ICS_イメージ創造_理論_発色原理_2_rev
[図1]光のスペクトル(電磁波)
ICS_イメージ創造_理論_発色原理_3a_new
[図2]色混合(加法混色と減法混色)

 図1は、皆さんおなじみの「光のスペクトル」である。要するに人間が識別できる色の領域(これを可視光線という)でいわゆる赤橙黄緑青藍紫という虹の7色を形成している。しかしよく考えてみるとこれらの光の色はすべてエネルギーを持っていることに気づくであろう。つまり、紫は紫外線の手前に配置されており強力な光が得られる(例:青色LED)。赤は赤外線の手前に配置されおり温暖な光が得られる(例:赤色LED)。これらをまとめると可視光線は電磁波の一部となっている。これらの電磁波は波長(周波数)によって発光する色が決まる。そして電磁波=エネルギーという近代科学の基礎となる、E=hν という有名な等式が得られることが証明されている。
 写真家が意識すべき点は、カメラを構えて撮影する時にどんな光の環境にあるかを考える必要がある。青い海原を撮るときはエネルギーの高い光を受けるし、太陽が沈む風景ではエネルギーの低い光を受けることである。このことは、固体撮像素子(CCDやCMOS)に対してどのように情報を与えられるか、を考えないと画像全体の色のバランスを壊してしまうことを意味している。ちなみにJISでは可視光線の範囲を380nm~780nmと定めている。なお、波長(nm:ナノメーター)と周波数(ν:ニュー)は逆数の関係があるので紫が赤より2倍以上のエネルギーを持っていることになる。(上式のhはプランク定数といい、6.626x10-34Js(ジュールセカンド)である)

 図2は、これも誰でも知っている色の混合原理である。光の三原色(RGB)を混ぜ合わせるのは加法混色である。また。色の三原色(CMY)を混ぜ合わせるのは減法混色である。ここで敢えてRGBだのCMYだのと述べたのには訳がある。例えば、CMYについて考えてみるとそれぞれの色を適当な割合で重ね合わせれば様々な色を創生できる。しかし、CMYを使った色混合は本当に減法混色といえるのであろうか?答えは否である。
何故そう言えるか?という疑問に対しての回答は、例えば色フィルタを使って説明できる。色フィルタを重ねていけば減法混色の原理で色が作れる。しかし、色フィルタを重ねないで並列に置いたらどうだろう。これは明らかに加法混色となる(疑義があればご確認を)。つまり言いたいことは、RGBとかCMYは関係ないのである。(RGB系ではCMYも入っているし、CMY系ではRGBも入っているので単純にRGBとかCMYとっても加法や減法を決める要素の色とは言えない)決定的に言えることは、2つ以上の色を重ね合わせたら明るくなる色の組み合わせが加法混合(究極的に「白」)であり、逆に暗くなれば減法混色(究極的に「黒」)である。
蛇足ではあるが、インクや絵の具のような色材の混合は、厳密にいうと決して減法混合を適用できないことに注意して頂きたい。理論的な説明は可能である(理論は確立証明されている)が、とても説明が難しいのでここでは省略するので、興味のある方は専門書で詳しく調べて頂きたい。
よく考えてみれば当たり前の話だが、意外とこのことに気づかな人が多く見受けられるのは残念である。
色を理解するのは簡単だといっても、注意深く考えると「常識から逸脱しても気づかない場合がある。」ことを理解して頂きたい。