アンディマンのテクノロジー(援技力)

写真表現に関わる専門的な知識を補うために設けたブログです。 新たらしい時代に相応しい技術情報を掲載していきます。 普段疑問に思った問題の解決に繋げるテーマを醸成していきます。

2019年03月

画像問題 (1/2)


ICS_画像問題_4テーマ_2b_new
 筆者はこれまでアナログとデジタルでは画像形成の範疇が違うので比較対象にはならないと言い続けてきたが、いまだにデジタルはアナログを凌駕したという人がいる。

しかし、技術も文化も違ってきている中で一体どちらに優劣があるというのだろうか?

強いていえば、時代の変遷によって(それに伴い技術の発展もあり)デジタルが主流になったに過ぎないのでデジタル優位であることには異論をはさむ余地はない。たが、デジタルにはデジタル固有の致命的な欠点があることを理解すべきである。

それは、図示したように主流となる問題点は「フレア」「モアレ」「ゴースト」および「ノイズ」の4つの要素である。これらはアナログにはない問題点で、これ以外にも従属的な問題として「スミア」「色飽和」「圧縮歪み」「輪郭描写(ジャギー)」「画像歪み」などがある。従属的な問題は別の参考資料を参照して頂きたいのでここでは省略して、主体的な「デジタル画像の問題点」ついて述べる。

#1 フレア

 太陽光などの強い光源方向にレンズを向けた時に、レンズ面や鏡胴で有害光が反射して発生する光のカブリ現象である。画像の一部や全体が白っぽくなり、シャープネスを奪う。

ICS_画像問題_4テーマ_2c_newレンズフレア (lens flare) は、カメラによって写真・映像を撮影する際に、極めて明るい光源がレンズに向けて当てられている時や、画角内に極めて明るい光源が存在する場合に 生じる、暗部への光の漏れである。

実写の映像で起きる現象をハレーションと呼ぶ事もあるが、ハレーションはフィルムのベース面で反射した光線が再び乳剤を感光させる現象であり、レンズフレアとは区別すべきである。

レンズ内面での再反射によっておこるフレアは、反射面の曲率や形状によりさまざまな形態のものが生じうる。特に凹面で強い光が再反射すると、光源から画面中心を基準に対称の位置に    レンズフレアとゴーストが生じた例

比較的はっきりとした像が現れる。このような形態のフレアを、ゴースト(ゴーストイメージ)という。

-フレアの防止

レンズフレアはレンズのマイナスの特性であり、発生させないようにするには使用レンズの特性を把握している必要がある。レンズフレアが発生しないようにハレ切りと呼ばれる作業を行うが、これは慣習的な言葉の使用で、本来はフレアの防止である。 本格的なカメラには必ず付けられるレンズフードなども、レンズフレアを抑制する為のものである。

フレアを防ぐためにレンズ鏡筒の内面反射防止の塗装や静電気植毛などの工夫がなされている。また各レンズ表面にはコーティングが施されている。コーティングも単層コーティングや多層コーティング(マルチコーティング)にとどまらず、ナノクリスタルコートなどといった新しい技術が開発されている。

-映像効果としての利用

その一方で、レンズフレアやレンズゴーストは太陽など明るい光源を強調するための映像効果として、映画・テレビドラマ・アニメ・テレビゲームなどにおいてよく利用される。レンズフレアのエフェクトを作る機能は多くのデジタル合成ソフトやCGソフトに搭載されている。レンズフレアやレンズゴーストの色・形は撮影に使用されるレンズによって異なり、それを再現するプラグインも存在する。

 

#2 モアレ

 モアレまたはモワレ(仏: moiré)は、干渉縞ともいい、規則正しい繰り返し模様を複数重ね合わせた時に、それらの周期のずれにより視覚的に発生する縞模様のことである。

また、規則正しい模様を、デジタル写真などのビットマップ画像にした場合も、画像の画素解像度と模様の周波数のずれが原因で同様の縞模様が発生するがこれもモアレと呼ぶ。また印刷でも網点という点の集まりに画像を変換するので同様の現象が発生する。

モアレそのものも周期を持ち、この周期は元になる模様の周期の組み合わせで決まる。物理学的にいうと、モアレとは2つの空間周波数のうなり現象といえる。様々な形態で発生するため、モアレにもいろいろなものがある。モアレを望ましからぬものとして取り除く対象にする場合もあり、逆に発生したモアレを有用なものとして利用する分野もある。

ICS_画像問題_4テーマ_2d_new
・概要

1のように2組の平行模様を斜めに重ねると交差部分が平行線の周期とは異なる縞模様になる。これがモアレの代表的な例である。 モアレは平行線でなく、碁盤の目のような平面パターンでも発生する。たとえば、升目のピッチが異なる二つの市松模様を重ねると発生する。図2に縦横に並んだ模様(金属板に開いた丸穴)の重なりによるモアレの例を示す。これは二次元空間周波数のうなりである。この効果は印刷分野や画像処理分野では特に注意を要するものである。

・いろいろなモアレ

-モアレを利用した測定

モアレは迷惑な現象だけではなく、これを積極的に利用することもある。高精度の位置決め用の位置センサの一種モアレスケールでは、わずかにピッチを変えた平行縞を重ねたときに発生するモアレが、2つの平行縞の相対変位よりも大きく移動することを利用し、変位を拡大して測定するものである。また、立体の表面に2つの格子縞を投影したときに発生する干渉縞の形状(等高線)から物体の立体形状を得る方法を、モアレトポグラフィという。脊柱検査の一環でモアレ撮影(検査)にモアレ写真法が使われる。

-印刷

印刷では、写真のような階調を表現するために、網点を用いる。すなわち色の濃さを規則正しく配置された点それぞれの大きさで表現する。このため、印刷された写真をもとに原版を作成して再び印刷すると、網点のピッチの違いや、ピッチが同じでもわずかな傾きによってモアレが発生することがある。またカラー印刷では、複数の色版の網点を重ねて印刷するため、周期的な色模様がみえる場合がある。このため、各版はモアレが最も目立たないとされる角度に網点を傾けて印刷している。 単色では45度、CMYKでは、モアレが目立つCMK3色のうち1色を45度に置き、これに対して他の版をそれぞれ30度ずつ離しておくのが伝統的な角度である。そしていずれか2色の中間にモアレがめだちにくいY版を置くようにする。(例としてM版を15度、K版を45度、C版を75度、Y版を30度)。モアレの出た写真は極めて見栄えが悪いため印刷においては注意して避けるべき点の一つである。

-画像処理

ICS_画像問題_4テーマ_2e_new
 コンピュータによる画像処理においても、画像は画素とよばれる縦横に周期的に配置した点に分解して表現することから、印刷と同様なモアレが発生する可能性がある。

画像処理の過程では、縦横画素数を整数分の1以外の大きさに縮小・変形した場合に発生しやすい。グラフィックソフトウェアにおいて縮小が単なる間引き処理であると、ありもしない模様が発生 (偽解像) する。これは折り返し雑音の一種である。これを防ぐためには、縮小後の画素位置周辺の縮小前の複数画素からの距離と強度で重み付けするリサンプリング処理などが有効である。

デジタルカメラでは、画素が縦横に規則的に配列されているため、画素ピッチの1/2を超えるピッチの明暗模様を撮影すると偽解像する。レンズの解像度がこれより低い場合や光路で干渉によるボケ (小絞りボケなど) が生じる場合は問題にならないが、一般的にこれを解決するアプローチとして、撮像素子の手前にローパスフィルタ (画素ピッチ程度にぼかすフィルタ) を入れるのが普通である。なおフィルムカメラでは、画素にあたる感光粒子が不規則に配列しているため、この問題は生じない。

網点印刷された写真などをスキャナで入力する場合にも写真とスキャナの分解能の差次第でモアレが発生する。スキャナの光学的な分解能が高い場合には、網点のピッチ以上の解像度でスキャンした後、グラフィックソフトウェアにおいて必要とする分解能まで落とす (間引きではなく補間する) アプローチが有効である。

表示においては、処理する解像度と表示する解像度が異なる場合にも発生することがある。グラフィックソフトウェアなどで縮小表示するときに、やはり表示分解能で補間するフィルタ処理が必要であるが、高速表示のためにこれを省いているグラフィックソフトウェアも多い。

-テレビ

テレビでも走査線が上下方向に周期的にならぶため画像処理と同様な問題がある。

さらにアナログテレビ、特にNTSCカラー方式においては、輝度信号において細かな模様を伝送する高周波領域と、色差信号とが、クシ状に交互に重畳されているため、信号の干渉により色付きのモアレ状の画質劣化が発生する。これはモアレ現象というよりカラー方式の信号処理の限界から来る現象で、クロスカラー妨害と呼ばれる。

アナログ方式のVTRでは、記録時の時間軸のわずかな揺れ(ジッタ)によって色がわずかに変動し、これがモアレ状の画質劣化として感知されることがある。

 

以降は次回に続きます。

画像表現の影響と基礎概念

ICS_画像変換_色度_明度_変化_画質影響_new

 色度とは、目で感じる色は明るさと色の性質とによって決るが、明るさを無視した色の性質をいう。色度を表わすにはいくつかの方法があるが、一般的には主波長と純度との組合せにより、またはその色に含まれる三原色の割合によって表わされる。つまり、色度図に描かれるxy成分を指す。

 明度とは、色の明暗を表す数値をいう。この数値を増減することで色の明暗を調節し、数値が高いほど明るい色を表現する。色相、彩度とともにHSB、または色の三要素と呼ばれる。

この定義にあるように、色度と明度の違いは「明るさ」が画質に対して直接的に影響度を与えるか否かに依っている。したがって、画像処理で「ぼかし」をかけてみるとよく理解できると考えているがこの結果は、明度をぼかした方が変化に大きく影響する。その理理由は、色度は色の明るさ(明度と彩度の両成分による)をコントロールするだけなので色度成分そのものにはあまり変化を与えない。一方、明度は明るさ、つまり明暗の成分のみをコントロールするために色度成分を大きく変化させる。

一方、よくカラーからモノクロに変換してもどうも上手くいかないという質問を受けるが、これはいったい何が原因しているのだろうか?

どうも変換処理ときに、「彩度ゼロ」にしたとことである。

確かに「彩度ゼロ」にすればカラー成分がなくなり、モノクロ(無色のグレー)になるというのが一般原理である。しかしよく考えてみると、このモノクロ変換は通常市販されているレタッチソフトを介して行われている。したがって、ソフトの特性というかアーキテクチャというか、使用するソフトの違いによって、その変換処理の違いが画質に影響する。また、原画像の色特性や配色によっても違いが発生する場合がある。

ICS_画像変換_カラー_モノクロ_変換_画質影響_new
 図は、市販のソフトで彩度をゼロにしたものと、グレースケール変換したものである。両者を比較すると、彩度ゼロでは全体の濃淡の差があまり見られないが、グレースケールではメリハリがあり、はっきりした画像となっている。好みの問題もあるが、概してグレースケールが良いと判断する。余談になるが、この画像では見られないけれど、彩度ゼロにすると白やグレーの部分にうっすらと色味が出ることがある。

ICS_画像変換_色域圧縮_概念_2_new
 写真で撮影した画像はRGB系で出力直前まで維持され、印刷またはプリントする際にCMY系に変換される。この時に最も注意すべき点は、変換先のCMY系がRGBより色域が狭いので、すべての色が出力されるとは限らないことである。そのためにレンダリングインテント(描画意図)して近似色に変換して色を表現することである。そのために厳密にいえば原画に忠実な色再現ができるとはお世辞にも言えない筈である。

幸いにも人間の目(色覚)は曖昧さが残るので程度問題もあるが若干色がズレていても同じ色と判断(知覚or弁別)するので、こうした問題は解消されている。

ICS_画像変換_色域圧縮_マッピング_new
 画像表現でもうひとつ注意しておかなければいけないのは、使用されるデバイスによっても色域(表現される色の範囲)は異なっている。これは上述した色空間変換と同様に、同じRGB系やCMY系であっても色再現に違いが出てくるのである。したがって、一般に広い色空間から狭い色空間へ色変換する場合は、最も相応しいレンダリングインテント(CIE4つの変換方式を推奨している)を使用して色の変換ロスや好ましくない色への変換をコントロールする必要がある。

ICS_画像変換_色域圧縮_概念_1b_new
 CIE xy色度図は、例えばCIE XYZ色空間をベース(XYZの三次元表示)に明度軸を無視した色空間(Z軸方向から見るのでZ値は圧縮されている)を表現している。したがって、一般的にみる色度図は、釣鐘型(ヨットの帆型ともいう)になっている。しかも色空間をZ軸方向からみる形となっているための色の分布が一様になっていない。このために、色空間は均等性を欠いて、同じ色に見える範囲(色差)がことなる。この色差はいわゆる「マクアダムの楕円」で証明されているように楕円の大きさが色度図の中で違っているのである。(均等色度図=uv色度図はかなり同じ大きさの楕円に近くなっている)

そのために「均等色空間」が要望されるようになり、結果としてCIE L*a*b*HSV色空間などの均等色空間が生まれた。

ここでいう均等色空間とは、等しい大きさに知覚される色差が、空間内の等しい距離Sに対応するように意図した色空間をいう。つまり、色空間内では色差は同じ大きさの同心円であり、色相は同じ角度でちょく広がり、彩度は一定の変化率で直線的に伸びるのが理想である。しかし現実には、色空間が歪んでいるので色差は同じ大きさの円にはならず(楕円)、また色相は等間隔にならず、彩度も直線(図で放射状に延びる線)ではなく歪んだ線となってしまう。(下図参照)

ICS_画像変換_色域圧縮_概念_1c_new

画像表現(疑似階調)

 画像表現の中で階調をどう表現する(表現できる)かが問題となる。特に印刷においては仕上り画像として「出力」させる上での重要な課題でもある。

ICS_画像変換_疑似階調_ディザ_誤差拡散_2_rev
 上図は、網点による階調表現法と誤差拡散による階調表現法の例を示す。単純に網点では、画像の表現が単一的でメリハリがないが、誤差拡散を行うと立体的表現が可能となりメリハリがはっきりするようになる。

階調表現法とは、いわゆる「ハーフトーン処理」を行う方法を指すが、この方法には「組織的ディザ法」と「誤差拡散法」の2種類がある。

階調表現は、一定面積を単位として、この面積の中の
白・黒の画素数を変えることで階調を表現する方法がある。電子写真プリンタなどは、トナーを付着させるか(黒)、させないか(白)、という
2つの状態で記録する。このような記録方式に適した手法としてディザ法の例を用いて説明する。

組織的ディザ法は、一定の値と画像信号を比較すると、この固定値を境にして、全面が白になるか黒になるかのどちらかの画像となり階調画像は思ったようにうまく表現できない。階調を表現するには、白黒の密度を変化させることがポイントであるが、ある一定面積の中で、白黒の画素の数を変化させるという方法がある。これを面積階調というが、この方式では”固定した同一の閾値”と画像信号を比較するのではなく、一定の大きさの中で、閾値自身も変化させるようにし、この変化する閾値と画像信号を比較させることになる。

勿論、組織的ディザ法では、画像信号と比較する閾値を一定面積中で、あるルールにもとずいて配置している。例えば今、画像信号が仮に0~1の範囲にあるとし、階調数を17段階(全白を含め)で表現すると仮定する。こ場合、画像信号を01/171/172/17,・・・・,(n-1)/17n17,・・,16/17~1のように17分割することになるが、その場合nに対応して閾値は116までの16個の値をとる。

 組織的ディザ法では17階調を表現する場合、4画素×4画素を1つの単位とし、この中に116までの16個の閾値を配置する。

ICS_画像変換_疑似階調_ディザ_パターン_1c_rev
上図に示すように2値化した濃淡画像を実際に画像データとして処理する場合、濃淡をどのように表現するかの一例である。要するに用紙に印刷する場合はデジタルデータとして処理し、そのデータに合わせて印刷するのである。当然のことながら、ドットが増えて行くに従って面積が広がり、濃度が濃くなっていくのが分かる。

ICS_画像変換_疑似階調_ディザ_パターン_1a_rev

ハーフトーン(英: Halftoneとは、上図に示すように網点のことを指すが、グレースケールやカラーの画像を限られた色数(例えば、白い紙上の黒い点など)の小さな点のパターンで表すことで印刷可能にしたものである。印刷は紙の上の各点について、インクを置くか、紙をそのままにしておくかという2値状態で情報を表す。つまり、基本的には二値画像だけが印刷可能である。しかし、網点技法により、連続した色調の画像を再現することが可能で、グレイやカラーの様々な陰影の画像を印刷できる。グレイ階調の網点では基本的に白い背景の上に黒い小さな点のパターンを並べる。十分な距離からこれを見ると、点が非常に小さいため、人間の眼ではその点を識別できず、灰色であるかのように見え、黒い点と白い背景の面積の割合によってその部分の明るさが決まる。例えば、多数の黒い点や大きめの黒い点がある場合、暗い灰色に見え、黒い点が少ない場合や小さめの点だった場合には明るい灰色に見える。

ICS_画像変換_疑似階調_ディザ_パターン_1b_rev
CMYK分離の色網点の例。左から、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、それらの合成、人間の眼から見てどう見えることを期待しているかを示す。

カラー印刷では、限定された色数のインクを使うことが多い。例えば、よく使われるのは、シアン、マゼンタ、イエロー(黄色)、ブラック(黒)という色のセット(CMYK)である。色網点では、これらの各色のインクについて網点のパターンを生成する。そして、それらパターンを重ね合わせることで、各色の割合に応じた色調が(人間の眼から見て)表現される。

印刷技術によっては、二値出力だけでなく、多段階の出力が可能なものもある。つまり、印刷機(プリンタ)によってはインクやトナーを中間的な強さで置くことができる。しかし、このような機能は段階数に制限があり、あまり信頼できない。従って、高品質な画像の印刷には今でも網点技術は有用である。

なお、現在の印刷においては、網点の様に規則的な点による中間色表現以外に、インクジェットプリンタでの印刷や一部の高品位印刷において、FMスクリーニングを用いての中間色表現が用いられることがある。この様なFMスクリーニングによる中間色表現に対し、網点による中間色表現をAMスクリーニングと呼ぶこともある。

ICS_画像変換_疑似階調_ディザ_誤差拡散_1_rev
FMスクリーニングfrequency modulation screening

従来の印刷では網点の大小により階調を表現していた(Amplitude Modulation(AM) Screening).本方式では,一定領域内の微細な点の分布を変化させ,その数の合計により階調を表現する.階調が滑らか,モアレの発生なし,などの利点はあるが,品質管理などの問題も残る.

AMスクリーニング(amplitude modulation screening

網点またはハーフトーン(Halftone)のことを指す。つまり、グレースケールやカラーの画像を限られた色数(例えば、白い紙上の黒い点など)の小さな点のパターンで表すことで印刷可能にしたものである。印刷は紙の上の各点について、インクを置くか、紙をそのままにしておくかという二値状態で情報を表す。つまり、基本的には二値画像だけが印刷可能である。しかし、網点技法により、連続した色調の画像を再現することが可能で、グレイやカラーの様々な陰影の画像を印刷できる。グレイ階調の網点では基本的に白い背景の上に黒い小さな点のパターンを並べる。十分な距離からこれを見ると、点が非常に小さいため、人間の眼ではその点を識別できず、灰色であるかのように見え、黒い点と白い背景の面積の割合によってその部分の明るさが決まる。例えば、多数の黒い点や大きめの黒い点がある場合、暗い灰色に見え、黒い点が少ない場合や小さめの点だった場合には明るい灰色に見える。

 

組織的ディザ法と誤差拡散法・・・疑似階調表現

ICS_画像変換_疑似階調_ディザ_パターン_2_new組織的 ディザ法(単に、ディザ法ともいう)は、2値でグラデーションを表現するもので、ハーフトーン処理を行う際黒と白つまり輝度が0255の色だけを用いてハーフトーン(中間色)を表現しようという技術で、2値しか出力できない表示装置でなんとかグレースケールを表現しようとしたものである。具体的には目の錯覚というか,点の密度が大きいところは濃く見え,小さいところは薄く見えることを利用している。

つまり、グレースケールの画像を小さいブロックに分割し、それにマスクを掛けて閾値を越えたピクセルを白、下回ったものを黒というように処理している。ディザ法において閾値のパターンはいろいろあり、分割するブロックの大きさもいろいろあるので使用目的に合わせて適当なパターンを選択するのが肝要である。

誤差拡散法は、こちらもディザ法と同じく2値の出力のみでグレースケールを表現しようとした処理である。ディザ法では各ピクセルに対する閾値は事前に決まっていたが、誤差拡散法では1つのピクセルを処理する度に、元の値と処理後の値の誤差を未処理の周りのピクセルに影響を及ぼし,誤差を拡散しながら処理する。ディザ法の方が処理がシンプルであるが、誤差拡散法の方が自然な形でグレースケールを再現することが出来る。

ICS_画像変換_疑似階調_誤差拡散_1次元_new
ICS_画像変換_疑似階調_誤差拡散_n次元_多値化アルゴリズム_new
 誤差拡散法は画像の左上のピクセルから順に右方向に、上から下へ処理する。毎回ピクセルを処理するときに誤差を周りに拡散していが、1次元と2次元で処理する方法が考えられている。

誤差拡散は、上図に示すように文字通りある閾値のレベルを決めて、閾値以上の値は上限値(255)に、閾値以下の値は下限値(0)にそれぞれ与えてやりその時に発生した誤差分を次のビット(入力信号から出力信号に変換する値)に反映させてゆく(分散する)方法である。つまり、最初のビットを起点として次々と誤差を繰り込んでゆくために個々のビットは2値とはいえかなり正確な値で配列されるようになる。

上図で1次元は25502値に誤差拡散する方法であるが、中間値をもつデータでは3値以上に多値化することもできる。ここでは一方向のみの例を示したが、実際の画像は平面的にデータが配列されているため、水平方向と垂直方向の両方に渡って誤差拡散が行われている。

 実際の画像処理では、ハーフトーンパターンフィルターを使用して、画像をドットで表現するが、画像内の異なるグレーの濃度を、さまざまなサイズのドットで表現した単色画像で構成される。ハーフトーンパターンフィルターを使用すると、連続階調を維持したまま、画像にハーフトーンスクリーンの効果を与えることができるメリットがある。

 

演色性と演色評価数について

ここで述べる「演色性」は、これまで扱ってきた「光や色の三原色」や「光源の色温度」とは若干異なるもので、色というものを考えるときに見逃してはならない要素である。そこで今回は演色や炎色といった概念について説明する。

a.炎色反応

・概念

演色反応焔色反応ともいう)とは、下図に示すようにアルカリ金属やアルカリ土類金属、銅などの金属や塩を炎の中に入れると各金属元素特有の色を示す反応のことを指す。これは、金属の定性分析や、花火の着色に利用されている。

ICS_画像評価_演色評価数_試験色見本_3_new
・反応の原理

 

ICS_画像表現_色差_マクアダム_楕円_2b

 熱エネルギーによって外殻へ励起した電子が基底状態へ戻る際に生じる発光が炎色反応である。

高温の炎中にある種の金属粉末や金属化合物を置くと、試料が熱エネルギーによって解離し原子化される。それぞれの原子は熱エネルギーによって電子が励起し、外側の電子軌道に移動する。励起した電子はエネルギーを光として放出することで基底状態に戻り、この際に元素に特徴的な輝線スペクトルを示す。従って、比較的低温で熱励起され、発光波長が可視領域にある元素が、微粉末や塩化物のような原子化されやすい状態になっているときにのみ、炎色反応が観察される。

 

b.演色性

 演色性とは、ランプなど発光する道具・装置が、ある物体を照らしたときに、その物体の色の見え方に及ぼす光源の性質のことである。

一般的に自然光を基準として、近いものほど「良い」「優れる」、かけ離れたものほど「悪い」「劣る」と判断されるが、演色性に正確性を要求されるような専門的分野においては、数値化された客観的判断基準が設定されていることが多く、演色評価数(Color Rendering Index、略称:CRIがこれにあたる。

 

c.演色評価指数

 演色評価数(CRIは、2つの光源(光源と太陽光)の下での人間の裸眼による色知覚の程度を示すものである。

ICS_画像表現_色差_マクアダム_楕円_3a

 上図左側の1~15の色票はCIEが定めたもので、演色性を評価するのに用いられている。

また、上図右側のグラフは各色票における厳密な分光特性を示す。

[注]色票は筆者が作成したもので、正確な色を表現してない。

・演色性の客観的基準

演色性を数値として評価する方法を、国際照明委員会 (CIE) が定めている。委員会加盟各国はこれに合致するように各々の国内規格を定めているが、日本でも JIS Z 8726:1990(光源の演色性評価方法)としてJIS(日本工業規格)化されている。

規格では、完全放射体の光またはCIE昼光の光を基準光とし、基準光との比較の上で、測定対象となる光源が、演色評価用の色票を照明したときに生じる色ずれを、100を最良(色ずれなし)とする0100の指数 (Ri; Rendering index) として表したものである。

演色評価数には平均演色評価数 (Ra; average of Rendering index) と特殊演色評価数 (R9R14およびR15の指数) がある。JIS規格がCIE規格と唯一異なる点として、「日本人の肌の色」として解説されるR15色票の追加が挙げられるが、一般によく使われる平均演色評価数はR1R8の演色評価数の平均値であるため、CIE規格との乖離は発生しない。

平均演色評価数 (Ra)8 (R1R8) の色票を用いて評価した演色評価数を平均したもの。

平均演色評価数の評価に用いる試験色 (R1R8)


R1

R2

R3

R4

R5

R6

R7

R8

マンセル値 

7.5R6/4

5Y6/4

5GY6/8

2.5G6/6

10BG6/4

5PB6/8

2.5P6/8

10P6/8

色(参考)









 

・特殊演色評価数Ri

R1R8に含まれない7 (R9R14, R15) の試験色の色票を用いた演色評価数。Raと異なり平均で表すものではなく、R9の指数80R10の指数82、などのように個別に表す。

(R9)、黄 (R10)、緑 (R11)、青 (R12)、「西洋人の肌の色」(R13)、「木の葉の色」(R14)、「日本人の肌の色(R15)」として解説されることがあるが、JIS規格ではこれらの呼称は用いられていない。

特殊演色評価数の評価に用いる試験色 (R9R15)


R9

R10

R11

R12

R13

R14

R15

マンセル値

4.5R4/13

5Y8/10

4.5G5/8

3PB3/11

5YR8/4

5GY4/4

1YR6/4

色(参考)








 ものが自然に見える「基準となる光源」を考えその値を100点にし、「基準光で照らしたときの色」と「評価したい資料光源で照らしたときの色」の差(色差)を100点から引いた値を試料光源の演色性の善し悪しを表す値と考える。つまり、基準光と同じ色となるならその光源は100点満点だということになる。この光源の演色性の善し悪しを表す値を上述したように演色評価数(Color Rendering Indexと呼んだ。これを式で表すと、

          演色評価数=100-4.6×ΔE

 “4.6”という係数は演色性が許容される限界と考えられる電球色の普通形蛍光ランプが50になるように調整する係数である。ΔE1のとき演色評価数が4.6変化することから、演色評価数の5程度の変化はたいした変化ではない(悪影響を及ぼさない)といえる。

 1~15までの色の11つの演色評価数を、ある特定の色ii115)に対する演色評価数だから特殊演色評価数Riという。

          Ri100-4.6×ΔEi

1から8の特殊演色評価数の平均値を平均演色評価数Raと呼ぶ。

          Ra=Σ(i=18Ri×1/8

 通常、平均演色評価数Raと、必要に応じていくつかの特殊演色評価数Riを補足して評価する。基準光は「評価したい光源と同じ色温度」の太陽の光を用いる。

この「評価したい光源と同じ色温度」というところが重要で、これはつまり色温度が違う光源は基準となるものが違うので、色温度が違う光源同士の演色評価数を比較することはできない(意味が無い)のである。

 実際の蛍光灯では普通形、高演色形、3波長形に分類されている。高演色形では演色A、演色AA、演色AAAといった区分になっていて、それぞれ、                                          

      DL  De Luxe

      SDLSuper De Luxe

      EDLExtra De Luxe

と表示されている。

・平均炎色評価数Ra

いかに基準光源による色彩を忠実に再現しているかを指数で表したもので、原則として100に近いほど演色性が良いと判断される。

ただし、色温度の高低差により基準光が異なるため、色温度差のあるランプ間でRa値のみを比較することは間違いのもとになるので注意を要する。(白色電球はRa=100であるが、だからといって最も良い光源であるとは限らないのである)

また、平均演色評価数Raは、色の好ましさを表しているものではないので単にRa値が低いというだけではそのランプの実用的価値が低いとはいえない。ちなみに主要なランプのRa値は、下表の通りである。因みに、印刷業界では、Ra90と定めている。

 
ICS_画像評価_演色評価数_試験色見本_4_new


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