#4 目の感度(比視感度)

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 比視感度(Luminosity function, or Photopic luminous efficiency functionとは、ヒトの目が光の波長ごとの明るさを感じる強さを数値で表したものである。

明るい場所に順応したときに、ヒトの目が最大感度となる波長での感じる強さを "1" として、他の波長の明るさを感じる度合いをその比となるよう、1以下の数で表したものである。

明るい所では555nm(ナノメートル)付近の光を最も強く感じ、暗いところでは507nm付近の光を最も強く感じるとされる。標準比視感度とは、国際照明委員会(CIE)と国際度量衡総会では、ヒトの比視感度の平均から世界標準となる「標準比視感度」が規定された。標準比視感度には「明所視標準比視感度」と「暗所視標準比視感度」がある。

特に断らない場合は、視感度といえば明るい環境でのヒトの目の感じ方である明所比視感度のことを指す。

 ここで重要なことは、映像情報としてみると555nm付近で感度のピークを持つので、この情報を生かせるようにするころである。

・視感度

視感度とは、人間の目が波長ごとに光を感じ取る強さの度合を表すものであり、また、波長ごとに光を感じ取る強さが異なるという現象全体を指す。

ヒトが光の波長によってその強度の感じ方が異なるということは、純物理量としての光の量、例えば光子の量とヒトが感じる明るさには波長によって差が生じる事を意味しており、例えば、明るいところで青色の450nmの波長の1,000個の光子を目に受けた時に感じる光の強さは、緑色の555nmの波長の38個の光子を目に受けた時に感じる光の強さに等しくなり、同様に赤色の700nmの波長の1,000個の光子を目に受けた時に感じる光の強さは、緑色の555nmの波長の4個の光子を目に受けた時に感じる光の強さに等しくなる。

ICS_光_知覚_人間_放射強度_心理実験_1b_newまた、ヒトの目には主に明るい環境で機能する錐体細胞と主に暗い環境で機能する桿体細胞という2種類の視細胞があり、それぞれの視感度の特性は異なる。

わが国では、波長360nm830nm 5nm 毎の視感度曲線(分光視感効率)の数表が、「計量単位規則」 経済産業省令 4 別表 に規定されている。

 先に述べたように人間の感度は右図のようになっているが、それに測定器の分好感度を合わせてみるとほぼ人間の分好感度特性と同じになっていることが分かる。これの意味するところは、画像評価を行う場合に使用する測定器は人間が見た視覚情報(実測量)と遜色がないので、測定器で得た数値(測定値)は補正なしにそのまま使えるということである。

 

#5 暗所視と明所視

 暗所視は、光量が小さい状況での、目の単色の視覚のこと。錐体細胞は光量が小さい場合には機能しないことから、暗所での視覚は桿体細胞のみによって生じる。そのため、暗所では色覚は生じない。暗所視は、輝度が10-2から 10-6 cd/m2のあいだで生じる。

ICS_光_知覚_人間_放射強度_心理実験_1c_new薄明視は、中間の明るさで生じる(輝度が10-2 から 1 cd/m2)もので、暗所視と明所視が組み合わさったものである。しかし薄明視では、視力や色弁別の能力は必ずしも正確ではない。

輝度が1 から 106 cd/m2程度の通常の光量下では、錐体細胞による視覚がメインであり、これは明所視とよばれる。この場合は、視力や色弁別は良好である。

科学的文献では、暗所照度(scotopic lux)という語が使われることもある。これは、明所照度(photopic lux)に対応するもので、照度を計算する際の視感度関数に、明所視感度関数ではなく暗所視感度関数を用いたものである。

 一方、明所視は、光量が充分にある状況での、目の視覚のこと。ヒトや多くの動物では、明所視では色覚が可能であり、これは錐体細胞のはたらきによる。

ヒトの目には3種類の錐体細胞があり、これらはそれぞれえ異なる波長の光に感度を持つ。錐体細胞の色素は吸光波長のピークを420 nm()534 nm(青緑)564 nm(黄緑)にもつ。錐体細胞の感度は互いに重なり合い、可視光スペクトルを形成している。最大視感度は555 nm()での683 lm/Wである。

人間の目は、暗所では暗所視を、中間の明るさでは薄明視を用いている。

 

・目の構造と役割(出典:https://medical.jiji.com/medical/011-0132-12 一部改変)

 目は眼球とそれに連なる視神経と眼球周囲の眼球付属器から成り立っている。眼球付属器には上・下眼瞼、結膜、涙器、外眼筋、睫毛がある。

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 眼球は、上図に示すように、直径約24mmのほぼ球形で、前方より角膜、前(眼)房、虹彩、毛様体、後(眼)房、水晶体、硝子体、網膜、脈絡膜および強膜からできている。

 眼球は3つの膜でできており、いちばん外側は白い強い強膜で、一般にしろめはこの部分をいい、眼球の球形を保つ役目を、また眼球内部を保護する役目をしている。強膜の前方には直径約12mmの角膜がある。角膜は無色透明な膜で、内部の虹彩(俗に茶目)と瞳孔(ひとみ)が透けて見え、一般にくろめと呼ばれている。角膜の彎曲により外から入った光は屈折する。黄斑中心窩は一般に「黄斑」*1と「中心窩」*2に分けてある。

 強膜の内側には第二の膜であるぶどう膜があり、前方より虹彩、毛様体および脈絡膜でできています。共通して色素に富み、これは暗幕の役目を果たしている。また血管に富み、からだ中のどの組織よりも血流量が多く、内部の組織の栄養をつかさどっている。虹彩はそのなかに虹彩括約筋と瞳孔散大筋があり、瞳孔を閉じたり開いたりして目のなかに入る光の量を調節している。毛様体には2つの役目があり、一つは水晶体や角膜などの無血管組織への栄養補給と代謝物の運搬、および眼内圧(眼圧)を一定に保つための房水の産生である。もう一つは毛様体筋のはたらきによって、遠近に焦点を合わせる調節をしています。脈絡膜は網膜への栄養補給をおこなっています。ぶどう膜の内側には第三の膜である網膜がある。

前述したように、カメラと目の構造は酷似しており、次のように対比できる。

カメラ   →  目

 ボディー  →  強膜(しろ目)

 フィルター →  角膜(くろ目)

 レンズ   →  水晶体

 しぼり   →  虹彩(こうさい)

 フィルム  →  網膜(もうまく)

 

*1:黄斑(macular は、眼球内部の網膜の中心部で黄色を呈した部分をさす。黄色く見えるのはこの部分にキサントフィルという黄色の色素が多いため。黄斑の中心に中心窩といい、視細胞が最もきめ細かく配置されている場所であり、視野のなかで最も解像度がよい部分である。(写真で言えば、レンズ前に取付ける黄色のフィルターと見做すことができる)

視細胞には明るさに鋭敏な桿体細胞と、色彩に鋭敏な錐体細胞とがあり、黄斑では錐体細胞の密度が高い。このため、見ているものの形や色彩をはっきり見分けることができ、視力の中心的機能を担う。

黄斑から周囲に離れるにつれ錐体細胞は少なくなっていき、桿体細胞が多くなる。暗がりであってもわずかな明るさの変化を広い範囲で感じることができるのはこのためで、形の詳細はわからなくても「何かが動いた」ことは知覚することができる。これが動体視力である。ここで、なにかが動いたことを察知した後、目のある頭や体の方向、目自体をその対象にむける知覚認知行動としての反射(眼球運動反射)が起きる。これは「何か」を黄体で捉えてより詳細に形や色彩などを見ようとする無意識の行動である。

 

*2:中心窩(fovea, fovea centralisは、目の一部分であり、網膜の黄斑部の中心に位置する。 中心窩は、高精細な中心視野での視覚に寄与しており、これは読書、テレビや映画の観賞、運転、その他の視覚的詳細を扱うすべての活動において必要であり、最も重要な領域である。中心窩の外縁には傍中心窩(parafovea)があり、そのさらに外側には周中心窩(perifovea)がある。傍中心窩は中間の領域であり、神経節細胞層が5層以上の層をなしている。周中心窩は網膜神経節細胞が層構造をなしている最も外側の領域であり、最適な視力は得られない。そのさらに外側には、大きな周辺視野があり、低解像度の視覚情報処理に寄与している。視神経は中心窩由来の神経線維をおよそ50%含み、それ以外の網膜領域からの神経線維をおよそ50%含む。(写真で言えば、レンズの焦点位置に写し出されるカラーフィルムまたは個体撮像素子と見做すことができる)

 

・視細胞の働き

主に桿体の働きによってものを見ることを「周辺視」、錐体の働きでものを見ることを「中心視」といい、この二つは分業体制をとっている。

 周辺視でわずかに動くものや小さな変化を検出し、「何かある」ことが分かると、目や体を動かして、中心視で色や形を検出して、それが「何であるか」を詳しく知ることができる。

 最初に挙げた星や壁の汚れを例で攻めすと、高感度の周辺視では検出可能であったものが、感度の劣る中心視では検出できなくなってしまう。

このために、周辺視を効果的に使うことになる。つまり、外界の視覚情報を効率的に検出するには、この中心視と周辺視の役割を理解しておくと便利である。例えば、目の前の情報に集中しなくてはならないときに、視界の端の方で光が点滅したり、何かがチラチラと動いていると周辺視が「何かある」と発見し、そちらに目が向いてしまい、正面の情報への注意がおろそかになってしまう。

 一方、動きに敏感であるという周辺視の特徴を生かせば、緊急を知らせるライトなどは必ずしも正面にある必要は無く、視界の端ギリギリで捉えられる位置にあれば十分に検出可能といえる。網膜にある視細胞は、外部から入ってきた”光の情報”を、”電気信号”に作りかえる「情報変換装置」である。別名を、「光受容体細胞」ともいう。

 

・目の感度曲線(出典:http://www.mlab.im.dendai.ac.jp/web/no2/color/kando_curve.html

 人間の眼の網膜には、杆体(桿体)と錐体という二種類の視細胞が並んでいる。

 杆体は、感度は良いが色の区別を認識できず明暗の変化に感応するのみである。また、明るい場所では敏感に働かない。

錐体は三種類あり、それぞれ一番強く感応する波長域が打ち合わせ違う。

青錐体は、約430nmの波長、つまり青に一番強く感応する。

緑錐体は、約530nmの波長、つまり緑に一番強く感応する。

赤錐体は、約560nmの波長、つまり赤に一番強く感応する。

 三種類の錐体で感じたスペクトル情報は、脳で混ぜ合わされて「色」を判断する。つまり、加法混色による色覚を持つ。下図は、杆体と三種類の錐体の感度曲線である。三種類の錐体で外界のカラーをRGBに分けて取り込む。取り込んだRGBは、脳で加法混色される。

 

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桿体と錐体の感度曲線は下図に示すように、桿体(破線)が520nm付近に感度のピークがあるが、錐体(実線)は555nm付近にピークを持っている。

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