ICS_画像形成_インク_濃度_面積_階調_new
画素(ドット)による階調表現
 ここではインク滴によって階調を変化させる仕組みについて説明する。
そもそも、「階調」とは何かというと、IT用語辞書バイナリーによれば、「階調とは、色の濃淡の変化のこと、または濃淡変化の滑らかさのことである。コンピュータにおける画像表現の細かさを表す尺度として用いられることが多い。

階調はある色について用意された濃淡の段階の数によって数値化される。階調が多ければ多いほど、色彩は滑らかに表現できる。例えば2階調で表現された画像は白と黒の2段階しか濃淡がなく、モノクロとなる。白黒の間に中間色としてのグレーが1段階用意された場合には、階調は3となる。

一般的に、パソコンのカラーディスプレイは表示をRGBの色空間で扱っている。このとき、R(赤)、G(緑)、B(青)の色がそれぞれ2階調ずつあれば、表現可能な色の組み合わせは2の3乗、すなわち8色となる。

普通のパソコンはRGBの各色を256階調ずつ表現できるようになっている場合が多い。この場合に表示可能な、256の3乗すなわち1677万7216色が、現在では便宜的にではあるがフルカラーと呼ばれている。

なお、「階調」を英語に訳すると「グラデーション」(gradation)となる。ただし「階調」といえば、数値化された濃淡の段階数を指すことが多いのに対して、グラデーションといった場合は濃淡が徐々に変化している状態そのものを指す傾向が強い。」ということである。


ではインク階調を創るためにはどうするかということであるが、インクを形成している要素(インクの粒子)を変化させることに他ならない。つまり、インクには「染料」と「顔料」の2種類があるが、いずれの場合もインク粒子の数を増やせば濃度は徐々に高くなり、階調の変化が得られる。もちろんインク製造の過程ではインク粒子の濃度を調整できるのでオリジナルのインクは一定の濃度を持っている。


一方、濃度階調を形成する方法には、2つがある。その1つが画素濃度階調法であり、もう一方が面積階調法である。

図に示したように、極端に言えば、画素濃度階調法はインク粒子の大きさを変えることによって階調を得る方法であり、面積階調はインク粒子の数を変えることによって階調を得る方法である。どちらの方法が良いかはそれぞれの特徴を生かせた方を採用すれば良い。ただ単純に言えることは、インク滴の大きさを制御するのと、確実にインク滴を目標エリアに着弾させるのとどちらを採用するかの違いで、これはインクメーカーとプリンタメーカーの考えに依存する。

結果的に用紙の表面に(着弾後に)分散することには両者とも同じと考えれば、品位の差はほとんどないと考えられる。


イ ンク ジ ェ ッ トプ リン タの 階 調表 現技術についてとても参考になる文献があるので、興味があれば参照して頂きたい。(下記のURLで閲覧可能)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/photogrst1964/68/4/68_4_296/_pdf/-char/ja