アンディマンのテクノロジー(援技力)

写真表現に関わる専門的な知識を補うために設けたブログです。 新たらしい時代に相応しい技術情報を掲載していきます。 普段疑問に思った問題の解決に繋げるテーマを醸成していきます。

2018年12月

ルックアップテーブル(LUT)の使い方

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「ルックアップテーブル」はフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば、次のように意味づけされている。「計算機科学におけるルックアップテーブル(Lookup table)とは、複雑な計算処理を単純な配列の参照処理で置き換えて効率化を図るために作られた、配列や連想配列などのデータ構造のことをいう。例えば大きな負担がかかる処理をコンピュータに行わせる場合、あらかじめ先に計算できるデータは計算しておき、その値を配列(ルックアップテーブル)に保存しておく。コンピュータはその都度計算を行う代わりに配列から目的のデータを取り出すことによって、計算の負担を軽減し効率よく処理を行うことができる。高価な計算処理や入出力処理をテーブルルックアップで置き換えた場合、処理時間を大きく削減することができる。他にも、あるキーワードを基にあるデータを取り出すとき、その対応を表としてまとめたものもルックアップテーブルといえる。テーブルの作成方法には、コンパイル前に計算したものを静的に確保したメモリに格納しておく方法や、プログラムの初期化処理中に計算(メモ化)やプリフェッチを行っておく方法がある。また、入力された値がルックアップテーブルにあるか調べることで入力値のチェックを行ったり、プログラミング言語によっては、ルックアップテーブルに関数ポインタ(あるいはラベルへのオフセット)を格納しておいて入力に応じた処理を行ったりするといった応用的な使い方をされることもある。」

実際にはどのようにLUTが使われているかというと、図1に示すように色空間を変換する場合に用いられる。もちろん通常色変換*1を行う場合には、色変換式を使ってそれに画像データを当てはめて行えばよいが、この方法だと効率が悪くなるので、LUTを使って効率的に色変換を行うことになる。

LUTの作業は、一般に図2に示す通り、一元(1D)と三次元(3D)があり色空間変換のバックグラウンドで高速で処理される。

Dの場合は、入力データがR:60G:70B:80であるときは、表中の「In」が60の時に赤のOut80InG:70の時は、Out95InB:80の時は、Out95となり、

基の画像がR:60G:70B:80のデータは、色空間変換後の画像データはR:80,G:95,B:95となる。また、3Dの場合は、入力データがR:50,G:60,,B:50のとき、出力はIn3つとも一致するものを選択し、その出力としてR:75,G:80;B:70という画像データに変換される。

このように、LUTは元の色空間と変換先の色空間が表(テーブル)に置換されているデータを選ぶだけで良いことになるので素早く変換することが出来き、処理時間が短縮される。


*1 色空間変換:

ICC(インターナショナル・カラー・コンソーシアム、International Color Consortium)に準拠したカラーマネージメントシステムでは、装置やデータドキュメントで使用されるRGBCMYKなどのデバイスディペンデントカラー(Device Dependent Color/装置依存色)を、ICCプロファイルを使用してCIE L*a*b*CIE XYZなどのデバイスインディペンデントカラー(Device Independent Color/装置非依存色、装置独立色)で管理されるPCSProfile Connection Space)に色空間の変換を行う。

 

色表現の方法

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 図1に示すように、表現色としては光源色物体色2種類に大別される。そして各色は光源色RGBで構成)と物体色CMYで構成)ともに256階調ある。従って、これらを組み合わせたフルカラーは約1,677色(256x256x256)となる。ここまでは周知のことなどで詳細は省略するが、意外とわかっていないのが「黒」の存在である。

一般に「黒」と言ってもいろいろとあるが、意味づけや表現内容が多岐に渡っていて分かり難い面がある。

まず、光源色で言えば、RGB全てを混合すると白になり、どんな色を混ぜ合わせても黒にならない。(加算なので色を混ぜると白に近づく)では、どうするかというと、RGB全ての光源を遮断した時の色となる。(最も顕著で分かり易いのがブラックホールである。何せ、すべての光を吸い込んで光の反射がゼロだからである)

一方、物体色は「色フィルタ」と「色材」(絵の具やインクなど)によってCMY全てを混合すると黒なる。ところがこの黒は混合方法によって表現方法が異なる。つまり、色フィルタの場合の黒は、コンポジット(複数のものを組み合わせたもの)の黒でBK(Bk)で表現するが、色材の場合の黒は墨版のKで表現する。このKKey Plateの略で画像の輪郭など細部を表現するために用いられた印刷板のことをいう。よくある間違いで、「Black」末尾の「K」や「くろ」の「K」と解釈されたことである。「Black」の頭文字の「B」にすると英語の「Blue」や「Brown」と紛らわしいので末尾の「K」にしたと間違った説が普及してしまったことによる誤謬である。また、「くろ、Kuro」の「K」も間違いである。

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 図2に示すように、通常、色は「色光」であれ「色材」であれ、三原色を基調として8ビットなどの階調で表現される(色深度)。当然のことながら色深度の総数が8ビット、16ビット、24ビットとビット数が多ければ多いほど色の表現できる範囲は多くなる。

だからと言ってむやみに色深度を増やしても意味がない。その理由は人間工学的な見地から眼の解像度(色の識別能力)は約700万画素から多くても1,000万画素と言われているので、フルカラーで約1,677万色あれば十分に足りるのである。だからむしろRGBCMYの各色が8ビット(256階調)となっている根拠にもなっている。

当然のことながら色深度は使い方によって適切な画像表現が得られる色構成を選べば良く、効率良く運用することが肝心である。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると、色深度とは、「コンピュータグラフィックスにおける概念で、カラーやグレースケールのビットマップ画像でのピクセル毎のビット数を意味する。bits per pixelbpp)という単位で、グラフィックス機器のスペック表記などで使われる。色深度は色表現の1つの側面のみを表しており、表現可能な色の多さを表している。もう1つの側面として色域をどれだけ広範囲に表現できるかという観点もある。色深度と色域によって色の符号化仕様が定義され、色符号の値と色空間における位置が対応付けられる。」である。

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 図3は、RGB表色系とCMY表色系の三原色をそれぞれ10段階の階調で表現したものである。この程度階調表現でも隣接する色区画の境界があいまいになり区別がつかなくなってきていることが分かる。

階調とは、色や明るさの濃淡の段階数をいう。ディスプレイやプリンタなどの画質を決める要素のひとつで、色や明るさの表現力の単位として使われる。階調が多ければ多いほど、色や明るさの変化をなめらかなグラデーションで表現でき、自然に近い描画ができる。階調は数値で表され、2階調や16階調、256階調というように表現する。

白黒の2階調では、濃淡を白と黒の2段階で表現する。勿論、白から黒に至る階調表現も可能である。一方、カラー画像では、光の原色のRGBのうち、1つの色についての階調の精度を示す。たとえば、原色がそれぞれ16階調の場合、表現できる色数は、163乗の4096色、256階調なら2563乗で約1677万色になる。


法則に従わない色混合

絵の具やインクなどは、顕色系(着色した色票を三属性に基づいて色記号や番号などで定量的に表す方法)であるが、通常の概念とは異なりこれらの色混合は減法混色という原理・原則に従わない。以下、それらの理論的背景について述べる。

<混色の基本的な考え方>

 色は「光」と「物体」と「目」(見えの三要素)があれば見ることが出来る。また、光は波長ごとの特有の色を持っており、人間が見ている7色の虹などは分光された光が含まれる色情報そのものである。更に、カラーテレビで見ている色も光の色といえる。現在見ている光の色は、それぞれの色光を混ぜて各々の三刺激値が加算された刺激になって作用する。(図1参照)

181217_画像形成_減法混色_色混合_1_new
 このように混色によって刺激が強くなるものを加法混色と呼ぶ。一方、色フィルタを重ね合わせる場合は、光の透過が減少する。このような混色は減法混色と呼ばれ、インクや染料・顔料の混合も減法混色に属するものとなる。しかし、インクや染料・顔料の減色混合では、着色する素材の影響もあり現象がより単純な混合しかできず、一層複雑にしているようである。つまり、インクや絵の具、塗料などは減色混合ではあるが、厳密にみるといわゆる減色混合の法則に従わないのである。

 

a.混合の概念

 一般的には、加法混色は加算、減法混色は減算として説明されているが、もう1つの表現方法がある。それは図2に示す通り、論理学(ブール代数)の応用であるが、加法混色は「和集合(論理和)」で考えること、および、減法混色は「積集合(論理積)」で考えることである。

つまり、色光の三原色であるRGBと色材の三原色であるCMYの関係は、図2に示すようになる。 加法混色では、R+G=YG+B=CB+R=Mが導き出される。(和集合)

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一方、減法混色では、Y*C=GY*M=RC*M=Bが導き出される。(積集合)

これは、ブール代数の論理積に相当する。この考え方は、フィルタを重ね合せる原理に基づいている。(厳密に言うと、絵の具やインクの色混合はこの原則が適用できない)

色の混合は、このようにいろいろな表現方法があるので、最も理解しやすい方法で覚えるのがよい。このことを踏まえ導き出せる「混色の法則」について以下に説明する。

 

b.減色混合に関する裏付け

 上述の通り、加法混色は和集合の理論を適用すれば、直感的に理解できるが、減法混色の場合、単純に積集合の理論通り適用することが難しい。以下に混色の法則を述べるが、特に、減色混合については、詳しく説明する。

・混色の法則

 大雑把に、白色[W]を全可視領域(400700nm)として、青色[B]を4005000nm、緑色[G]を500600nm、赤色[R]を600700nm3等分して割り当てれば(色素の吸収波長域をCMYブロック化も可能)、RGB3色で可視領域を全てカバーできるため

 [R]+[G]+[B]=[W

が成り立つ。また、RGBの三原色を2色ずつ混合すれば

 [R]+[G]=[Y

 [G]+[B]=[C

 [B]+[R]=[M

となり、減法混色の三原色が得られる。

これが、いわゆる加法混色といわれているものの基本的な考えであり、2つの色を混ぜ合せその2色の和を求めることで得られる混色であるといえる。

 更に、減法混色においては、ランベルト・ベールの法則を考慮しても、混色によって得られる色の三刺激値を求める場合、公式にあてはめて算出することが難しい。しかし、CMY色素の減法混色がピーク濃度の変化に対応する実験結果から色の予測が可能となる。

この原理は加法混色と同じように、2色を混合して得られる色の分光透過率は、2つの成分に対して分光透過率の積となるので、[R]フィルタと[R]フィルタを重ね合せれば[R]のみが透過し、[R]フィルタと[G]フィルタを重ね合せると透過する光は存在せず、全て吸収される。従って、減色混合における重ね合せを記号(*)で記述すると、2色の積として表すことが出来る。

つまり、

R]*[R]=[R

G]*[G]=[G

B]*[B]=[B

R]*[G]=[G]*[B]=[B]*[R]=[Bk

となる。

ここで、Bkは黒を指し、透過する光がない(無反射)ことを意味する。

 次に、減法混色の三原色(CMY)を組み合せる混合を考えると、

C]*[M]=([G]+[B])*([B]+[R])

       =[G]*[B]+[G]*[R]+[B]*[B]+[B]*[R

       =[B

M]*[Y]=([B]+[R])*([R]+[G])

       =[B]*[R]+[G]*[B]+[R]*[R]+[R]*[G

       =[R

Y]*[C]=([R]+[G])*([G]+[B])

       =[R]*[G]+[B]*[R]+[G]*[G]+[G]*[B

       =[G

C]*[M]*[Y]=([G]+[B])*([B]+[R])*([R]+[G])

           =[B]*([R]+[G])

=[B]*[R]+[G]*[B

           =[Bk

となる。

181217_画像形成_減法混色_色混合_3_new これらの式で、最終式以外は、[Bk]は無反射で色味を変化させるものではないため、省略してある。

以上のことをまとめると、混色は論理的にはRGB3色を基準におけば良いことが判る。(図3参照)

 このことをスペクトルで考えてみると、可視光領域の波長が380nmから780nmの範囲で表現できる色は、色度図の(馬蹄形の)外周線上に分布することになるが、RGBの加える量を変えてやれば、人間が見ることのできる色を全て創り出すことができる。例えば、スペクトルにないピンクや青色などでも、色度図内に表現される。同様にして考えれば、

全ての色を色度図の中に表すことができる。                     3 フィルタによる色混合

CMY三原色の確立

181217_画像形成_減法混色_色混合_4_new 最初に色の三原色をベースにカラー再現を試みたのは、マクスウエル(James Clerk Maxwell 1831-1879)で、1861年に王立研究所の講義でそれを発表している。   

 彼は、ニュートン、ゲーテ、ヤングたちが形成した色

彩理論を検証する実験を行い、1860年に実験成功している。  

 そもそも彼らの研究では、RGBを掛け合わせると白くなるという、加法混色法がベースとなったのは事実である。逆にいえば、色材は足しても白くならず、黒になってしまう。 

減法混色についての基本的な考え方は、上述したように、加法混色とはまったく違い色を加えてゆくに従って次第に黒に近づいていくことである。つまり、どんなに彩度が高い色材でも、異なる色を加えてゆくと次第に無彩色に近づき、ついには黒になってしまう。また、実際に使用されている印刷用のインクは、純粋な色ではないので、本来、理論的な減法混色の原理は適用できないことである。色が変化するということは、図4に示すように、究極的にはRGBそのものが変化することが絶対条件で、インクなどの色材の場合、RGBを変化させるためには、CMYを変化させなければならないことである。このことは、たとえRGBインクでも、掛け合わせた途端、理論とは逆方向になることを意味する。(図5参照、赤RとシアンCの関係のみ記述)

181217_画像形成_減法混色_色混合_5_new

つまり、この理論を踏襲して更に展開すれば、図6に示すように、Rを変化させるとシアンCが変化し、Gを変化させるとマゼンタMが変化し、Bを変化させるとイエローYが変化する、というように補色関係を維持した変化が得られることになる。

要するに、インクを想定したRGBは、光をコントロールして得られる色再現法であり、RGBインクは単純に三原色の色味に近いものを色材から選んだことに過ぎない。

 また、推測であるが、当時の色材では彩度の高いRGBインクは得られなかったであろうことが容易に推測できる。そして、得られた色の近いものの中から、掛け合わせによる色再現を試みたはずで、その際に、掛け合わせたら濁っていくことで相当悩んだと思われる。

その答えは簡単で、人は物体に与えた光の分光反射を色として認識するためである。

この時、RGBインクでは、単に[C+M]で[R]が得られているに過ぎず、結果的にRGB加法混色が成り立っていないことが判る。

 つまり、分光反射を用いて色再現をする都合上、絶対的に減法混色に依存する必然性があるわけである。換言するなら、「分光反射の結果から、網膜に与えた刺激RGBを加法混色法により混合して色再現を行っている」といえる。そして、黎明期の研究者たちが1800年代後半から1900年代初期に、色の理論は基礎物理学の開祖たちにより光の研究の延長線として研究されており、理論的追求には困らなかった根拠を持ちえていたのである。

 今日ではRGBの彩度の高い色材が普通に存在し、理論的なものも確立しているため、なぜ色再現法をRGBに統一しないのか?と思われるのも当たり前かもしれないが、どれほど技術が進んでも、物理原則からは逃れられないというところに大きな意味があり、大変重要なことである。

 

アナログとデジタルの関係(特徴と違い)

ICS_画像形成_映像_アナログ_デジタル_比較_1_new
ICS_画像形成_映像_アナログ_デジタル_比較_2_newICS_画像形成_映像_アナログ_デジタル_比較_3_new

アナログとデジタルの違いは何かというと、IT用語辞典によると(図1参照)

アナログ:

アナログとは、機械で情報を扱う際の表現方法の1つで、情報を電圧の変化など連続的な物理量の変化に対応付けて表現し、保存・伝送する方式のこと。対義語は「デジタル」(digital)で、情報を離散的な数値で表現し、段階的な物理量として表現する方式を意味する。

アナログで情報を扱う利点として、デジタル化において避けることができない数値化に伴なう誤差が生じないという点がある。情報の発生時点では、それを正確に表現して記録することができる。ただし、保存や伝送、再生、複製に際して劣化やノイズによる影響を受けやすく、変化した情報は復元することができないため、伝送・複製を繰り返したり長年に渡って保存すると内容が変質してしまう。

デジタル:

デジタルとは、機械で情報を扱う際の表現方法の1つで、情報をすべて離散的な数値(整数など)の集合として表現し、明確に区別可能な段階的な物理量に対応させて記憶・伝送する方式のこと。そのようにして表現されたデータを「デジタルデータ」(digital data)という。

特に、コンピュータのようにデータをすべて01の組み合わせ(二進数の数値の羅列)に置き換えて、これをスイッチのオン・オフや電圧の高低など二状態の物理量に対応させて保存・伝送する方式のことを意味する場合が多い(理論上は三値以上の系で情報を表現する場合もありうる)

対義語は「アナログ」(analog)で、情報を連続した物理量に対応付けて表現する方式を意味する。

デジタルで情報を扱う利点として、保存や伝送、再生、複製などを行う際に劣化やノイズの影響を受けにくく、伝送・複製を何度繰り返しても内容が変化しない点や、様々な種類の情報を数値の集合として同じように扱うことができ、保存や伝送の媒体を選ばない点などがある。ただし、すべてを離散量で表現するために数値化に伴う誤差が必ず発生することになる。

 アナログは、カラーフィルムで考えると、ハロゲン化銀(粒子)で構成され粒子の大きさは疎らで位置もランダムに配置されている(整列していない)。したがって、粒子に光が当たると酸化して黒化してしまう。この状態は粒子が重なり合っていたり、適度に拡散するので得られる画像は大雑把に認識できるレベルになる。また、フィルムは粒子で構成されるために1粒、2粒・・・というに整数で数えることができる。これはある意味では量子化された状態と同じになるので、デジタル的である言える。

このことを図2で説明すると、

銀塩フィルムは今はやりのデジタル画像に対するアナログの雄として代表的なものであるが、実は銀塩フィルムがデジタルそのものであることはあまり知られていない。

フィルムの表面に塗られた乳剤の中には「ハロゲン化銀」と呼ばれる6角形の結晶が閉じこめられている。このハロゲン化銀結晶に光が当たると銀が生成して黒化し、写真が撮れるのです。 撮影すると被写体の明るい部分では多くの光が、暗い部分では少しの光がこのハロゲン化銀結晶に当たる(2番目)。

ところが、いざ現像すると(3番目)、少ない光しか当たっていない粒子も、多くの光が当たった粒子も、同様に粒子全体が黒化(銀に変わる)してしまいます。つまり現像された後のフィルムは、光が当たった部分の黒(0のレベル)か当たらなかった部分の白(1のレベル)の2種類に分けられる、デジタルそのものなのである。

ではどうしてあの、なだらかな階調がでるのか?というと、小さなハロゲン化銀粒子がたくさん、それもランダムな配置で存在し、光の量が少ない部分と多くの光が当たる部分では、光の当たる粒子と当たらない粒子の比率が違ってくるからである(4番目)。場所によって(当たる光の量によって)黒化する粒子の比率が異なり、マクロに見たときに階調が再現されるのである。

一方、デジタルは、インクジェットプリンタのように面積ないし濃度として捉えられる。

これはインク的による面積効果や試験管にインクを満たしたような状態になり、まさにアナログ的であるといえる。つまり、面積法は用紙の面積に比例して濃度が決まり、濃度法はインクの高さ(深さ)により濃度が決まる。この面積や深さによってデジタル的に濃度差を創り、階調を醸し出している。

アナログとデジタルはこのように双対に状態になっているがいずれも優劣はなく同等とかん考えるべきである。(両者は別物として考えても良い)

 

余談ではあるが、図1を見るとヨットの人物がアナログではなんとか「人」と認識できるレベルであるが、デジタルではブロック(ノイズぽい)画像的で予断なしでは人物と認識できない。古い話になるが、日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した時、撮られた航空写真による機体の尾翼のマークが“JAL”であるとアナログ写真(フィルム使用)を見て分かったことがあり日本航空の機体の特定に役立ったという事例といえよう。また、NHKのデジタルアーカイブはのデータベースを4Kに変換していることから見てもデジタルでは表現できなかった画像データを細部にわたって抽出できる証にもなっている。

 

<補遺>

 近年の映像技術は殆どがデジタル技術で駆逐された感があるが、その前提にはアナログ技術が存在していることを忘れてはならない。

よくデジタルはアナログを凌駕したと言われるが決してそうではないことを理解してほしい。つまり、アナログなくしてデジタルは存在しないといっても過言ではないからである。

例を挙げると、デジタルと言えばパルス波形がその顕著なものである。デジタルでは必須なパルス波形も、波長(周波数)の違うサイン波(アナログ)をいくつも重ね合わせることであのフラットな波形(デジタル)が初めて創出されることになる。

では何故デジタルだけが目立ってしまうのであろうか?

それは何と言ってもコンピュータ技術の開発・発展が挙げられる。そもそもコンピュータはデジット(0,1)をベースにして一瞬にして膨大なデータを創出し、かつ、超迅速な処理スピードで多くのタスクを一度にこなしてしまうのである。

これを映像処理に応用すれば、画像を一瞬にしてデジタル化し、そのデータを専用のレタッチソフトを使って全く恣意的な画像を創造することができる。また、クリエータ達にとってアナログ時代には被写体をフィルムに撮影し、(個人では手の届かない)現像所(DPE)に出さなければ印画画像は得られなかった。もちろん、その間クリエータは露光量や色彩など要望事項を伝えるだけで後は一定の時間待たなければならない。そして出来栄えに対する不安を抱えるのが落ちであった。(できたものに一喜一憂するのみ)

それに比べ、デジタルは撮影現場で撮った画像をその場で見ることが出来、また、編集が必要なら加工(追加、消去、補間、補正など)ができるし、撮り直しもでき、いわば好きなように画像の編集・加工ができるのである。これは、クリエータにとっても大変魅力的なことで、能力があるクリエータ達はデジタル技術を駆使してコンテンツ(作品)を仕上げることが出来るようになった。筆者の偏見かもしれないがこのことが「デジタルはアナログを凌駕した」ということに繋がっているのだと考えている。

デジタルカメラは万能ではない。従って、長所もあるが短所もある。

また、アナログでは経験したことのない問題点やデジタル特有の別の問題点がある。

そのため、デジタルカメラで撮影する際には、これらの特徴を十分に知った上で、なおかつ短所を克服して考えられる改善と工夫をこらすことによって、デジタルカメラの良さを最大限引き出し、最終的には、銀塩写真に限りなく近づけることが目標でもある。

少なくとも、銀塩写真とデジタル写真では、本質的に異なりその差は歴然としたものがあると考えるべきある。例えば、デジタルカメラで画像を撮影する際にアナログにはない4つの大きな問題点(モアレ、フレア、ゴースト、ノイズ)があることを忘れてはならない。

 しかしよく考えて欲しいのは、「アナログ」と「デジタル」を比較してどちらが良いかと問われたら答えに窮するはずである。要するに、コンテンツに求められる絶対的なものは、単に機材、測定器、照明器具、スタッフなどで決まると捉えられがちであるが、素材や人的要因を揃えることが究極の目的ではないということである。絶対的に必要なことは顧客要求(自己を含む)を満足させ、完成品の価値が認められるように恣意的なコンテンツを創ることであるから、アナログVSデジタル、高価な機材や測定器、人材などは関係なくどうすれば最小の資源(人、物、金、技術)で目標達成できるかを考えることに尽きる。

 

イメージクリエーターに求められる資質

今年のノーベル生理学・医学賞の受賞した本庶佑・京都大学特別教授が1210日に開かれる授賞式を前に、日本経済新聞社の単独インタビューで語った内容「ばかげた挑戦が革新生む」の骨子は「イノベーションとは結果だ。とんでもないと思うようなことから始まって、結果として世の中を大きく変える。」ということであった。(12月3日に発行された日経新聞記載の内容を一部改変した)

よく考えてみると確かにそうだと確信できる(私が日頃考えていたことを、本庶先生はよく言った、という思いである)。卑近な例では、万能なiPS細胞を開発して病で苦しんでいる患者を助けようと考えたとする。それ自体は確かに実現できたらものすごく社会に貢献するテーマだが、これだけではイノベーションとは言えない。理由は、結果を伴っていないからである。つまり、故事ことわざにある「絵に書いた牡丹餅」とそっくりである。これは、「どんなに上手に描かれていても、絵に描かれた餅は見るだけで食べられない。転じて、実際の役には立たないものや、実現する見込みのないもの」という意味である。

iPS細胞に関する研究・開発で京都大学の山中伸弥先生がノーベル賞を受賞したのは記憶に新しい出来事である。

イノベーションは何も医学界に限らず、神羅万象に関わる業界全てに関して、なんでも、かんでも、いつでも、どこでも適用できるもので、これなくしては技術の発展は望めない。

写真や映像を生業としているクリエータに関しても同様なことが言え、実際に現場で扱われている実践行為に対して課題想起や問題意識を持ち、どれだけモチベーションを高められ、かつ、維持できるかが常に問われるのである。

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 恣意的な映像を撮るのにやみくもにシャッタをバシャバシャ切っても仕方がないし、現場で困窮した手法や問題などに対して、どんな手段・方法でそれらを改善していくかを考えられなけば(極端な言い方をすれば)あまり意味を持たないし、むしろ不合理だと考える。

私の経験では、日頃抱えている問題は「必ず原因があり、解決できる」ということである。ただ、問題の内容によっては、10年、100年と長い年月を経ないと解決できないことはあるが、概して基礎技術さえ持ち合わせていればその殆どが解決できるものばかりである。

 「セミナなどでこれは大学で教えたレベルの技術だよ。」というと大方の写真家は恐れおののいてそれを習得してやろうという気概が見られない。でも、大学で教える内容はごく基礎的なもので、現場で活躍している写真家はそれ以上の技術・技能があるのが現実なのだが、言葉だけで決めつけて自己努力を怠ってしまっているのはとても残念である。

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 映像産業は、何も写真家の世界だけだと言えず、関連機器メーカーと関連ソフト開発メーカーをはじめ、デザイナー、カラーコーディネーター、製版業や印刷業に従事している人など多くのビジネスマンがしのぎを削っている。従って、業界を活性化させ、技術や文化を維持発展させることが急務にも関わらず、他人任せにしている現状を打破することが今後のモチベーション高揚につながると確信する。

要するに、こういうことを意識して即行動に移せば、その先には必ず技術(科学)の進歩が実践でき、その結果として業界の発展にも貢献できることになる。

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濃度特性曲線について

 前回、「グレースケールの制御」関連する記事を掲載しましたが、今回は写真家にはあまり馴染みがないかもしれないけれど、フィルムの特性曲線を用いて濃度の特性曲線に対して補足をします。(デジタルではこのような概念の記述はないので、とても重要で貴重な技術を分かり易くするためにフィルムの概念を用いて説明しますので、悪しからず了承して頂きたい)  出典先:コダック社 「色域の謎」

 これまで述べた通り、光のスペクトルはJISでは380nm780nmの範囲が可視光と定められている。
フィルム時代にはカラーフィルムの感光層に被写体のカラー情報(映像)を投影していた。まず、映像が入力されるとフィルムを現像する前は「赤、緑、青」の「光の三原色」に分版されそれぞれの感色層に記録される。次に現像を行うと感色層は陰陽反転し補色である「シアン、マゼンタ、イエロー(CMY)」の「色の三原色」に分版される。
これがいわゆる「ネガ」となり画像形成を行い、最終的には印画紙に焼き付けしてカラー画像を形成する。

 ・フィルムにおける分光濃度(特性曲線)

ICS_画像形成_フィルム_カラー_三原色_色構成_1特性曲線とは、フィルムの露光量とそれに対応する現像処理後の濃度の関係を図で示したものである。曲線の形成濃度値は、厳しくコントロールされたセンシトメーターで露光され、同様に現像処理までされたテスト用のフィルム片から測定される。ある特定の用途で、特殊な光源に対する乳剤の反応の正確な情報を必要とする場合、(例えばナトリウム灯で照明された駐車場で撮影する場合)フィルムが実際に露光される光源をシミュレートするため、センシトメーターで露光する時にフィルタを使って、照射光を調節することができる。また、露光量をコントロールするため、定量的に変化する中性灰色濃度のステップをもった、ガラス乾板またはフィルムでできた特殊なステップタブレットが、テスト用フィルム片の表面に置かれ、一定の露光時間で露光される。結果として、テストフィルム上に現われる濃度の範囲は、被写体が照明の広い範囲にわたって光を変調し、それによってフィルム上に露光の範囲(それぞれ違う濃度)を形成するといった、ほとんどの撮影条件をシミュレートするわけである。

現像処理後、テストフィルムに現われた段階濃度は、濃度計で測定される。テストフィルム上のそれぞれのステップが受けた露光量 (ルクスで測定)に露光時間(秒で測定)をかけて、露出値をルクス-秒の単位で算出する。 露光値 (log H) の対数(基数10 )をグラフの水平軸に、それに対応する濃度を縦軸にとって、特性曲線を形成する。この曲線は、センシトメトリー曲線、D Log H (またはE )曲線、H&D (ハーターとドリフィールド)曲線などとも呼ばれている。

1では、ルクス-秒の値は露光量の対数値の下に示されている。濃度値の左側には、それに相当する透過率と不透過率の値が示されている。

・典型的な特性曲線

図1は、前述の説明のとおりに露光され、現像されたテストフィルムの特性曲線で、ある特定の方法で現像されたある特定の種類のフィルムの絶対、または 実際 の特性曲線である。

時には、1つの濃度計による測定値と、別の濃度計による測定値を同じにしなければならないことがある。これにはステータス濃度測定法が使われている。ステータス濃度とは、フィルタなし の分光レスポンスに適合した濃度計の測定値のことである。(出典:ドウソン、ボウグルソン著 「カラー濃度測定法のレスポンス機能」) 一組の入念に組み合わされたフィルタがこのような濃度計に使用された場合、ステータスA 濃度測定法という言葉が使われている。カラーポジの感材(リバーサル、デュープリケート、プリント)の濃度は、ステータスA 濃度測定法で測定されますが、これとは違った組み合わせのフィルタが濃度計内部に組み込まれている場合、ステータスM 濃度測定法という言葉が使われている。カラープリプリントフィルム(カラーネガ、インターネガ、インターメディエイト、低コントラストリバーサルオリジナル、リバーサルインターメディエイト)の濃度は、このステータスM 濃度測定法で測定されます。(DAK 濃度計フィルターセットは、濃度計の製造元から直接購入することができる。より詳細な情報は各々の濃度計の製造元にお問い合わせして頂きたい。)

 濃度は、主として写真の世界でいわゆる濃さをあらわすのに用いられる尺度で、ネガやプリントのある部分の濃さを、例えば0.30.4といったように表す。写真に写し込んでネガやポジの調子を検討するのに用いられるグレースケール(写真=コダック製)には各段階に数値がついているが、これも濃度の値(この場合は反射濃度)である。この濃度(D:Density)は簡単にいえば、透過率または反射率の逆数の常用対数値である。

濃度は、表を見ればわかるように、透過(反射)率10%が濃度では11%が濃度20.1%が濃度3となり、そして0.3で約50%0.6で約25%0.9で約12.5%といったように、0.3ごとに透過率(または反射率)が半減する関係にある。

 ICS_画像形成_フィルム_カラー_三原色_色構成_2

 図3、被写体の輝度、ネガ濃度、そして特性曲線の関係を示している。輝度にはポイント 2 から10 までのそれぞれの間に、1 ストップ(1 絞り)の違いがある。ポイント 1 は写真にした場合、拡散ハイライトであるポイント 2 よりも約 2 ストップ分明るいように写る、スペキュラーハイライトである。ポイント 9 は黒よりもやや明るく再生されるようなトーンである。ポイント 2 から 9 までの間には、7 ストップの違いがあり、これは一般的な輝度の被写体では典型的な範囲である。ポイント 10 はポイント 9 よりも約 1 ストップ分暗く、黒として再生される。グラフは、これらの明るさの違いを表わすポイントが、特性曲線上のどこに当たるかを示している(現像処理後の透明なフィルムベースの濃度)よりも約 0.10 ほど上の濃度になる。ポイント 9 からポイント 2 までの濃度域は約 1.05 である。代表的な特性曲線とは、あるフィルムの典型的な特性曲線のことで、別々に製造されたたくさんのフィルムに対してのテスト結果をまとめ、平均化したものである。データシートに記載されている曲線は、この代表的な曲線である。相関特性曲線とは、テストフィルムの濃度を、テストフィルムが作られる際に使われた特定のセンシトメトリーステップスケールの濃度に相対してプロットされた曲線である。これらは現像管理のために、ラボでごく普通に使われている。

白黒フィルムは普通1つの特性曲線しか持っていない(図4と図5を参照)。 一方、カラーフィルムはそれぞれ赤感(シアン色素)層、緑感(マゼンタ色素)層、そして青感(イエロー色素)層の3つの特性曲線を持っている(図6と図7を参照)。 リバーサルフィルムは現像処理後に陽画を形成するので、それらの特性曲線は、ネガフィルムとは逆の形になる(図5と図6を比較)。

・典型的な特性曲線

 ICS_画像形成_フィルム_カラー_三原色_色構成_4


プリントフィルムのセンシトメトリック・カーブ(感度特性曲線)は、ネガのそれよりも遙かに急峻である。ガンマを比べてもネガの0.6に比べてプリントは2.6以上。結果として、ハイライトと暗部が足と肩部で圧縮される。ASCの技術委員会座長、カーティス・クラークは言う「これが、我々が『フィルムルック』というもので、ビデオではクリップされてしまう肩と足にも、グラデーションが存在します。これが文化的にも美学的にも、我々が慣れ親しんできたものなんです。特にこのハイライトと暗部が見えるという能力があることが大事なんです。決定的に重要なニュアンスとディテールそこにあるのですから。」

 実際、撮影監督は、プリンターライトによってプリント濃度を増減することで、観客がどこまで見えるかをコントロールすることが出来る、写真化学系で変わっているのは、プリントフィルムの感度特性曲線がネガの曲線の反転した形になっているという点で、肩部にはハイライトではなく暗部が収まっている。この二曲線の関係を視覚化するには、プリントカーブにネガカーブを乗せて、プリントカーブを90度回してみる(これをジョーンズ図表といい、発明者ロイド・ジョーンズを記念する) 露光の時プリンターライトを、例えばGを+3ポイント調整することによって、ネガのカーブはlog露光量の+30.025倍だけプリントカーブに沿って平行移動し、プリントフィルムに当たる光を変調する。プリントフィルムのカーブはそのままである。ネガの垂直の濃度軸はプリントの水平のlog露光軸に割付けられる。 これはプリンターライトの変化は定量化が可能なため、再現性があるからである。

ICS_画像形成_フィルム_カラー_三原色_色構成_8
 図8は映画撮影の階調再現図でジョーンズ図ともいう。

あるカメラネガのセンシトメトリー第3象限(右下)に示されている。例として、カメラ

露出を1絞り増やすと、白、グレー、シャドウが0.3だけ右へ移動する。第2象限(左上)にはプリントのセンシトメトリー。第4象限(左下)にはネガ濃度をプリントフィルム露光にマッピング(ラボでプリント)したもの。タイミングライトを調製すると、45°のカーブ

が大きく左右にシフトする。第1象限(右上)は、システムの総合階調再現(あるシーンの

露光から得られたプリントの濃度)を示す。

本誌19316月号に、新しい天然色映画プロセスが英国の最高の科学団体、ロンドン王立協会で提示されたという一段落の広告が載っているが、この協会はジェイムズ・マックスウェルが最初のカラー写真を見せたのと同じ団体である。この映画プロセスは、1インチに50万個の極小R,G,B正方形から成るマトリックスを埋め込んだ、フィルムベースを使用(レンチキラー法)している、それより40年前の「モザイク(pixellated)」 概念と同様なもののようだ。

 

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