和な6500 K5000 Kに変えれば疲労感が和らぐので、色彩についての正確さが厳しく要求されない場面でもこの機能は有用である。PowerStrip のようなソフトウェアでもパソコンの色温度が調整できる。

・色温度と視覚

人間の視覚における色の認識と色温度とは比例関係にない。そのため、人の感じ方により近い表現として、色温度の逆数である逆色温度を使う方法がある。逆色温度はケルビンでの値の逆数の K−1(毎ケルビン)ではなく、それを100万倍したミレッド (M) または毎メガケルビン (MK−1) を使う(呼び名は違うが大きさは同じ単位である)。

屋内照明として広く利用されている蛍光灯は主に「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」に分類されており、順に約3000 K3500 K4200 K5000 K6500 Kである。これらは、それぞれ 333 MK−1286 MK−1238 MK−1200 MK−1154 MK−1 となり、全て差が 40–50 MK−1 前後になり色の変化が一定に感じられる。色温度が高いと間隔が広いのに中間の色温度の蛍光灯があまりないのはこのためである。前記のうち「電球色」「昼白色」「昼光色」が一般に販売されている。

・色温度の種類

色温度とは、太陽光や自然光、人工的な照明などの光源が発する光の色を表すための尺度のことである。単位はケルビン(K)である。光源の温度や明るさとは関係ない。

色温度の単位(K)が低いほど暖色系の色を発し、高いほど寒色系の色を発する。

自然光などの朝日や夕日の色温度は、およそ2000K、太陽光は 50006000K程度、人工照明では、ろうそくが約2000K、白熱電球や電球色の蛍光ランプが約2800K、昼白色の蛍光ランプが約5000K、昼光色の蛍光ランプが約6500Kである。

Fig1_1_2_19
・相関色温度

 相関色温度とは、光源色と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表したものである。色温度、相関色温度は、ともに光源の光色(青っぽい、赤っぽいなど)を表す尺度であるが、厳密には、それぞれの用語の意味するところは異なる。光源の色度が黒体放射軌跡上にある色度と一致した場合に、その色度を有する黒体の温度で光源の色度を表すとき、これを色温度という。しかし、実用的な光源(蛍光ランプなど)の色度は、黒体放射軌跡に隣接して分布するものの、完全には一致しない。そこで、光源と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表示することが、実用的に行われる。これを相関色温度という。

※色度図上の距離が、知覚的な差と相関がとれるように工夫されたUCS色度図(CIE1960 UCS色度図)上に描かれた黒体放射軌跡に対して、光源の色度点から垂線を下ろし、黒体放射軌跡と交わる点の色温度から、相関色温度を求めることができる。

相関色温度は、光源と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表示する方法であるため、一般照明用ランプのように、黒体放射軌跡近傍の白色に近い光源色を表すのに便利である。

黒体放射軌跡からの偏りがある場合には、UCS色度図上での距離で示し、併記することがある。

Fig1_1_2_20
 また、2つのランプの光を比較する時、以下に注意すべきである。

     相関色温度が同じランプでも、光の色が違って見えることがある(色度が違うランプの時:相関色温度が同じでも、黒体軌跡との離れ具合が違うと、光の色が違う)

     色度や相関色温度が同じランプでも、演色性が違うことがある(分光分布が違うランプの時)

・色の見え

Fig1_1_2_21色の見え方は、環境条件によって異なる。つまり、光の違いによって、色は見え方が異なってくる。

まず、光と色の関係を考えてみると、光は電磁波の一種で、人間が見ることができる可視光線と言う範囲がある。その光が、ものにあたって反射、あるいは吸収されることのよって色が見えてくる。光がなければ色は見えず、光のもと、すなわち光源が重要なわけである。光がなければ色は見えず、光のもと、すなわち光源が重要なわけである。また、光源(光)には色温度という色成分を持っているので、使用する光の性質によって色の見え方が異なる。例えば、環境光は暗い部屋でPCの画面を見るとよりはっきりした忠実な色で見えるが、蛍光灯の下では青っぽい色(昼光色)に見える。これは6,000K程度の光源で見たためにその色温度が作用したものである。同様に、白色電球の下では少しオレンジがかった色(電球色)に見える。これは3,000K程度の光源で見たためその色温度が作用したものである。

Fig1_1_2_22 例えば、色を見る時、「正確」な色を判断する場合には、何らかの基準の光源が必要になってくるので、国際照明委員会が規定した、タングステン電球に近いA光源、太陽直射光に近いB光源、昼光に近いC光源、さらに自然光に近い合成昼光D光源という「標準の光」を用います。基本となっているのはすべてのエネルギーを連続して持っている太陽の光とされており、測色用の機器などでは、それに近い波長をもっている標準光D65という光源が用いられていることが多いでしょう。また、光源について、太陽光にどれだけ近いかを「演色性Ra」と言う数値で評価しています。野菜など自然の色等は、演色性の高いランプを用いると生き生きとして熟したおいしさを感じさせてくれます。機器を使わず、目で見て測定する場合は、昼光の北窓が良いとされています。光の変化が少なく安定して見えるからです。陽の光を直接受けた場合、反射する光の量が多すぎて光るような状態になり、淡い色等は見えなくなってしまいます。外での色彩の調査をする場合には、晴天より薄曇りで周辺全体に光が柔らかく拡がっている状態のほうが色を見やすいのです。

Fig1_1_2_23
  カラーチャートは、「色」の「表」、つまり色見本を配列した板状の物体であり、画像システムの色彩再現性をチェックするなど色の比較・測定に用いる。デジタルカメラやスキャナーなどのグラフィック機器を較正したり特徴を明らかにするのに使われる。

光に照らされたときの、物体の色の見え方を「演色性」という。

照明用の白色LED製品には、この演色性を数値で表す「平均演色評価数(Ra)」という値が記載されていて、 この値が100に近いほど、本来の自然の色を再現できる性質が高いと言われている。

演色性は、われわれが普段から見慣れている 自然光に近い光を基準として、それからどれくらい違って見えるのか が数値で評価されます。そして、これにより求められた数値を 「演色評価数」 といいます。

物体の様々な色を代表させた、下図のような「色票」という試験色がある。

演色評価数は、実際に色票を、JISで決められている基準光と、対象となる照明(試料光)とで照らした時に、 どれくらい色のずれがあるかを数値で表したものである。

演色評価数は、基準光で照明したときを100として、ずれが大きくなるほど数値は小さくなります。

つまり、数値が大きいほど(100に近いほど)対象物を自然な色合いに見えるように照明できるということになる。

Fig1_1_2_24
  演色評価数の測定は、物体の様々な色合いを代表させたNo.1No.15の色票を使って、個々の演色評価数が求められる。 これらを、特殊演色評価数Rii115)という。

このうち、R1R8の数値を平均した値を「平均演色評価数(Ra)」 といい、通常はこのRaの数値が演色性を代表した値として、製品に記載されている。

※演色評価数は、あくまで色の再現性の高さを表したもので、好ましく見えるかどうかとは関係がなく、演色評価数が低くても、 照明対象物やシーンによって好ましい色に見える場合もある。

JIS(日本工業規格)とは、日本の工業製品に関して、工業標準化法に基づいて定められた日本の国家規格のことをいう。

光と色の基礎知識 No.8

1.2.6 黒体放射

 黒体Black body、あるいは完全放射体)とは、外部から入射する熱放射など(電磁波による)を、あらゆる波長に渡って完全に吸収し、また放出できる物体のことである。完全な意味での黒体(完全黒体)は、現実には存在しないといわれているが、ブラックホールなど近似的にそうみなせる物質、物体は存在している。

黒体からの熱などの放射を黒体放射という(以前は黒体輻射ともいった)。ある温度の黒体から放射される電磁波のスペクトルは一定である。温度 T において、波長 λ の電磁波の黒体放射強度 B(λ)

Fig1_1_2_16_0



で表される。これをプランク分布という。プランク分布を全波長領域で積分することで、黒体放射の全エネルギーが T4 に比例する(E =σT4σシュテファン=ボルツマン定数)というシュテファン=ボルツマンの法則を得る。また、微分して B(λ) が極大となる λ を求めることで、放射強度最大の波長が T  反比例するというヴィーンの変位則を得る。

Fig1_1_2_16
・空洞放射

十分に大きな空洞を考え、空洞を囲む壁は光を含む一切の電磁波を遮断するものとする。この空洞に、その大きさに対し十分に小さな孔を開ける。孔を開けることによる空洞内部の状態の変化は無視できるものとする。外部からその孔を通して入った電磁波(ある特定の波長のものが光)が、空洞内部で反射するなどして再び出てくることは、孔が十分に小さければ無視することができる。つまり、この空洞は、外部から入射する電磁波を(ほぼ)完全に吸収する黒体とみなすことができる。

この空洞からの熱などの放射を空洞放射という。

・黒体放射と量子力学

理想的な黒体放射を現実にもっとも再現するとされる空洞放射が温度のみに依存する、という法則はグスターブ・キルヒホッフにより1859年に発見された。以来、空洞放射のスペクトルを説明する理論が研究され、最終的に1900年にマックス・プランクによりプランク分布が発見されたことで、その理論が完成された。

物理的に黒体放射をプランク分布で説明するためには、黒体が電磁波を放出する(電気双極子が振動する)ときの振動子の量子化を仮定する必要がある プランクの法則)。つまり、振動子が持ちうるエネルギー (E) は振動数 (ν) の整数倍に比例しなければならない。

E = nhν (n = 0, 1, 2, ...)

この比例定数 h = 6.626×10-34 [Js] は後に、プランク定数とよばれ物理学の基本定数となった。これは古典力学と反する仮定であった(古典力学では物理量は連続な値をとり、量子化されない)が、1905年にアルベルト・アインシュタインがこのプランクの量子化の仮定と、光子の概念を用いて光電効果を説明したことにより、この量子化の仮定に基づいた量子力学が築かれることとなった。

・灰色体

工業製品などでの設計では、対象の温度範囲が限られていることから、しばしば放射率が周波数に依存しない理想的な物体として灰色体を用いている。この灰色体は、黒体の放射率を 1 より小さい定数としたものと等価であり、黒体よりも現実的なモデルを与える。

・黒体放射の原理

物体が低い温度の場合でも周りからの光を反射してしまうと、それは「物体から光が放射されている」状態と同じことなので、プランクの法則で説明される物体の温度と発光色の関係は崩れてしまう。また、一般的な物質は高温になったとしても全ての波長の光を出すことはできない。発光色をプリズムなどで分光すると、どこかの振動数に対応する光が欠けていたりする。そんなわけで、プランクの法則で説明される物体は 「全ての光を反射せずに吸収し、かつ、高温では全ての波長の光を欠けること無く出せる」という、理想化した物体ということになる。ただ、反射光の分を差し引いてやれば物体の温度と放射の関係はおおよそプランクの法則に従うので、そこそこ実用的な法則であるといえる。

 

Fig1_1_2_17

光と色の基礎知識 No.7

1.2.5 電磁誘導

 電磁誘導とは、磁束が変動する環境下に存在する導体電位差電圧)が生じる現象である。また、このとき発生した電流を誘導電流という。

一般にはマイケル・ファラデーによって1831に誘導現象が発見されたとされるが、先にジョセフ・ヘンリーに発見されている。また、フランセスコ・ツァンテデシFrancesco Zantedeschi)が1829に行った研究によって既に予想されていたともいわれている。

ファラデーは、閉じた経路に発生する起電力が、その経路によって囲われた任意の面を通過する磁束の変化率に比例することを発見した。すなわちこれは、導体によって囲われた面を通過する磁束が変化した時、すべての閉回路には電流が流れることを意味する。これは、磁束の強さそれ自体が変化した場合であっても、導体が移動した場合であっても適用される。

電磁誘導は、発電機誘導電動機変圧器など、多くの電気機器の動作原理となっている。

・電磁誘導における起電力

ファラデーの電磁誘導の法則は、次のように示される。

Fig1_1_2_15a



ここで、 ε は、起電力 (V)

ΦB は、磁束 (Wb) とする。

同じ領域に N 回巻かれたコイルが置かれた場合、ファラデーの電磁誘導の法則は、次のようになる。

Fig1_1_2_15b


ここで、 N は、電線の巻数とする。

起電力は磁束の方向に向かって左回りに発生するが、物理学の慣習では、いわゆる右ねじ関係が正であるとされるため、(これは物理に限った話ではなく数学でも例えばクロス積などが同様に定められている。) 左ねじ関係であるファラデーの電磁誘導の式には負号がつく。 逆に言えば、慣習に逆らって左ねじ関係を正と定めれば、負号はつかない。よって、ファラデーの電磁誘導の式は起電力の大きさだけでなく、向きも示している。

また、起電力の向きだけ(大きさは含まない)を示した法則として、レンツの法則、つまり、「回路に発生する起電力は、起電力によって回路を流れる電流が起こす磁束が、与えられた磁束変化に逆らうような方向で発生する。」が存在する。

Fig1_1_2_15

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