#1 光と色の三原色

ICS_三原色_RGBCMY_4_new 光を分光器(プリズムなど)によって分解したとき、波長または振動数の関数として与えられた光の強度分布を分光スペクトルという。単にスペクトルspectrumと呼ぶことが多い。ニュートンが、プリズムを通した太陽光が赤、橙、黄、緑、藍、紫の色光に分光されるのを観測し、これをスペクトルと名付けたのが最初である。このように元来は可視域の光に対して用いられた語であるが、現在では電波、赤外線、紫外線、X線、γ線など電磁波の全領域に拡張されて用いられており、さらに電磁波に限らず、ある特定の量を分析して順序だてて配列したものもスペクトルと呼んでいる。

光の三原色は、RGB(赤Red・緑Green・青Blue)で作られる色で、混ざると明るくなり白に近づいていく混色方法である。加法混色と呼ばれている。テレビ画面やパソコンのモニタ、電飾看板やライトなどそのもの自身が発光しているものは光の三原色で色が作られている。

ICS_三原色_RGBCMY_6_new一方、色の三原色は、CMYK(シアンcyan・マゼンタmagenta・イエローyellow・ブラックblack)で作られる色で、混ざると暗くなり黒に近づいていく混色方法である。そのために減法混色とも呼ばれている。理論的にはこの3色を同じ割合で混ぜると黒になるが実際には色強度のバランスがとれず濃い茶色で表現できるのが精一杯である。これは光が当たって反射して見える色である。本やチラシなど印刷で出されるものは色の三原色で作られている。印刷の際にはキープレートとして黒を加えて色の安定性を高めている。

 

・三原色の生成

 人類の目においては、原色は3つの色の組み合わせであることが多い。たとえばテレビモニタや照明などで、異なる色の光を重ねて新たな色を作る加法混合の三原色は、通常赤・緑・青の三色である。また、絵具を混ぜたりカラー印刷で色インクを併置するときに行われる減法混合の場合の三原色は、シアン・マゼンタ・イエロー(黄色)の三色である。

原色とされる色の選択は基本的には恣意的なものである。加法混合の三原色に使う赤・緑・青も多様であり、表現のしやすさなどを考えに入れてさまざまな基準が定められている。またたとえば、リュミエール兄弟が開発した初期のカラー写真・オートクローム (Autochrome Lumière) では、赤・緑・青のほかに橙(オレンジ)・緑・紫の組み合わせも使われた。

 

#2 濃度階調とガンマ値の違い

濃度階調(単に階調とも言う)とは、色の濃淡の細かさのことで、細かく分割することによりなめらかな画になるものである。白黒の写真画像を例にして説明すると、階調が低い設定にする(=色の濃淡の種類が少ない)と、画像を表現するドットは白、黒の2色しかなくなり、ドット絵のようなガタガタとした画像になってしまう。逆に階調を高く設定する(=色の濃淡の種類が多い)と、画像を表現するドットは白、薄いグレー、グレー、濃いグレー、黒という様に濃淡をより細かく設定することが出来るため、滑らかな画像を表現できるようになる。

 また、ガンマ値とは、画像の階調の応答特性を示す数値である。入出力機器のガンマ値に応じた最適のカーブに画像の階調を補正することをガンマ補正という。

ICS_色管理_ガンマ特性_濃度階調_1_new
-映像機器のガンマ

ディスプレイ等の画像を出力する機器において、入力値(電圧やデジタルデータの数値など)と出力値(画像の明るさ)の関係は一次関数で示される関係ではなく、0を最小の明るさ、1を最大の明るさとした場合の

で示されるカーブに近似した関係であることが多い。この時の冪乗の指数γをガンマ値と呼ぶ。 画像データの入出力機器はそれぞれ固有のガンマ値を持っている。一般的なディスプレイのガンマ値は2.2に近い値である。液晶ディスプレイは、表示の原理がディスプレイとは異なるが、ガンマ値がディスプレイに近似した値になるよう調整されている。

CRTディスプレイが持つ冪関数的な濃度階調は、CRTに使われる三極管の性質によるものでもあったが、人間の視覚にとっては階調を均等に感じさせる効果があった(ヴェーバー‐フェヒナーの法則)。

Macintoshの場合、Mac OS X v10.5まではシステムのガンマ値を1.8としていたが、Mac OS X v10.62.2に変更された。

-写真感光材料のガンマ

写真感光材料の特性を示す文脈では、ガンマ値は特性曲線(ハーター-ドリフィールド曲線)の安定した直線部分における濃度(対数)/露光量(対数)の増分比を表す。すなわち硬調さ、写真でのコントラストの強さを表す。

対数スケールであるため特性曲線は直線を示すが、これは映像機器のガンマと実質的にほぼ同義である。

 ICS_色管理_ガンマ補正_1_new・ガンマ補正の仕方

入力と出力が等価(1:1)であるとき、ガンマ(γ)特性は45°の傾斜をもつ直線(γ=1)になる。しかし、カメラを始めモニタやプリンタなどのデバイスのガンマは必ずしもγ=1とはならない。例えば、モニタのガンマ値は一般的にはγ=2.2であり、ガンマ値=1から下側に曲線で表される。

 ・各種デバイスのガンマ補正(例)

例えばモニタのガンマ(実線)に合わせてガンマ補正(破線)を行うと、入力と出力が直線の関係になる。

入力値と出力値が直線の関係を示す場合、ガンマ値は1 (γ=1) となるが、γ<1の場合は黒の浮いた出力に、γ>1の場合は黒の潰れた出力になる。例えば、ガンマ値2.2のディスプレイで適正に表示される画像をガンマICS_色管理_ガンマ補正_例_1_new1.8のディスプレイに表示した場合、実際のガンマ値はγ=1.8/2.20.82となり、意図したものよりも黒の浮いた(白が飛んだ)画像となる。画像の入力から最終出力までの全体のガンマが1になるよう、適当なガンマ値のカーブに従って画像の階調を補正することをガンマ補正という。

多くの画像編集ソフトウェアにはガンマ補正機能が搭載されている。NTSC方式カラーテレビジョン放送においては、受信側(テレビ)のガンマ値を2.2と想定し、最終的な出力がγ=1の階調になるよう予め送信側でγ=1/2.2(約0.45)のガンマ補正をかけている。 カラーマネージメントシステムで用いられるICCプロファイルには、当該の入出力機器のガンマ値のデータも定義され、対応機器や対応ソフトウェアではこの定義に従ってガンマ補正が行われる。