前回よりの続き

#3 ゴースト

ICS_光_000_1a_new強い光源にレンズを向けた時にレンズ内で反射を繰り返すことにより発生する本来は写らない光のことをいう。つまり、フレアの一種であるが、レンズ面で複雑に反射を繰り返した光がはっきりと画像として写ったものがゴーストである。絞りの前後の反射で起こったゴーストは絞りの形状で発生することがある。

良く見ると太陽の周りにもモヤモヤと規則的な模様がついているが、格子状の模様は出てきていない。このような典型的なゴーストは太陽など非常に強い光源を撮影した場合、光がセンサ面やレンズの間などカメラ内で反射を繰り返して写真に写り込んでしまう現象である。ゴーストはまた、光源と画面中央を結んだ反対側に発生するのが一般的である。

 ゴーストは悪い面ばかりでない。ゴーストの発生を抑えたいシーンもあれば、写真の味付けのためにわざとゴーストを加えて煌めきのある作品にしたりすることもある、ということが重要なポイントである。

 

#4 ノイズ

本来「ノイズ(noise)」には「不要な情報」という意味があり、デジタルカメラにおいては

写真上でザラザラした質感を感じさせるものである。ファインダーで覗いた時には見えないけど画像やプリントにしたときに写っている小さなザラつきのことである。

 以下に、Web上に掲載されたものを参考のために紹介する(一部改変)。

Astrophotography by T.Yoshida (URLhttp://ryutao.main.jp/report_noise.html

光の回っていない暗い場所で、デジタル一眼レフカメラを使って撮影していると、 液晶モニタに出てきた画像が、なんだかざらついていたり、黒いプツプツが目立つ画像になったりすることがある。 これらはノイズと呼ばれているものである。

以前の機種と比べると、ノイズがずいぶん減ったが、それでも全くノイズが発生しないわけではない。

・ノイズの正体

ICS_光_000_1b_new デジタルカメラの撮像素子に用いられているCCD(またはCMOS)は、光が当たるとそこに電子を発生させる。その蓄えられた電子が、電子回路によって信号に変換されて最終的に画像になる。理想的には、光が撮像素子に当たったときだけ電子が発生すればよいが、実際は長い間露出していると、CCDが熱せられたりして、余計な電子が発生してしまう。いわゆる暗電流ノイズと呼ばれているもので、右下の画像のようにプツプツした点に写る。

また、デジタルカメラにはたくさんの電子回路が用いられているので、信号がいろいろな回路に渡されている間に余計な信号(雑音)をもらって、画像にノイズが混じってしまうことがある。こうしたノイズは、「読み出しノイズ」や「バイアスノイズ」と呼ばれている。

・時間ノイズ

 ICS_光_000_1c_new 写真撮影において、長時間露出時に発生するノイズは厄介である。一般的な写真の世界では、数秒の露出でも長時間露出と言われるが、天体写真の世界では、数十秒から十数分の露出が当たり前の世界である。写真とは比べものにならない、長時間ノイズとの戦いがそこには待っている。上述した通り、長く露出していると、暗電流ノイズがどんどん出てきてしまう。そしてそれが、ポツポツとした明るい点になって、画像に現れてくる。しかし、このノイズの出方には規則性があり、同じ条件(同じ温度,露出時間,ISO感度)で撮影すると、ほぼ同じ場所にノイズが発生する。

この特性を利用したのが、デジタルカメラに搭載されているノイズリダクション機能である。ノイズリダクション機能をオンにして撮影すると、本撮影後にカメラが自動的にシャッター(もしくは電子シャッター)を閉じて、もう一枚画像を撮影し始める。そして、ちょうど同じ露出時間で撮影を止め、そのノイズ画像を撮影画像から引くことでノイズ低減を行う。

・感度ノイズ

ICS_光_000_1d_new 市販されているデジタルカメラは、ISO感度をユーザーが変更できるようになっている。

ISO感度の値を大きな数字に変更すると、あたかもCCDの感度が上がったようになり、短いシャッター速度で、暗い被写体を撮ることができるようになる。

ISO感度が上がれば、暗いところでも手持ちで撮れるようになるので、夢のような機能であるが、世の中はそれほど甘くはなく、高感度に設定するほど、ノイズが増えてしまう。

デジタルカメラのISO感度を上げる(ゲインを上げる)ことによって発生するノイズは、高感度ノイズと呼ばれている。一般写真の世界では、長時間ノイズよりも、高感度ノイズの発生量の方が注目されているようである。

高感度での撮影は大変魅力的であるが、ダイナミックレンジが狭くなりがちである。

・ブロックノイズ

ブロックノイズは、JPEG撮影時によく出てくるノイズである。JPEG画像はファイルサイズを小さくするために、色情報などを圧縮している。たいていの場合は、8x8ピクセルを1ブロックに区切って圧縮しているので、 この境界線上でノイズが発生しやすくなる。

ブロックノイズを目立たなくするためには、画像の圧縮率を高めるほどノイズは多くなるので、なるべく圧縮率の少ないモード(Fineモードなど)で撮影するのが良い。また、デジタル一眼レフカメラなら、RAWTIFFモードで撮影することで、このノイズ発生を防ぐことができる。

・アンプノイズ、熱カブリ

ICS_光_000_1e_new デジタルカメラを使用して写真撮影していると、 「このデジタルカメラはアンプノイズが多いな」とか「熱カブリが全く出ないカメラだよ」という言葉を耳にすることがある。アンプノイズや熱カブリというのは、デジカメの内部回路に起因する読み出しノイズで、電子回路の熱が主な原因と考えられている。

アンプノイズの発生するデジタルカメラで長時間露光すると、液晶モニタに右のようなピンク色のカブリが発生する。このピンク色の部分がアンプノイズで、この量はカメラの機種によって大きく異なる。全くカブリが出ないデジタルカメラもあれば、画面全体を覆うようなものもある。また、気温が高いとアンプノイズが目立つ機種もある。アンプノイズもデジタルカメラのノイズリダクション機能をオンにすれば、低減することが可能であるが、リダクション後も、ノイズが発生していた部分の画像は、データーが少ない(階調が少ない)状態となってしまう。そのため、画像処理を進めていくと、そのアンプノイズを補正した部分だけが、 ザラザラした仕上がりとなってしまい、写真に不自然さが残ってしまう。

・ランダムノイズ

その名の通りランダムに出てくるノイズで、真っ暗な被写体なのに画面全体がざらついたようなザラザラした感じの写真になるノイズである。ランダムノイズを取り去るには、画像の重ね合わせ(コンポジット)が必要である。何枚も同じ画像を撮り続け、パソコン上で画像処理を行うことで軽減することができる。一般的に4枚の画像をコンポジット(モデルや芸能人の、業界内部用プロフィールカード)すれば、シグナルとノイズの比率は2倍に向上すると言われている。

・色ノイズ、偽色

色ノイズや偽色と呼ばれるノイズは、デジタルカメラのCCDがカラーCCDであることから生じるものである。元々のノイズ自体には色が付いていないが、撮影後にデジタルカメラが、RGBフィルタの情報を元に現像処理を行うことで、ノイズにも色がついてしまう。そのため、できあがった画像を拡大してみると、赤や緑、それに青といった原色のノイズが出ていて驚くことがある。それは、元々ノイズには色が着いていないからである。