アンディマンのテクノロジー(援技力)

写真表現に関わる専門的な知識を補うために設けたブログです。 新たらしい時代に相応しい技術情報を掲載していきます。 普段疑問に思った問題の解決に繋げるテーマを醸成していきます。

2019年05月

光の概念とその性質(1/2)

#1 光は一体粒子なのか波動なのか?

実際のところ量子力学では「粒子」と「波動」の二面性があるということで決着しているが、現在でも完全なる定義づけは、“粒子と波動の二重性(Waveparticle duality)とは、量子論・量子力学における「量子」が、古典的な見方からすると、粒子的な性質と波動的な性質の両方を持つという性質のことである。”となっている。しかし、 光の正体は現在でも完璧なまでに解明されたとはいい切れないのである。

Wikipediaによれば、光のような物理現象が示すこのような性質(二面性)への着目は、クリスティアーン・ホイヘンスとアイザック・ニュートンにより光の「本質」についての対立した理論(光の粒子説と光の波動説)が提出された1600年代に遡る。その後19世紀後半以降、アルベルト・アインシュタインやルイ・ド・ブロイらをはじめとする多くの研究によって、光や電子をはじめ、そういった現象を見せる全てのものは、古典的粒子のような性質も古典的波動のような性質も持つ、という「二重性」のある「量子」であると結論付けられた。この現象は、素粒子だけではなく、原子や分子といった複合粒子でも見られる。実際にはマクロサイズの粒子も波動性を持つが、干渉のような波動性に基づく現象を観測するのは、相当する波長の短さのために困難である。

「粒子性」は、ここでは割愛して(別の専門書を参照されたい)、「波動性」について述べる。波動性つまりその代表である電磁波(electromagnetic waveは、空間の電場と磁場の変化によって形成される波(波動)である。いわゆる光(赤外線、可視光線、紫外線)や電波は電磁波の一種である。電磁放射(electromagnetic radiationとも呼ばれる。現代科学において電磁波は波と粒子の性質を持つとされ、波長の違いにより様々な呼称や性質を持つ。通信から医療に至るまで数多くの分野で用いられている。

電磁波は波であるので、散乱や屈折、反射、また回折や干渉などの現象を起こし、 波長によって様々な性質を示す。このことは特に観測技術で利用されている。

微視的には、電磁波は光子と呼ばれる量子力学的な粒子であり、物体が何らかの方法でエネルギーを失うと、それが光子として放出される。また、光子を吸収することで物体はエネルギーを得る。

ICS_光_電磁波_電場_磁場_3_new
 19世紀の終わりまでには、物質は原子と呼ばれるような基本的な粒子でできているとする原子論が確立していた。電流は当初流体だと考えられていたが、陰極線を用いたジョゼフ・ジョン・トムソンの研究によって、電子と呼ばれる粒子の流れであることがわかった。これらの事実によって、自然界の大部分は粒子からできていると考えられるようになっていた。波動については同じ頃までに、回折や干渉の現象を通じて、十分に理解が得られていた。ヤングの実験やフラウンホーファー回折の現象から、光は波動だと考えられていた。

・ホイヘンスとニュートン

最初期の光に関する総合的な理論は、まずホイヘンス、次いでニュートンにより、それぞれ対立するようなモデルが「本質」であるとして提唱された。

ホイヘンスによる光の波動説は光の干渉等をよく説明したが、他の現象について説明できない点があった。

続いてニュートンによって光の粒子説が唱えられた。粒子説では光の反射が容易に説明され、レンズによる屈折や、プリズムや虹などで見られる分光現象も説明できた。

・ヤング、フレネルとマクスウェル

1800年代初頭、ヤングとオーギュスタン・ジャン・フレネルによる二重スリット実験によってホイヘンスの波動説の証拠が得られた。二重スリット実験によって、格子を通った光は、水の流れが作るものと良く似た干渉縞を作る。光の波長もこの干渉縞のパターンから計算できた。光の波動説はすぐに粒子説に置き換わることはなかったが、粒子説では説明がつかない偏光等の性質も説明できることが分かり、1800年代中頃には光に対する主流な考え方になってきた。

1800年代終わり、ジェームズ・クラーク・マクスウェルは、マクスウェルの方程式により光は電磁波の伝播であることを示した。この方程式は多くの実験によって検証され、ホイヘンスの考えは広く受け入れられていった。

 

#2 光エネルギー

ICS_光_電磁波_特性_1a_図_new 光エネルギー(light energyは、電磁波の一種である光がもつエネルギーを指す。単位はジュール(J)。光エネルギーは光に含まれる光子の数と光子の周波数(波長)によって決まる。 光子のエネルギーはその振動数によって決まり、以下のように表される。

h :

プランク定数

E : エネルギー

ν : 振動数

c : 光の速さ

λ : 波長

電波(長波、短波、FM波など)、光(赤外線、可視光線、紫外線)、X線・γ線はすべて電磁波とよばれる同じもので、粒子と波の両方の性質を持つ。光子のエネルギー(E)と波長(λ)は前述した関係式で結び付けられる。

このように波長はそのままエネルギーに変換されるが、一方では可視光線として色の変化を誘引する。つまり、分光スペクトルや虹の七色に見られるような色を創生する。

ちなみに、可視光線はJISによれば380nm780nmと定義されている。

ICS_光_電磁波_特性_1c_図_new
  また、可視光線はプリズムによって可視スペクトル(分光スペクトル)として抽出されて、それぞれの色を醸し出している。

ICS_光_電磁波_特性_2_速度_new

  写真においては、「光と影」が映像に与える効果が甚大であることを鑑みれば、光についてよく理解して実用に生かすことが非常に重要なことであるが、現実にはあまり重んじられないように見受けられるのは、筆者だけなのだろうか?

心理的に変化する目の感覚(2/2)

#4 目の感度(比視感度)

ICS_光_知覚_人間_放射強度_心理実験_1_new
 比視感度(Luminosity function, or Photopic luminous efficiency functionとは、ヒトの目が光の波長ごとの明るさを感じる強さを数値で表したものである。

明るい場所に順応したときに、ヒトの目が最大感度となる波長での感じる強さを "1" として、他の波長の明るさを感じる度合いをその比となるよう、1以下の数で表したものである。

明るい所では555nm(ナノメートル)付近の光を最も強く感じ、暗いところでは507nm付近の光を最も強く感じるとされる。標準比視感度とは、国際照明委員会(CIE)と国際度量衡総会では、ヒトの比視感度の平均から世界標準となる「標準比視感度」が規定された。標準比視感度には「明所視標準比視感度」と「暗所視標準比視感度」がある。

特に断らない場合は、視感度といえば明るい環境でのヒトの目の感じ方である明所比視感度のことを指す。

 ここで重要なことは、映像情報としてみると555nm付近で感度のピークを持つので、この情報を生かせるようにするころである。

・視感度

視感度とは、人間の目が波長ごとに光を感じ取る強さの度合を表すものであり、また、波長ごとに光を感じ取る強さが異なるという現象全体を指す。

ヒトが光の波長によってその強度の感じ方が異なるということは、純物理量としての光の量、例えば光子の量とヒトが感じる明るさには波長によって差が生じる事を意味しており、例えば、明るいところで青色の450nmの波長の1,000個の光子を目に受けた時に感じる光の強さは、緑色の555nmの波長の38個の光子を目に受けた時に感じる光の強さに等しくなり、同様に赤色の700nmの波長の1,000個の光子を目に受けた時に感じる光の強さは、緑色の555nmの波長の4個の光子を目に受けた時に感じる光の強さに等しくなる。

ICS_光_知覚_人間_放射強度_心理実験_1b_newまた、ヒトの目には主に明るい環境で機能する錐体細胞と主に暗い環境で機能する桿体細胞という2種類の視細胞があり、それぞれの視感度の特性は異なる。

わが国では、波長360nm830nm 5nm 毎の視感度曲線(分光視感効率)の数表が、「計量単位規則」 経済産業省令 4 別表 に規定されている。

 先に述べたように人間の感度は右図のようになっているが、それに測定器の分好感度を合わせてみるとほぼ人間の分好感度特性と同じになっていることが分かる。これの意味するところは、画像評価を行う場合に使用する測定器は人間が見た視覚情報(実測量)と遜色がないので、測定器で得た数値(測定値)は補正なしにそのまま使えるということである。

 

#5 暗所視と明所視

 暗所視は、光量が小さい状況での、目の単色の視覚のこと。錐体細胞は光量が小さい場合には機能しないことから、暗所での視覚は桿体細胞のみによって生じる。そのため、暗所では色覚は生じない。暗所視は、輝度が10-2から 10-6 cd/m2のあいだで生じる。

ICS_光_知覚_人間_放射強度_心理実験_1c_new薄明視は、中間の明るさで生じる(輝度が10-2 から 1 cd/m2)もので、暗所視と明所視が組み合わさったものである。しかし薄明視では、視力や色弁別の能力は必ずしも正確ではない。

輝度が1 から 106 cd/m2程度の通常の光量下では、錐体細胞による視覚がメインであり、これは明所視とよばれる。この場合は、視力や色弁別は良好である。

科学的文献では、暗所照度(scotopic lux)という語が使われることもある。これは、明所照度(photopic lux)に対応するもので、照度を計算する際の視感度関数に、明所視感度関数ではなく暗所視感度関数を用いたものである。

 一方、明所視は、光量が充分にある状況での、目の視覚のこと。ヒトや多くの動物では、明所視では色覚が可能であり、これは錐体細胞のはたらきによる。

ヒトの目には3種類の錐体細胞があり、これらはそれぞれえ異なる波長の光に感度を持つ。錐体細胞の色素は吸光波長のピークを420 nm()534 nm(青緑)564 nm(黄緑)にもつ。錐体細胞の感度は互いに重なり合い、可視光スペクトルを形成している。最大視感度は555 nm()での683 lm/Wである。

人間の目は、暗所では暗所視を、中間の明るさでは薄明視を用いている。

 

・目の構造と役割(出典:https://medical.jiji.com/medical/011-0132-12 一部改変)

 目は眼球とそれに連なる視神経と眼球周囲の眼球付属器から成り立っている。眼球付属器には上・下眼瞼、結膜、涙器、外眼筋、睫毛がある。

ICS_光_知覚_人間_放射強度_心理実験_2a_new
 眼球は、上図に示すように、直径約24mmのほぼ球形で、前方より角膜、前(眼)房、虹彩、毛様体、後(眼)房、水晶体、硝子体、網膜、脈絡膜および強膜からできている。

 眼球は3つの膜でできており、いちばん外側は白い強い強膜で、一般にしろめはこの部分をいい、眼球の球形を保つ役目を、また眼球内部を保護する役目をしている。強膜の前方には直径約12mmの角膜がある。角膜は無色透明な膜で、内部の虹彩(俗に茶目)と瞳孔(ひとみ)が透けて見え、一般にくろめと呼ばれている。角膜の彎曲により外から入った光は屈折する。黄斑中心窩は一般に「黄斑」*1と「中心窩」*2に分けてある。

 強膜の内側には第二の膜であるぶどう膜があり、前方より虹彩、毛様体および脈絡膜でできています。共通して色素に富み、これは暗幕の役目を果たしている。また血管に富み、からだ中のどの組織よりも血流量が多く、内部の組織の栄養をつかさどっている。虹彩はそのなかに虹彩括約筋と瞳孔散大筋があり、瞳孔を閉じたり開いたりして目のなかに入る光の量を調節している。毛様体には2つの役目があり、一つは水晶体や角膜などの無血管組織への栄養補給と代謝物の運搬、および眼内圧(眼圧)を一定に保つための房水の産生である。もう一つは毛様体筋のはたらきによって、遠近に焦点を合わせる調節をしています。脈絡膜は網膜への栄養補給をおこなっています。ぶどう膜の内側には第三の膜である網膜がある。

前述したように、カメラと目の構造は酷似しており、次のように対比できる。

カメラ   →  目

 ボディー  →  強膜(しろ目)

 フィルター →  角膜(くろ目)

 レンズ   →  水晶体

 しぼり   →  虹彩(こうさい)

 フィルム  →  網膜(もうまく)

 

*1:黄斑(macular は、眼球内部の網膜の中心部で黄色を呈した部分をさす。黄色く見えるのはこの部分にキサントフィルという黄色の色素が多いため。黄斑の中心に中心窩といい、視細胞が最もきめ細かく配置されている場所であり、視野のなかで最も解像度がよい部分である。(写真で言えば、レンズ前に取付ける黄色のフィルターと見做すことができる)

視細胞には明るさに鋭敏な桿体細胞と、色彩に鋭敏な錐体細胞とがあり、黄斑では錐体細胞の密度が高い。このため、見ているものの形や色彩をはっきり見分けることができ、視力の中心的機能を担う。

黄斑から周囲に離れるにつれ錐体細胞は少なくなっていき、桿体細胞が多くなる。暗がりであってもわずかな明るさの変化を広い範囲で感じることができるのはこのためで、形の詳細はわからなくても「何かが動いた」ことは知覚することができる。これが動体視力である。ここで、なにかが動いたことを察知した後、目のある頭や体の方向、目自体をその対象にむける知覚認知行動としての反射(眼球運動反射)が起きる。これは「何か」を黄体で捉えてより詳細に形や色彩などを見ようとする無意識の行動である。

 

*2:中心窩(fovea, fovea centralisは、目の一部分であり、網膜の黄斑部の中心に位置する。 中心窩は、高精細な中心視野での視覚に寄与しており、これは読書、テレビや映画の観賞、運転、その他の視覚的詳細を扱うすべての活動において必要であり、最も重要な領域である。中心窩の外縁には傍中心窩(parafovea)があり、そのさらに外側には周中心窩(perifovea)がある。傍中心窩は中間の領域であり、神経節細胞層が5層以上の層をなしている。周中心窩は網膜神経節細胞が層構造をなしている最も外側の領域であり、最適な視力は得られない。そのさらに外側には、大きな周辺視野があり、低解像度の視覚情報処理に寄与している。視神経は中心窩由来の神経線維をおよそ50%含み、それ以外の網膜領域からの神経線維をおよそ50%含む。(写真で言えば、レンズの焦点位置に写し出されるカラーフィルムまたは個体撮像素子と見做すことができる)

 

・視細胞の働き

主に桿体の働きによってものを見ることを「周辺視」、錐体の働きでものを見ることを「中心視」といい、この二つは分業体制をとっている。

 周辺視でわずかに動くものや小さな変化を検出し、「何かある」ことが分かると、目や体を動かして、中心視で色や形を検出して、それが「何であるか」を詳しく知ることができる。

 最初に挙げた星や壁の汚れを例で攻めすと、高感度の周辺視では検出可能であったものが、感度の劣る中心視では検出できなくなってしまう。

このために、周辺視を効果的に使うことになる。つまり、外界の視覚情報を効率的に検出するには、この中心視と周辺視の役割を理解しておくと便利である。例えば、目の前の情報に集中しなくてはならないときに、視界の端の方で光が点滅したり、何かがチラチラと動いていると周辺視が「何かある」と発見し、そちらに目が向いてしまい、正面の情報への注意がおろそかになってしまう。

 一方、動きに敏感であるという周辺視の特徴を生かせば、緊急を知らせるライトなどは必ずしも正面にある必要は無く、視界の端ギリギリで捉えられる位置にあれば十分に検出可能といえる。網膜にある視細胞は、外部から入ってきた”光の情報”を、”電気信号”に作りかえる「情報変換装置」である。別名を、「光受容体細胞」ともいう。

 

・目の感度曲線(出典:http://www.mlab.im.dendai.ac.jp/web/no2/color/kando_curve.html

 人間の眼の網膜には、杆体(桿体)と錐体という二種類の視細胞が並んでいる。

 杆体は、感度は良いが色の区別を認識できず明暗の変化に感応するのみである。また、明るい場所では敏感に働かない。

錐体は三種類あり、それぞれ一番強く感応する波長域が打ち合わせ違う。

青錐体は、約430nmの波長、つまり青に一番強く感応する。

緑錐体は、約530nmの波長、つまり緑に一番強く感応する。

赤錐体は、約560nmの波長、つまり赤に一番強く感応する。

 三種類の錐体で感じたスペクトル情報は、脳で混ぜ合わされて「色」を判断する。つまり、加法混色による色覚を持つ。下図は、杆体と三種類の錐体の感度曲線である。三種類の錐体で外界のカラーをRGBに分けて取り込む。取り込んだRGBは、脳で加法混色される。

 

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桿体と錐体の感度曲線は下図に示すように、桿体(破線)が520nm付近に感度のピークがあるが、錐体(実線)は555nm付近にピークを持っている。

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心理的に変化する目の感覚(1/2)

#1 フェヒナーの法則

ICS_光_心理物理量_フェヒナー_法則_new
 ヴェーバー‐フェヒナーの法則(WeberFechner lawは、感覚に関する精神物理学の基本法則で、中等度の刺激について五感のすべてに近似を与えることが知られている。

・ヴェーバーの法則

エルンスト・ヴェーバーは、刺激の弁別閾(丁度可知差異:気づくことができる最小の刺激差)は、基準となる基礎刺激の強度に比例することを見いだした。

はじめに加えられる基礎刺激量の強度をR とし、これに対応する識別閾値をΔR とすると、R の値にかかわらず

 ΔR/R=Constant

が成り立つ。この一定の値をヴェーバー比という。

たとえば、100の刺激が110になったときはじめて「増加した」と気付くならば、200の刺激が210に増加しても気付かず、気付かせるためには220にする必要がある。

・フェヒナーの法則

ヴェーバーの弟子であるグスタフ・フェヒナーは、ヴェーバーの法則の式を積分することにより、以下の対数法則を導き出した。

刺激量の強度R が変化する時、これに対応する感覚量E

の関係となる。ここでC は定数である。つまり心理的な感覚量は、刺激の強度ではなく、その対数に比例して知覚される。

フェヒナーの法則と呼ばれることも多いが、ヴェーバーの法則から導出したことからヴェーバー・フェヒナーの法則とも呼ばれる。

たとえば、100の刺激が倍に増加して200になるときの感覚量と、200の刺激が倍に増加して400になるときの感覚量の変化は等しい。

 

#2 プルキニェ現象(ブルーシフト)

ICS_光_心理物理量_ブルーシフト_プリキンエ_new
 プルキニェ現象(Purkinje Phenomenonもしくはプルキニェ効果(Purkinje effectは、19世紀のチェコの生理学者ヤン・エヴァンゲリスタ・プルキニェが解明したことから名付けられた視感度がずれる現象をいう。「プルキニエ」や「プルキンエ」と表記されることもある。

色は網膜の視細胞で感知しているが、明るい場所では赤が鮮やかに遠くまで見え、青は黒ずんで見える。一方、暗い場所では青が鮮やかに遠くまで見えるのに対して、赤は黒ずんで見える。これは、桿体と呼ばれる視細胞の働きによるもので、人の目は暗くなるほど青い色に敏感になる。

防犯のために活用する動きも見られる。奈良県警はイギリスのグラスゴーの防犯対策に倣い(ただし、グラスゴーでは当初景観改善のために導入された)、奈良市で青色街路灯を導入し一定の効果をあげたため、奈良市以外でも天理市、生駒市など県北部の都市を中心に導入を進めている。現在は兵庫県においても多数採用されている。

 一方、ブルーシフト青方偏移またはプルキニェシフトともいい、近づいている天体からの光のスペクトル線の波長が、波長の短い方、すなわち青い方にずれているこという。これはドップラー効果によって起こり、遠ざかる速度が大きいほど、ずれも大きい。反対方向つまり赤の方向にずれる赤方偏移と対をなしている。

赤方偏移が、ビッグバン後の膨張宇宙の証明であることの反対解釈として、青方偏移は、「宇宙の縮小」=「世界の終焉」を象徴するSFのテーマに用いられることがある。

写真においては、明け方近くに太陽が出る直前にこのブルーシフト現象が見られ、とても幻想的な写真が撮られることで知られている。

 

#3 視覚範囲の比較

・視感度と錐体分光感度

視覚とは、光のエネルギーが網膜上の感覚細胞に対する刺激となって生じる感覚のことである。いわゆる五感のひとつである。「視覚」という言葉は、形態覚、運動覚、色覚、明暗覚などの総称として用いられている。

視覚によって、外界にある物体の色、形、運動、テクスチャ、奥行きなどについての情報、物体のカテゴリーについての情報、物体の位置関係のような外界の空間的な情報などが得られる。また、自己の運動に関する情報も視覚から得られ、時に視覚誘導性自己運動感覚などを引き起こす原因ともなる。

「したがって、視覚は光情報をもとに外界の構造を推定する過程とみなせる」と言われる[誰によって?]。脊椎動物の神経系では、可視光は網膜において符号化され、外側膝状体 (LGN) を経て大脳皮質において処理される。

本稿ではヒトを中心に、動物の視覚のみを扱う。脊椎動物(ヒトを含む)、節足動物(昆虫、甲殻類)、軟体動物(タコ、イカ)など、多くの動物が視覚をもつ。

なお、視覚を用いて認識することを「見る(みる)」といい[6]、転じて、「読む」、「会う」、「試す」などの意味もある(「試す」の意味での「見る」は、一般的には仮名書きされる)。遠くから大局を眺める、というニュアンスや、あるいは、深い認識の過程(いわゆる「心の目」)のほうを積極的に使う、といったニュアンスを含む場合は「観る」とも書く。

ICS_光_知覚_人間_鳥類_視感度_1_new 右図は、人間の錐体細胞(S, M, L)と桿体細胞(R)が含む視物質の吸収スペクトルを示したものである。

視覚系の感度は、光の波長によって異なる。ヒト視覚系の視感度は、明所視では555 nmでピーク値をとる。このときの感度を基準として、他の波長の光に対する感度を求めると、可視光全体に対する比視感度が求まる。暗所視では507 nmの光に対して最も感度がよい。暗所では感度曲線が短波長側にシフトしている。この事実をプルキンェシフト(#2参照)と呼ぶ。放射輝度と視感度をかけ合わせた値を輝度と呼ぶ。

明所視では色が知覚される。色覚異常者の視感度曲線や等色関数から、分光感度の異なる3種類の光受容器(錐体)が存在することが示唆される(三色説)。健常者の等色関数および2色型色覚異常者の混同色中心から、錐体分光感度を求めることができる。暗所視における光受容器(桿体)は1種類であるため色覚は存在しない。桿体分光感度は暗所視視感度に等しい。

ICS_光_知覚_人間_鳥類_視感度_1a_new視物資は、光受容器内の視細胞に含まれる感光色素タンパク質で、光を吸収する性質をもつ。脊椎動物の網膜には、桿状体(桿体)と錐状体(錐体)の2種類の視細胞があり、それぞれの外節には性質の異なる視物質が存在している。桿状体の視物質は桿状体物質、錐状体の視物質は錐状体物質とよばれ、前者は薄明視に、後者は昼間視に関係している。これらの視物質は発色団レチナール(11-シス型)とタンパク質部分であるオプシンとが結合したもので、光を照射するとレチナールはオールトランス型に変化する。オールトランス型レチナールは異性化酵素の作用で、ふたたび11-シス型となり、オプシンと結合して視物質が再生される。一方、レチナールにはレチナール1とレチナール2の二つがあり、オプシンにも桿状体オプシンと錐状体オプシンの2種類があるので、これらの組合せで4種類の視物質(ロドプシン、ポルフィロプシン、アイオドプシン、サイアノプシン)が理論上存在することになる。

 これまでに、ロドプシンが多くの脊椎動物の桿状体物質として、ポルフィロプシンが淡水魚や両生類の桿状体物質として、アイオドプシンが鳥類の錐状体物質として、それぞれ確認されている。ヒトでは単一錐状体の光吸収を測定することによって、それぞれ赤色、緑色、青色に感ずる3種類の錐状体物質を区別することができる。無脊椎動物では、頭足類の網膜や甲殻類、昆虫類の複眼からロドプシン様の視物質などが抽出されている。

ICS_光_知覚_人間_鳥類_視感度_1b_rev 右図に示すように、人間と鳥類の視覚範囲を比較すると、赤、緑、青の分光感度に差がみられ、かつ鳥類は紫外線領域にも視覚を持っていることが分かる。そのために下図のような黄色い花を見るときその見え方が違うのである。これは、人間と鳥類の視覚情報が生来違っていることが進化の過程で醸成されたもので、人間が見る花は美しさの探求に対して、鳥類は花の蜜(食べ物)と捉えられることが生活の糧になっているからである。


黒体と色温度

・黒体

ICS_光_色温度_黒体放射_1_原理_new黒体(black bodyあるいは完全放射体とは、外部から入射する電磁波を、あらゆる波長にわたって完全に吸収し、また熱放射できる物体のことをいう。

物体の色というのは、その物体が反射する可視光線の波長に由来する。通常、光源となる可視光にはさまざまな波長の光が混ざっており、物体は光源の可視光から特定の波長の可視光を吸収し、吸収された以外の波長がまざりあったまま反射し、これを人間は視覚によってその物体の色として認識している。物体が可視光を全反射すれば白く見え、可視光を全吸収すれば黒く見えることになる。さらに、光源自体も、すべての波長の可視光を放射する光源は「白」く見え、可視光を全く放射しない光源(もはや「光源」とは呼べないが)は「黒」く見えることになる。

実際の光は可視光以外の波長も含んでおり、また光は電磁波であることがわかっている。全ての波長にわたって電磁波を全く反射をしない物体を黒体と呼ぶ。ただし通常は光源であっても他の光源からの反射を含んでおり、光を発してないように見える光源も赤外線や電波などの電磁波を放射や反射により発している。全く反射や放射のない物体は存在しない。したがって完全な意味での黒体(完全黒体)は、理想気体や剛体のように現実には存在しない理論的なものである。ブラックホールなど近似的にそうみなせる物質、物体はある。現在、工業的に作り出された最も黒体に近い物質は、99.96 % の光(電磁波)を吸収するベンタブラックである。

ICS_光_色温度_黒体放射_スペクトル_3_2_new物体からの放射(反射を含まない)には、物体の相(固体・液体・気体)にかかわらず温度によって色が変わることが経験的に知られていた。この色も、さまざまな電磁波の波長の光が混ざっていることは変わりない。この色の変化は、波長ごとのの強度分布の変化であることがスペクトルの分析によりわかっており、また分布の仕方は温度によって一定であることも知られている。温度が高い、すなわち「熱い」とは、物体から放射される電磁波のスペクトル分布が短い波長を多く含んでいることであり、これは温度を持った物体に触れることなく空間を電磁波の放射によりエネルギーが伝わっていると解釈される。これを物体からの熱放射という。特に、黒体からの熱放射を黒体放射と言う(以前は黒体輻射ともいった)。この理想的な物体を考察することで、反射を考えず、物体からの放射だけを考えることができる。

ICS_光_色温度_黒体放射_スペクトル_4_revある温度の黒体から放射される電磁波のスペクトルは一定である。温度 T において、波長 λ の電磁波の黒体放射強度 B (λ) は、

ICS_光_色温度_黒体放射_スペクトル_04_rev



で表される。これをプランク分布という。プランク分布を全波長領域で積分することで、黒体放射の全エネルギーが T4 に比例する(E = σT4,σ:シュテファン=ボルツマン定数)というシュテファン=ボルツマンの法則を得る。また微分して B (λ) が極大となる λ を求めることで、放射強度最大の波長が T 反比例するというウィーンの変位則を得る。

・色温度

 色温度(color temperatureとは、ある光源が発している光の色を定量的な数値で表現する尺度(単位)である。単位には熱力学的温度の K(ケルビン) を用いる。

-概要

色温度は、表現しようとする光の色をある温度(高熱)の黒体から放射される光の色と対応させ、その時の黒体の温度をもって色温度とするものである。

どのような物質も、高熱を加えると、その温度によってさまざまな波長の光を放射するようになる。その色合いは、物質ごと、温度ごとに微妙に異なる。たとえば鉄の釘など金属をガスの炎で加熱すると光を発するようになる(実際には温度を持っていればオレンジ色よりも波長が長い赤外線、遠赤外線などをわずかに発している)。最初はオレンジ色であり、だんだん白く輝くようになる。

-色温度の単位

理想的な黒体を想定すると、ある温度において黒体が放射する光の波長の分布を導き出すことができる。温度が低い時は暗いオレンジ色であり、温度が高くなるにつれて黄色みを帯びた白になり、さらに高くなると青みがかった白に近くなる。このように、白という色を黒体の温度で表現することができ、この温度を色温度と呼ぶ。

ICS_光_色温度_黒体放射_スペクトル_4b_new
(このカラーチャートは概略図であり、特に物体を特定して色温度を計算したものではない。理論式については プランクの法則 を参照のこと。)

朝日や夕日の色温度はおおむね 2000 K であり、普通の太陽光線は 5000 - 6000 K である。澄み切った高原の空の正午の太陽の光はおおよそ 6500 K といわれる。これらは、一般に考えられている白よりかなり黄色っぽい。実際に物体を照らす光には天空光(直射日光以外の光)の青色がかなり色みに影響しており、6500 K よりも高い色温度では「白」く感じられる)。

ICS_光_色温度_黒体放射_軌跡_01_new
・色の再現性

写真やテレビ、パソコンのモニタ(ディスプレイ)などでは、色温度は色の正確な再現のために重要である。

ICS_光_色温度_電球_蛍光灯_1_new写真では、スタジオ撮影のライト(写真・映画用タングステンランプ)が 3200 K、太陽光線が 5500 K と想定されており、フィルム(長露光用のタングステンタイプと短露光用のデイライトタイプ)はこの色温度の照明下で最適な色再現ができるよう作られている。

色彩工学では「標準の光D65」が現在の事実上の標準であり、これは色温度 6500 K である。アメリカのカラーテレビ(NTSC)では色温度基準は 6500 K で、日本のテレビ (NTSC-J) の色温度基準は 9300 K であり、かなり青みがかっている。

パソコンのモニタは 9300 K が主流だが、極端な廉価品を除き、6500 KsRGBモード)と5000 K に変更できるため、グラフィックデザインや映像制作などの都合で適切な色温度を選べる。また、鋭く青白い 9300 K の設定から温和な 6500 K 5000 K に変えることで作業者の疲労感(ストレス)が和らぎ、色彩についての正確さが厳しく要求されない場面でもこの機能は有用である。また、ソフトウェアでもパソコンの色温度が調整できる。

・色温度と視覚

ICS_光_色温度_標準光源_rev人間の視覚における色の認識と色温度とは比例関係にない。そのため、人の感じ方により近い表現として、色温度の逆数である逆色温度を使う方法がある。逆色温度はケルビンでの値の逆数の K−1(毎ケルビン)ではなく、それを100万倍したミレッド (M) またはメガ毎ケルビン (MK−1) を使う(呼び名は違うが大きさは同じ単位である)。

屋内照明として広く利用されている蛍光灯は主に「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」に分類されており、順に約3000 K3500 K4200 K5000 K6500 Kである。これらは、それぞれ 333 MK−1286 MK−1238 MK−1200 MK−1154 MK−1 となり、全て差が 40–50 MK−1 前後になり、色の変化が一定に感じられる。色温度が高い側の間隔が広く、その中間の色温度の蛍光灯があまりないのはこのためである。前記のうち、現在は「電球色」「昼白色」「昼光色」が一般に販売されており、LED照明もこれに準じている。


 

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