アンディマンのテクノロジー(援技力)

写真表現に関わる専門的な知識を補うために設けたブログです。 新たらしい時代に相応しい技術情報を掲載していきます。 普段疑問に思った問題の解決に繋げるテーマを醸成していきます。

専門的な知識の探求を目指す有志はどしどし忌憚のない意見を述べてください。

光と色の基礎知識 No.19

2.3.2 感覚

生理学的には、知覚の方法である。感覚とその作用、分類、理論は様々な分野で重なって研究されている。例えば、神経科学、認知科学、認知心理学、哲学がある。

また、一般的な用法として、もっと高次な認知の仕方(文化的・社会的な物事の感じ方)のことも「感覚」ということがある(例:「日本人の感覚では・・・」「新感覚」)。

・定義と歴史

現在広く認められている感覚の定義は、「特定の物理的エネルギーに応答し脳内におけるシグナルが受容・解釈される決められた部分に一致する、感覚細胞の型またはそのグループを含む1つのシステム」とされている。論争が起こるところは、多様な細胞の正確な分類と脳に於ける領域のそれらのマッピング(位置づけ)である。感覚を初めて分類したのはアリストテレスである。(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の5分類で、ここから五感と呼ばれる。現在では少なくとも7つ以上の感覚があることが広く認められている。

現代の生理学では感知される情報の内容、感知機序、伝達様式などからより多くの種類に分類されており、その分類自体も確定してはいない。かゆみをはじめとして、仕組みが未解明の感覚も多く残されているからである。

・ヒトの感覚分類

5分類

ヒトの感覚は5分類では次のようになる。

体性感覚:表在感覚(皮膚感覚)と深部感覚。

表在感覚には触覚(触れた感じ)、温覚(暖かさ)、冷覚(冷たさ)、痛覚(痛さ)がある。

深部感覚には運動覚(関節の角度など)、圧覚(押さえられた感じ)、深部痛、振動覚がある。

内臓感覚:内臓に分布した神経で、内臓の状態(動き、炎症の有無など)を神経活動の情報として感知し、脳で処理する仕組み。

臓器感覚(吐き気など)

内臓痛

特殊感覚:視覚(目で見る)、聴覚(耳で聞く)、味覚、嗅覚、前庭感覚(平衡感覚)がある。

視覚:光を網膜の細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

聴覚:音波を内耳の有毛細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

味覚:食べ物に含まれる化学物質(水溶性物質)の情報を、舌、咽頭、喉頭蓋などの味覚細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

嗅覚:鼻腔の奥にある嗅細胞で、空気中の化学物質(揮発性物質)情報を神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

前庭感覚:内耳の半規管などで、頭部の傾き、動き(加速度)などを神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

他の感覚

平衡覚(前庭感覚)平衡(身体の傾き、全身の加速度運動)に対する知覚であり、内耳の流体を含む腔に関係する。方向や位置確認も含めるかどうか意見の相異があるが、以前の奥行感覚と同様に"方向"は次感覚的・認知的な意識だと一般的に考えられている。

固有感覚:(運動感覚)体に対する意識(筋、腱内の受容器による筋、腱、間接部の緊張の変化)の知覚である。ヒトが大きく依存する感覚であり、しかしながら頻繁に意識されない感覚である。説明するより更に簡潔に明示すると、固有感覚とは、体の様々な部位の位置する場所を感じているという"無意識"である。これは目を閉じて腕を周りに振ることで演示することができる。固有感覚機能が正確だと思い込んで、どの他の感覚にも感知されてないにも関らず、直ぐに実際にある手の位置の意識が無くなるだろう。

ヒト以外の感覚

-ヒト類似感覚

他の生物も上記で挙げたような周りの世界を感じとる受容体を持つが、そのメカニズムと能力は幅広い。

嗅覚:ヒト以外の種では、イヌが鋭い嗅覚を持つがその仕組みは同様である。昆虫は嗅覚受容体をその触角に持つ。

視覚:マムシや一部のボアは、赤外線を感知する器官を持つ。つまり、これらの蛇はえさの体熱を感じることが出来る。

-電気感覚:サメ・エイ・ナマズなどが持っている。デンキウナギは透明度の低い水に棲むため視覚が活用できないため、電気を発信しレーダーのように周囲の状況を把握する。

-磁気感覚:ハトなどの帰巣本能に役立っている。

・被視感度

Fig1_2_3_13比視感度(Luminosity function, or Photopic luminous efficiency function)とは、ヒトの目が光の波長ごとの明るさを感じる強さを数値で表したものである。

明るい場所に順応したときに、人間の目が最大感度となる波長での感じる強さを "1" (つまり、100%のこと)として、他の波長の明るさを感じる度合いをその比となるよう、1以下の数で表したものである。

明るい所では555nm(ナノメートル)付近の光を最も強く感じ、暗いところでは507nm付近の光を最も強く感じるとされる。標準比視感度とは、国際照明委員会(CIE)と国際度量衡総会では、人間の比視感度の平均から世界標準となる「標準比視感度」が規定された。標準比視感度には「明所視標準比視感度」と「暗所視標準比視感度」がある。特に断らなFig1_2_3_14い場合は、視感度といえば明るい環境での人間の目の感じ方である明所比視感度のことを指す。

W.G.WrightJ.Guildの等色実験に基づき、CIEで定められた等エネルギースペクトルに対する目の感度をスペクトル刺激値といい、この感度曲線を等色関数といいます。

「私たちが色を感じるプロセスと測色計の違いについて。」では、これを「人間の目に対応する分光応答度」(等色関数)と説明しています。等色関数は2°視野と10°視野の場合がCIEで採用されています。

・明所視と暗所視

明所視とは、光量が充分にある状況での、目の視覚のこと。ヒトや多くの動物では、明所視では色覚が可能であり、これは錐体細胞のはたらきによる。

人間の目には3種類の錐体細胞があり、これらはそれぞれえ異なる波長の光に感度を持つ。錐体細胞の色素は吸光波長のピークを420 nm()534 nm(青緑)564 nm(黄緑)にもつ。錐体細胞の感度は互いに重なり合い、可視光スペクトルを形成している。最大視感度は555 nm()での683 lm/Wである。 人間の目は、暗所では暗所視を、中間の明るさでは薄明視を用いている。

Fig1_2_3_15暗所視とは、光量が小さい状況での、目の単色の視覚のこと。錐体細胞は光量が小さい場合には機能しないことから、暗所での視覚は桿体細胞のみによって生じる。そのため、暗所では色覚は生じない。暗所視は、輝度が10-2から 10-6 cd/m2のあいだで生じる。

薄明視は、中間の明るさで生じる(輝度が10-2 から 1 cd/m2)もので、暗所視と明所視が組み合わさったものである。しかし薄明視では、視力や色弁別の能力は必ずしも正確ではない。

輝度が1 から 106 cd/m2程度の通常の光量下では、錐体細胞による視覚がメインであり、これは明所視とよばれる。この場合は、視力や色弁別は良好である。

科学的文献では、暗所照度(scotopic lux)という語が使われることもある。これは、明所照度(photopic lux)に対応するもので、照度を計算する際の視感度関数に、明所視感度関数ではなく暗所視感度関数を用いたものである。

・プルキニェ現象(ブルーシフト、青偏移)

Fig1_2_3_16プルキニェ現象Purkinje Phenomenonもしくはプルキニェ効果(Purkinje effectは、19世紀のチェコの生理学者ヤン・エヴァンゲリスタ・プルキニェが解明したことから名付けられた視感度がずれる現象をいう。「プルキニエ」や「プルキンエ」と表記されることもある。

色は網膜の視細胞で感知しているが、明るい場所では赤が鮮やかに遠くまで見え、青は黒ずんで見える。一方、暗い場所では青が鮮やかに遠くまで見えるのに対して、赤は黒ずんで見える。これは、桿体と呼ばれる視細胞の働きによるもので、人の目は暗くなるほど青い色に敏感になる。

防犯のために活用する動きも見られる。奈良県警はイギリスのグラスゴーの防犯対策に倣い(ただし、グラスゴーでは当初景観改善のために導入された)、奈良市で青色街路灯を導入し一定の効果をあげたため、奈良市以外でも天理市、生駒市など県北部の都市を中心に導入を進めている。現在は兵庫県においても多数採用されている。

・分光感度特性

Fig1_2_3_17 視覚系の感度は、光の波長によって異なる人間の視覚系の視感度は、明所視では555 nmでピーク値をとる。このときの感度を基準として、他の波長の光に対する感度を求めると、可視光全体に対する比視感度が求まる。暗所視では507 nmの光に対して最も感度がよい。暗所では感度曲線が短波長側にシフトしている。この事実をプルキニエシフトとよぶ。放射輝度と視感度をかけ合わせた値を輝度とよぶ。

明所視では色が知覚される。色覚異常者の視感度曲線等色関数から、分光感度の異なる3種類の光受容器(錐体)が存在することが示唆される(三色説)。健常者の等色関数および2色型色覚異常者の混同色中心から、錐体分光感度を求めることができる。暗所視における光受容器(桿体)は1種類であるため色覚は存在しない。桿体分光感度は暗所視視感度に等しい。

なお、分光感度特性は一般的に使用される「測定器」でも固有に持っているが、人間の目の感度と相関性があり、ほぼ同一の特性を持っていると考えて良い。

 

光と色の基礎知識 No.18

2.3.1 目の仕組み

・人間の目

Fig1_2_3_7は受容器の一つで、光を感じ取る。構造がカメラに似ていることから「カメラ眼」とも呼ばれている。顔面に左右一対あり、立体視による遠近感を認識できる。

-構造



球体になっており、外側は角膜、強膜で構成され、眼球の球体を維持する。

-光の受容

像はまず角膜を通り、瞳孔を経て眼球内部に入る。外部の光の量によって虹彩が収縮し、瞳孔の大きさを調節する。

網膜上に像を合わせるために水晶体により像を屈折する。水晶体はチン小帯・毛様体の働きによって厚さが調節され、カメラと同じように広い距離の焦点を合わせることができる。

屈折した像は硝子体を通して網膜に映りこむ。

Fig1_2_3_8
上図は、遠くからの光左図と近くからの光右図)が網膜で焦点が合う様子を示している。近い場合はレンズが厚くなっている。

水晶体がレンズ状であるため水晶体が屈折の主な役割を果たしていると思われがちであるが、実際には屈折は空気と角膜との屈折率の差によってほとんど行われており、水晶体は焦点の調整のみに関わっているといってよい。そのため、角膜が傷つくと失明の危険がある。網膜には桿体細胞、錐体細胞の2種類の視細胞があり、この細胞を通じて視神経経由で視覚情報が大脳に送られ、視覚となる。桿体細胞は、暗所で機能する。光に対する感度が高い。錐体細胞は、明所で機能する。光に対する感度は低いが色彩の識別が可能である。

外部には、瞼、まつ毛がある。瞼は外部からの異物や強力な光をさえぎるほか、まばたきすることにより眼球表面結膜へ涙を送る。

・瞳の色

個体により瞳の色が異なるのはメラニン色素の量の違いによる。色素量によって青<緑<茶<黒のように見える。色素異常によって色素量が極端に少ない場合、血液の色が透けて見え、赤い瞳となる。白ウサギの目が赤いのはこのためである。

視覚神経科学

眼は、感覚器のひとつであり、角膜などの光学系と神経系の一部である網膜から構成される。光学系は角膜、レンズ(水晶体、瞳孔などから構成され、光量の調整や焦点の調節などの機能を持つ。網膜の光受容細胞では光の強度と波長の分布が神経信号に符号化される。網膜において符号化された情報は、神経細胞の間を神経線維の興奮の伝導の形で伝えられる。以降の一連の神経線維の経路を視覚路と呼んでいる。反対色などの視覚特性は網膜内での処理に由来すると考えられている。網膜からは視神経が発しており、外側膝状体(LGN)に投射している。外側膝状体からは視覚野への投射がある。視神経は上丘や視床の一部にも投射するが、こうした情報伝導路は眼球運動や概日周期などの非画像的な情報処理に関与するものであり、視覚情報処理の主たる経路は外側膝状体から第一次視覚野に至る経路であると考えられている。第一次視覚野からは、それ以降の高次視覚野に対して投射が存在する。第一次視覚野以降の伝導路は、物体の形状や色を処理する"What"経路と、物体の空間における位置や運動を処理する"Where"経路に二分される。"What"経路は後頭葉から側頭葉に向かい、腹側系と呼ばれる。"Where"経路は後頭葉から頭頂葉に向かい、背側系と呼ばれる。こうして処理された情報は、前頭葉などでさらに高次な処理を受けている可能性がある。

・網膜における情報処理

光学系を通過した光は、網膜において網膜像を結ぶ。網膜像は網膜上の光受容細胞によってサンプリングされ、神経信号として符号化される。光受容細胞には分光感度特性の異なる桿体および錐体がある。光受容細胞はヒトの場合1億個以上存在する。錐体は網膜の中心部で密に分布し、桿体は中心部に少なく周辺部に多く分布している。光受容細胞は光入力に対して、電気的な信号によって応答する。光受容細胞の応答は、網膜内の神経節細胞に伝わる。神経節細胞の軸索は片眼で100万本程度あり、束になって眼球を出て、左右の視神経を形成し、さらに間脳の腹側から脳内に進み、間脳の視床の一部である外側膝状体(または外側膝状核)と呼ばれる神経核に達する。そこで、外側膝状体の神経細胞とシナプスを形成する。

・皮質下における処理

-皮質における処理

外側膝状体の神経細胞の軸索は大脳新皮質の後頭葉の一次視覚野に達する。

-視覚における困難

不良設定問題  結合問題  窓問題  ホムンクルス  おばあさん細胞  クオリア

・網膜の構造

Fig1_2_3_9 人の目は3層の膜からなっており、一番外側には網膜という組織がある。網膜に投影された画像は電気信号に変換されて脳に送られ、分析されて「見る」ことができる。

網膜の表面には、「錐体」と「桿体」という光を受け取る2種類の視細胞がある。

 錐体は網膜の中心部分に多く分布しており、明るい所でしか働かず、色の区別ができる。また、解像度が高く(視力が良い)ものをはっきりと見ることができる。

 一方、網膜の周辺に多く分布する「桿体」は色の区別はできないが、非常に高感度なので暗い所で働き、動きの検出に優れている。しかし、解像度は低く(視力が悪い)ぼんやりとしか見えません。また、この二つの種類の視細胞の数は大きく異なり、錐体が約650万個に対して桿体は12000万個と圧倒的に多いのです(上図参照)。

・視覚の作用

Fig1_2_3_10 主に桿体の働きによってものを見ることを「周辺視」、錐体の働きでものを見ることを「中心視」といい、この2つは役割分担を明確にして共同作業している。

周辺視でわずかに動くものや小さな変化を検出し、物体として認識されると、目や体を動かして、中心視で色や形を検出して、それが「何であるか」を詳しく知ることができる。

錐体には、R錐体、G錐体、B錐体の3種の視細胞があり、入力された映像に合わせてRGBの色をそれぞれ検知する。錐体細胞の占める比率は、R:G:B40:20:1になっているので赤感度が非常に高く、青感度は最も少なくなっている。この事実は色を識別するのに赤の情報を多く集めて判断していることが分かる。

Fig1_2_3_11・網膜細胞と視物資の視覚範囲

 網膜は、組織学的に10層に分けることができる。外側から順に、網膜色素上皮層、視細胞層、外境界膜、外顆粒層、外網状層、内顆粒層、内網状層、神経節細胞層、神経繊維(線維)層、内境界膜である。外界から網膜に照射された光は、内境界膜側から網膜層を透過し、視細胞層にある錐体・桿体視細胞に到達する。

網膜には大別すると、視細胞(錐体、桿体)、双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、神経節細胞の5つの神経細胞が存在する。光は視細胞で電気信号に変換され、その信号(情報)は化学シナプスを介して双極細胞と水平細胞に伝達される。双極細胞はアマクリン細胞や神経節細胞とシナプス結合しており、神経節細胞の軸索が視神経として大脳の視覚中枢に連絡している。 網膜外網状層で視細胞と双極細胞、水平細胞がシナプス結合しており、内網状層で双極細胞とアマクリン細胞、神経節細胞がシナプス形成をしている。外顆粒層には視細胞、内顆粒層には双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、神経節細胞層には神経節細胞の細胞体が位置する。

 暗所で微弱光を感知するのに特化した桿体視細胞に対して錐体視細胞は明所で機能する。通常動物は複数の錐体視細胞を持っており、それぞFig1_2_3_12れ波長感度の異なる錐体視物質を持つことによって色覚を可能にしている。例えば人間は赤色光、緑色光、青色光を受容する3種類の錐体視物質を持っていて3色光色覚(Trichromacy)を実現している。このように錐体視物質は波長感度でグループ分けすることができるが、このグループは分子系統的なグループ分けとおよそ一致していて、錐体視物質は波長感度によって多様化したことが知られている。桿体視物質は緑色光を受容する錐体視物質から分岐し、暗所での光受容に特化した。明所で働く錐体視細胞の応答は桿体視細胞に比べて応答が速いが感度が低いのが特徴である。このように視細胞の特徴的な応答特性は光受容を担う視物質やシグナル分子の分子特性の違いに起因すると考えられている。

人間の視物資はRGB3種あり(三色型色覚)、右図に示すような視覚範囲を持っている。また、例えば鳥類は人間より多く視物資を4種類(RGBV)持っており(四色型色覚)、紫外線領域まで見えることになる。

 



光と色の基礎知識 No.17

2.3 色の創生

・自然現象(青空と夕焼け)

 青空夕焼けの発生メカニズムは、レイリー散乱(太陽光が大気に入射して空気分子に衝突するとFig1_2_3_1そこで起こる散乱)によるものである。つまり、大気自身の成分である窒素分子、酸素分子、水蒸気、あるいは大気上層部に存在する小さな塵(エアロゾルと言い、大きさが数 nm~数十 nm)により散乱が生じることによって引き起こされる自然現象である。

微粒子が大きいと重いので、すぐ地上に落下してきてしまい、その大きさになるとレイリー散乱になる。

青空は、太陽の方向はまぶし過ぎるので、太陽から離れた位置を大抵見ることになる。そのため見ている視線方向は、光源である太陽から大きく逸れてしまう。このため、太陽からの直接光は目にほとんど入らず、ほぼ散乱光を見ていることになる。そのために青色の方が強く散乱するから、青く見えるわけである。

ただし、これは大気の厚みがいわば絶妙なために、散乱された青色が生き残っているが、夕焼けのように太陽光が通過してくる大気の距離が長くなると、青色は生き残れなくなる。

Fig1_2_3_2一方、夕焼けについて、これも青空と同様にレイリー散乱である。つまり、地平線付近にいる太陽からの光は、昼間の太陽に比べて、大気を通ってくる距離が格段に長くなる。

そして、散乱は四方八方に光を再放射するので、散乱光がまた別の物体に当たればそこでも散乱されるようになる(多重散乱)。

従って、何度も何度も散乱を繰り返すほど、どこか別の方向へ行ってしまって、目に届く光は減ってしまう。これは波長に関係なく一般的な現象である。つまり、単に光が通ってくる距離が長いか短いかで色が決まっているということである。

さらに、赤色の方が元々の散乱光の強さは青色に比べると1/4程度に弱い(波長が450 nm633 nmの場合)ので、透過しやすく、かつ、散乱され難くなる。

このため、散乱光の減衰の程度は、透過光と同じく赤色の方が小さいことになる。

結果として、青の散乱光と赤の散乱光のどちらが多く目に届くかは、気象条件、太陽の位置、大気中のエアロゾル等の条件で変化する。その場倍でも夕焼けは存在しているので、赤色の散乱光の方がより多く目に届く条件となっていたということになる。

・光の干渉(シャボン玉)

玉虫は光線の具合で緑や紫色に見えることで有名であるが、クワガタやカナブンも玉虫のように綺麗ではないが、光の具合によっては色が変化して見える。 また、シャボン玉も無色の石鹸水なのに虹のような色が見える。

Fig1_2_3_3

 玉虫などの色変化は、層状のクチクラによる多層膜干渉 によって起こるが、シャボン玉のように薄い膜が1枚のときは、膜の表面で反射した光と、膜の下の面で反射した光が干渉して色が出る。この薄い膜が何層にも重なると、更に複雑な色が出る。組織の構造によって出る色なので構造色と呼ばれる。CDDVDの記録面に何種もの色が見えるのも構造色の一種である。

Fig1_2_3_4右図に示すように、シャボン玉のように薄い膜が1枚のとき、薄膜干渉によって膜の表面と下の面で反射した光の経路差は、

2×膜の屈折率×膜の厚さ×COS(光の膜中での傾角)

で求められる。光の膜中での傾角というのは、幕の面に垂直線と膜に進入した光が成す角である。

・虹の発生原理

 雨上がりの空には無数の水滴が浮かんでいる。これらの水滴群に太陽の光(白色光)が入射すると、水滴の表面で屈折現象が起こる。屈折した光は波長によって異なる方向に進行し水滴の内面の別の場所で空気との界面に達し、そこで殆どの成分は鏡面反射される。(一部は界面を通過して空気中へ抜ける)界面で反射した光は進行方向を変えて再び空気との界面に達し、空気中へ屈折して抜け出して行く。つまり、水滴へ入射した太陽光は屈折・反射・屈折という過程を経て空気中へ再放出される。その結果、下図に示すように、例えば可視域短波長成分(紫色に見える)は太陽からの入射光方向に対して約40°の角度で折り返すことになり、可視域長波長成分(赤く見える)は入射光方向に対して約42°の角度で折り返すことになる。このような現象が、空中に浮遊している水滴の全てで同時に生じて、結果的にあの7色の虹が出現する。

Fig1_2_3_5
上述したように、無数の屈折現象を観察する側の眼から見ると、水滴群から眼の方向に向かって降り注いでくる光は、長波長光(赤)の光のみとなる。これらの水滴群からの赤より短い波長成分の光は観察者の眼には入らずに頭の上を通過してしまう。また、紫色の直線上に存在する水滴群から眼の方向に向かって降り注いでくる光は、短波長光(紫)の光のみとなる。これらの水滴群からの紫より長い波長成分の光は観察者の眼より下の足元の方に向かってやって来ることになる。

・オーロラが光る仕組み

Fig1_2_3_6
太陽風のプラズマ粒子は千ボルトから1万ボルトくらいまでの電圧で加速され、地球の外から地球の磁力線に沿って大気中に飛び込んでくる。この荷電粒子のエネルギーは、陽イオンと電子で構成される高温のプラズマである。地球の大気には、酸素原子と窒素分子が存在している。このプラズマ粒子が大気中の酸素原子や窒素分子と衝突すると、持っていたエネルギーを大気中の酸素原子や窒素分子に与える。

エネルギーを与えられた酸素原子や窒素分子は励起状態と呼ばれるエネルギーの高い状態になる。励起状態は不安定なため、元の安定な基底状態に自然に戻るが、この時、2つの状態のエネルギーの差の分だけ光を放出することになる。このエネルギー放出による発光が、オーロラとして発光する。

プラズマは、温度が上昇すると、物質は固体から液体に、液体から気体にと状態が変化する。気体の温度が上昇すると気体の分子は解離して原子になり、さらに温度が上昇すると原子核のまわりを回っていた電子が原子から離れて、正イオンと電 子に分かれる。

 

光と色の基礎知識 No.16

2。2.4 印刷における色混合

印刷物をつくるときは、上記のように3色の色材を使用するが、3色ではどうしても色を出せないものFig1_2_2_7aが発生する。そこで、墨が加わり、さらに特色という色材が必要になる。これは、あらかじめ色を作成したインクである。金、銀などがその代表である。

最初に印刷は色光の三原色(RGB)ではなく色材の三原色(CMY)を使わなければならいかということである。その理由は、色材のRGBを独立して変化させても単に明暗のみが変化するだけである、通常色の変化を求める場合、図のように、例えばRGB量の変化によって色は明るくなったり暗くなったりする。これらのレベルを適当な量にして混合すればフルカラーの全色を造ることができる。(普通の色の変化)

Fig1_2_2_7b
 しかし、インクや絵の具のような色材はRGBを変化させても混合色は得られず、フルカラーを造ることはできない。ところが色材の三原色であるCMYをそれぞれ変化させるとそれに対応したRGBが変化するようになる。このことはちょうどRGBの補色を成すCMYを変化させることでフルカラーである全色は造れるようになる。

減色混合では、色フィルタや絵の具など特定の色光を吸収する物質を重ね合わせ、吸収されずに残った光により別の色を得ることである。カラーフィルム、印刷・プリント、水彩画などに利用される。原色には普通シアン(スペクトルの赤部を吸収)、マゼンタ(緑部を吸収)、黄(青紫部を吸収)の3色を使用する。

そもそも減色混合の研究では、RGBを掛け合わせると白くなるという、加色混合がベースとなったのは事実である。逆にいえば、色材は足しても白くならず、黒になってしまう。このことは、たとえRGBインクでも、掛け合わせた途端、理論とは逆方向になることを意味する。つまり、RGBは光をコントロールして得られる色再現法であり、RGBインクは単純に三原色の色味に近いものを色材から選んだに過ぎない。

また、推測であるが、当時の色材では彩度の高いRGBインクは得られなかったであろうことがうかがわれる。そして、得られた近いものの中から、掛け合わせによる色再現を試みたはずで、その際に、掛け合わせたら濁っていくことで相当悩んだと思われる。

その答えは簡単で、人は、物体に与えた光の分光反射を色として認識するためである。

この時、RGBインクでは、単に[C+M]で[R]が得られているに過ぎず、結果的にRGB加法混色が成り立っていないことが判る。

つまり、分光反射を用いて色再現をする都合上、絶対的に減法混色に依存する必然性があるわけである。換言するなら、分光反射の結果、網膜上でRGB加法混色による色再現を行う、と言っても過言ではない。そして、黎明期の研究者たちが1800年代後半から1900年代初期に悩んだはるか200年も前に、色の理論は基礎物理学の開祖たちにより光の研究の延長線として研究されており、理論的追求には困らなかった根拠を持ちえていたのである。今日ではRGBの彩度の高い色材が普通に存在し、理論的なものも確立しているため、なぜ色再現法をRGBに統一しないのか?と思われるのも当たり前かもしれないが、どれほど技術が進んでも、物理原則からは逃れられないということが非常に意味があり重要なことである。

では、どうしてインクジェットや一部の高品位印刷でRGBインクを用いるのか?と言う疑問が生じるのではないだろうか。

理論的にはCMYの減法混色でフルカラーが再現されるはずであるが、理想的な色材がない、分光反射率のバランスが取れない、ベースの支持体の影響を受ける、光源の影響を受けるなど、現実的な問題に直面し、理論がそのまま実践できないためである。そこで発生してしまう欠けたる色再現域を補うべく、色材を追加することになった。

この時、特にRGBにこだわる必要はないので、フジカラーなどではフィルムでグリーン色域を2つに分けているし、エプソンでは、RedOrangeを追加し、CMのカラーバランスを変えることで対応している。つまり、色域をバランス良く再現することを考え、現存する色材を掛け合わせて、それらを満たせればよい、と言うことになる。

また、それらを掛け合わせた結果は常に真黒(ないし、それより濃度の低い黒)になるので、減法混色といえる。余談であるが、ポジフィルムも液晶モニタも減法混色である。

加法混色法を用いた理想に近い色再現を行えるのは、CRTなどの自己発光型デバイスだけである。また、カラーネガフィルムはシステム上、フィルムの段階ではRGBに近いものとなる。しかし、CMY色再現であることには変わりない。つまり、現像前の段階では感色層となりRGBで感光するが、現像段階では発色層としてCMYの色素がフィルムに定着して残るために、色フィルタとして作用するのでCMY(減法混色)といえるのである。

Fig1_2_2_8
 実際にインキを塗った場合、図のように、光(RGBの白色)がインキRの塗膜を透過した光は反射光となって進むので、元の色Rに同期して目に見える色はR(赤)となる。これはインキのGBの光が吸Fig1_2_2_9収されて赤色の光のみが反射されるために赤として識別できるようになるのである。同様にして緑色も緑の光として反射され、それが目の色覚メカニズムによって緑に見えることになる。

また、例えばインキの赤RとシアンCを重ね塗りした場合は、CGBなので、RCRGB3色の重ね合わせと同じ状態となり、結局RGBのすべてが吸収されて、色光は一切反射されず、従って、真っ暗になり黒にみえることになる。他の色の組み合わせも同様で、発色する色の混色(現職混合)は上図の通りである。


光と色の基礎知識 No.14

2.2.3 光の三原色

 人間の視覚は主に赤(red)・緑(green)・青(blue)の各色の光に強く反応する色覚受容体で構成され、これらの組み合わせとして様々な色を知覚している。この3色を「光の三原色」と呼び、各色の頭文字を取って「RGB」(Red-Green-Blue)という略号で表される。

画面や照明のような発光体の色はこの三色の組み合わせにより表現される。強度を高めるほど色が明るくなっていき、三色を最大の強度で足し合わせると白色となる。このような混色系を「加法混色」という。

光の三原色(加法混色)の混合形式は、下図の通りである。

つまり、加法混色には「同時」「継時」「併置」(並置)の3つがあり、いずれかの方法によって色を混合して、各色を生成している。

 波長の異なる 2種あるいは 3種の光を同時に(あるいは,短い時間間隔で交互に)網膜に与えることによって,任意の色覚を生じさせることを混色という。例えば、589nmの光によって起こる黄色に対して、これと同じに見えるような色を、671nmの赤の光と 536nmの緑の光とを一定の割合で混合することによってつくることができる。このような混色は加法混色と呼ばれ、グラスマンの法則が成り立つ。すなわち、一般に3つの互いに独立した、任意の色刺激 RGB(→RGB)の加法混色によって、任意の色刺激 Cが得られる。この関係を色方程式で表すと,CrRgGbBとなる。ただし、rgbはそれぞれの色刺激の量である。なお、RGBをただ加え合わせただけでは、どのようにしても Cと等しくすることができない場合には,Cの方に B b量加えて、R Gのみの混合で CbBrRgGという関係を成立させることができる。他方、色フィルタないしは染料や顔料のような、スペクトルを選択的に吸収する媒質を重ね合わせることによって、透過光が別の色に見えるのは、減法混色に基づく現象である。絵具の混合はその一例である。

Fig1_2_2_6
・同時混色

Fig1_2_2_6a2つ以上のライトを重ね合わせると、重なった部分は両方の光が当たるので明るくなる。これを光の異なるライトで行うと、その部分は元の色よりも明るい別の色となる。このような色光による混色を同時加法混色という。

混色には、元になる色があり、同時加法混色では、加法混色の三原色といい、以下の3色(ライトの色)となる。

R (赤:レッド)

G (緑:グリーン)

B (青:ブルー)

この3色は、それぞれ他の2色を混色してもつくれない色で加法混色では、この3色を元にして、3色の混合量を調節しながら様々な色を作る。

・継時混色(回転混色)

玩具のコマに複数の色を塗って回転させると、その中間の色に見える。例えば、白と黒の場合には、灰色に見え、黄と赤の場合には橙色に見える。図のようにR,B,Y3色を混合すると肌色となる。また、塗る色の面積比を変えると、その比に応じて色が変化して見える。

人間は、回転するコマを網膜上に結像して見ている。網膜上の特定の位置(錐体)から回転するコマを見ると、塗り分けられた色の各エリアからの色光が時間的に交互に入射してくることになる。この入れ替わりの速度がゆっくりであれば、ヒトはそれぞれの色が交互に入れ替わりながら回転していることを認識できる。しかし、回転が速くなると、錐体の応答速度が追いつかなくなってしまう。その結果、混合(合成)された色が生成される。

コマに塗る色の面積比を変えれば、錐体の応答時間特性(持続時間)も変わるので、混色の結果は2色の中間で面積比に応じて変化します。

色ゴマ以外にも、色分けした風車(かざぐるま)でもこのような継時混色が見られる。

・併置混色(並置混色)

Fig1_2_2_6b例えば右図のようなR,G,Bの三原色を考えてみる。画素が粗いときには網膜上でRのエリアとGのエリアおよびBのエリアの結像位置が明らかに異なるため、当然別々の色として認識される。しかし、画素をどんどん細かくしていけば、ついには画素が区別できなくなり、R,G,Bが渾然一体となって白色に見えてくる。網膜上での錐体の分布状態で決まる位置的分解能(識別限界)を超える細かいモザイク状の複数色に対しては、それらの色の中間の色として認識される訳で、この中間混色を並置混色(併置混色)と呼んでいる。

-並置混色の例( 1 )・・・・カラーテレビやパソコンディスプレイ

我々の身の周りには、例えば、カラーテレビやパソコンのディスプレイなど、並置混色を応用したものが多く使えあれている。これらの画面は、青 ( B ) 、緑 ( G ) 、赤 ( R ) の極めて細かい画素が規則的配列で敷き詰められている。画面上で青に表示された領域は青 ( B ) の画素のみが光っており、緑 ( G ) と赤 ( R ) の画素は消えている。同様に、緑に表示されたエリアは緑 ( G ) の画素だけ、赤に表示されたエリアは赤 ( R ) の画素だけが光っている。また、黄色に表示されるエリアは、緑 ( G ) と赤 ( R ) の画素が光っており、青 ( B ) の画素は消えている ( Y = G + R )

同様に、マゼンタ色に表示されるエリアは、赤 ( R ) と青 ( B ) の画素が光っており、緑 ( G ) の画素は消えている ( M = R + B )

シアン色のエリアは、青 ( B ) と緑 ( G ) の画素が光っており、赤 ( R ) の画素は消えている( C = B + G )

また、白に表示されるエリアは、青 ( B ) 、緑 ( G ) 、赤 ( R ) の全ての画素がすべて光っている ( W = B + G + R )

各画素 ( B G R ) の発光強度の比率を変えれば、様々な色が作り出せる仕組みになっている。

-並置混色の例 ( 2 ) ・・・・織物

衣服などの布地で、異なる色の糸を縦糸と横糸にして織り上げた布は、遠くから見ると両者の色が混ざり合った中間の色に見える。

-並置混色の例 ( 3 ) ・・・・点描画

19 世紀に活躍した新印象派の画家、ジョルジュ・スーラ Georges Seurat ( 1859 1891 ) ポール・シニヤック Paul Signac ( 1863 1935 ) が用いた「点描画」という描画手法は、並置混色を絵画に応用したものである。画面全体に亘って何種類かの細かい色点を敷き詰めて絵を構成し、個々の色点の組合せとそれらの密度を変えることによって中間の色調を作り出している。

 

ギャラリー
  • 光と色の基礎知識 No.29
  • 光と色の基礎知識 No.29
  • 光と色の基礎知識 No.29
  • 光と色の基礎知識 No.29
  • 光と色の基礎知識 No.28
  • 光と色の基礎知識 No.28
  • 光 と色の基礎知識 No.27
  • 光と色の基礎知識 No.26
  • 光と色の基礎知識 No.26