アンディマンのテクノロジー(援技力)

写真表現に関わる専門的な知識を補うために設けたブログです。 新たらしい時代に相応しい技術情報を掲載していきます。 普段疑問に思った問題の解決に繋げるテーマを醸成していきます。

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光と色の基礎知識 No.24

2.4.3 見えの仕組み

・視細胞

 視覚情報処理の並列性は大脳皮質で始まるわけではなく皮質以前に、網膜レベルですでに始まっている。網膜からV1までの視覚経路には並列性があり、少なくとも2つの経路から構成されている。1つは外側膝状体の大細胞層で中継される大細胞系、もう1つは外側膝状体の小細胞層で中継される小細胞系である。錐体光受容器には分光感度特性の違3種類(L錐体、M錐体、S錐体)がある。異なる種類の錐体の信号の差分(L-MS-(L+M))をとることにより色の信号が作り出される。この信号は小細胞系で伝えられる。一方、異なる種類の信号を加算(主にL+M)することにより、輝度(明るさ)の信号が作り出される。この信号は大細胞系で運ばれる。最近、明らかにされているところでは、色の信号は外側膝状体の顆粒細胞層(koniocellular layer)でも中継されているようである。

-錐体

Fig1_2_4_7
人間の錐体細胞(S,M,L)と桿体細胞(R)の吸収スペクトル

錐体細胞cone cellとは、視細胞の一種である。名前はその形態から由来する。網膜の中心部である黄斑に密に分布する。 錐細胞円錐細胞などともいう。

色(波長)に対し敏感に反応するが、光量(波幅)に対し鈍感である。

暗闇の中では錐体細胞の活動が鈍くなり桿体細胞に依存した視覚になるため、色がわからなくなる。

ヒトの網膜には赤・緑・青の各錐体が存在し、それぞれが主に赤・緑・青色の光を吸収する。ヒトが感じる光がこの3色のみであるため、ヒトにとっての光の三原色も同じように赤・緑・青となる。

ただし、赤錐体、緑錐体といっても赤・緑に吸収スペクトルのピークがあるわけではなく、両者とも図にあるように吸収スペクトルのピークは黄色である。

-桿体(杆体)

桿体細胞は、視細胞の一種である。桿細胞ともいう。錐体細胞は色を識別するが光量が充分でないと感知できない細胞で、桿体細胞は色を識別できないが僅かな光でも感知する。暗闇の中では錐体細胞はほとんど働かないが、桿体細胞が働く。このため暗い所では、物の形は判っても色ははっきりとは判らない。

フクロウやミミズクなど夜行性の鳥の視神経細胞は、主として桿体から成るが、昼行性の多くの鳥は桿体細胞がほとんどないため、暗いと全く視覚を失う鳥目)。 人間では錐体細胞が視神経乳頭の周囲に集中し、桿体細胞はその周縁に存在するため、暗いと視覚はあるが焦点が合い難く、視力が落ちる。

・光の反射、透過、吸収

出典:http://www.heat-tech.biz/products-hph/hsh-gj/hsh-gj-hhn/hsh-gj-hkb/1707.html

下図の様に物体に入射した光は一部が反射され、一部が透過し、一部が吸収される。

反射光の割合がA%とすれば、この物体の反射率はA%となる。同様に透過率はB%,吸収率はCである。ここでABCは必ず100%になる。

Fig1_2_4_8
これはエネルギー保存則の通りで、エネルギーは形はかえても、その量は増えも減りもしないということで、入射光のエネルギーは(透過光エネルギー+反射光エネルギー+吸収されたエネルギー)になるということである。

また、放射率と言われるものがある。これは物体がある温度になったときに、そこから光(マイクロ波~赤外線~可視光域が主)の形でエネルギーが放射されるが、この放射度合いの数値である。最も放熱し易い仮想物体が黒体で、全ての波長で放射率が100%でデータある。現実には存在しない。

重要な点は必ず「吸収率=放射率」の関係になることである。吸収しやすいほど放射もしやすく、吸収率がゼロであれば放射による放熱もできない。

Fig1_2_4_9正確にはこの関係はある波長についてのみ成り立つ。ガラスは可視光域の透過率が100%に近く、吸収率はゼロに近いが、赤外域(約3μm以上)では透過率がほぼゼロになり、結果的にほぼ完全な吸収体になる。温室はこの性質を利用したもので、太陽光は殆どガラスを透過して温室内に入り込み、そこで熱になって室内を温める。温まった室内からは長波長の赤外域放射で放熱しようとするが、その波長域ではガラスの透過率がゼロであり、このガラスの断熱性能がよければ(ペアガラスなど)熱が外部に直接出ていくことが出来ず、温室内に熱が留まる。

 金属は波長が長くなるほど吸収率が低下するので、遠赤ヒーターでの加熱には適さない。可視光に近い波長での加熱に適しているから、ハロゲンランプヒーター(ピーク波長は約1μm)が最適である。それでも金属材料によっては加熱不可能に近い金属もある。例えば銅やアルミなどは可視~近赤外域でも反射率が高く、おまけに熱伝導もよいので加熱困難である。ただし、これらも表面状態によっては加熱できる。(酸化変色しているとか細かい凹凸があるなど)非金属(セラミック、プラスチック、紙、木、人体等)は一般的に遠赤外域で放射率(=吸収率)が高くなるので、遠赤ヒーターが適している。ただし、遠赤ヒーターでは高温にはできないので、このような対象物でも急速に高温にしたい場合などはハロゲンランプヒーターの方が適している。

放射率(=吸収率)は、100%以上はありえない(どの波長に対しても)。仮想的な物体である「黒体」がすべての波長域で100%であり、これにかなり近いのは粉末状カーボン(9598%)あたりである。

・色の許容範囲

 測定した三刺激値XYZUCS(均等色空間)に変換すると、例えば、L*a*b*座標で表示できるようになるので、2色の座標間の距離で知覚色差の大小が比べられる。つまり、色の許容範囲を色差値で表現することができるようになる。通常、色の許容差は当事者間の協定によって決めるべきものであるが、参考までに、JIS規格や各種の工業界で、一般的に使用されている事例を紹介する。(下表参照)

Fig1_2_4_10

 一方、本来人間は可視光領域は380nm780nmとなっているが、全ての動物が同じではない。例えば、「ハチ」がおよそ300nm650nmまで、「イヌ」はおよそ650nm780nmまでの可視光範囲となっている。これは、それぞれの生物種によって活動する時点での視覚要求が異なっているためである。ちなみに「ヒト」の一部は紫外線領域まで見える場合があるが、これは過去に4波長の視覚を持っていた証でもある。(下図参照)

Fig1_2_4_11

・同化作用による色の見え方

同化(Anabolismとは、小さな部品から分子を構成する代謝過程である。これらの反応にはエネルギーが必要である。代謝過程を分類する1つの方法として、細胞、組織のレベルにおいて「同化作用」か「異化作用」かというのがある。同化は、大きな分子を小さな部分に分解して細胞呼吸に用いる異化から得られるエネルギーによって起こる。このエネルギー供給は、多くの場合はアデノシン三リン酸を通じて起こる。

同化過程は、器官や組織を「組み立てる」方向に働く。このような過程で細胞は成長、分化し、複雑な分子が構成され、個体は大きくなる。同化の例としては、骨の成長や石化、筋肉量の増加等がある。

Fig1_2_4_12

 普段、なにげなく見ている色は、我々が考えているよりずっと複雑で面白いものがある。そして、その効果は日常生活の中にも上手く取り入れられている。例えば、スーパーに買い物に行った際、気をつけて見てると、みかんは赤やオレンジのネットに、枝豆やオクラは緑や青のネットに入っていることがある。これは、色相の同化や彩度の同化を利用して美味しそうに見せているのである。

 “Creation”と赤字で書いた文字の上に、黄と青の縦縞模様を重ね合わせて見ると、オレンジ色やパープル色にみえる(縦縞の最初が黄と青の違い)。これは明らかに錯覚でいかに周囲の環境条件で色別する能力が変わるか(この場合は同化であるが)を物語っている。

 

光と色の基礎知識 No.23

2.4.2 反対色性

赤と青を混ぜると紫になり、赤と緑を混ぜると黄になる。この時、紫には元の赤味も青味もあるが、黄にはそれがない。また、黄と青から白を作る場合も、元の色味がなくなる。このような色味を打ち消しあう性質を反対色性という。

反対色性は、網膜から大脳へ効率的に色情報を伝達しようとするために生じると考えられている。なぜなら、それぞれの色は錐体応答間でも高い相関があるからである。そのため、相関が低くなるよう線形変換し、冗長性を低減している。

反対色

Fig1_2_4_3ある色をずっと見ていると、目にはその色の反対の色として、「反対色」というものが作られる。この反対色は、「補色」ともいわれている。 この画面の左にある赤を30秒くらいじっと見つめてから、白い紙に視線を移す。すると、何やら色が見えてくることが実感できる。それは、何色かというと、青緑が見えたはずである。このような実験をすると、さまざまな色の補色が見つけることができる。

「モナリザの微笑」を描いたレオナルド・ダビンチは、「補色同士はよく調和する」といっている。つまり、デザイン的にいえば、配色賭して都合がよい、というわけである。いろいろな色で試してみると、例えば、刺身の赤に緑の笹がある。これは、お互いによく調和し、さらにお互いを引き立て合う働きをしていることが理解できる。

また、外科医の執刀着が薄い緑から青になっているのは周知の通りであるが、これは、患者の血の色の反対色が目にちらつかないようにするための工夫である。このように、日常何気なく使われている配色には、きちんとした理由があることが多い。

Fig1_2_4_4・見えの現象

-乱反射

 物体の表面がなめらかな面でないとき、その凹凸のために入射した光が、いろいろな方向に反射散乱される現象である。平面のように見える面でも光の波長と同程度の尺度でみると乱雑な凹凸があるために、一方向から光を照射しても乱反射が起って、面上の各点が二次的光源になるので、どの角度からでもその面を見ることができる。

-鏡像

鏡像とは、一般的な意味では、鏡に映った像のことである。この鏡像はまた、数学的意味での鏡像と、光の反射の性質によってつながっている。鏡面が完全に平坦ならば鏡像は元の図形と合同になるが、凹面鏡や凸面鏡のように曲面の場合はその限りではない。

Fig1_2_4_5数学での鏡像は、鏡映とも言う。鏡像も鏡映も2つの点や図形の間の関係を指す。また元の点や図形をその関係にある相手に移す操作(鏡映操作)を指す。その関係にある相手の図形のことをも指すが、この意味では鏡像または鏡像体がよく用いられる。

狭義には、n次元ユークリッド空間にひとつのn-1次元空間(超平面)を定めたとき、ある点をこの超平面に対して対称な点に写像する操作を言う。ここで対称な点とは、この超平面に対する垂線上にあり、垂線と超平面との交点からの距離が等しい2点のことを指す。

また、この操作で互いに移る2点間の関係、つまり超平面に対して対称な点同士の関係をも鏡像、または鏡映という。この意味での鏡映も鏡像も英語では"reflection"であるが、"mirror image"は鏡像関係にある図形のことを指す。

さらに狭義にはn=3の場合のみを指す。

n次元空間での狭義の鏡像同士は合同ではあるが、特定の対称性を持たない限りはn次元空間内での回転と並進だけでは重ね合わすことができない。しかしn+1次元空間内での回転や並進でならば重ね合わすことができる。これはn=2の場合は容易に確かめられる。4次元空間を移動して人の左右が入れ替わったり、体内の分子が対掌体に変換したり、物質が反物質に変換したりする設定はSF作品でよく見られる。

ある図形の全ての点を鏡映した点の集合が自身と完全に一致するような鏡映面が存在するとき、この図形は鏡映対称である(面対称である)といい、この鏡映面をこの図形の対称面と呼ぶ。鏡映対称な図形の任意の面による鏡像体はもちろん、回転と並進により元の図形に重ね合わせることができる。だが、その鏡像体を回転と並進により元の図形に重ね合わせることはできるが鏡映対称ではない図形が存在する。例えば、2回回映軸を持つが対称面は持たない図形がそうである。

-凸レンズによる虚像

 物体から出た光がレンズや反射鏡の光学結像系を通過したのち、発散光線となり,実際には像を結ばず,その光線を逆向きに延長したものが像をつくる場合,これを虚像という。平面鏡の像や,凸面鏡,凹レンズの像,および凸レンズの焦点距離内に物体を置いたときの像は虚像である。

Fig1_2_4_6
  虚像(virtual imageとは、レンズや鏡で屈折、反射された光線が実際には像に集まらないが、光線を逆向きに延長すると集まって一種の像を作ることをいう。光線はまるで虚像から発するように見える。レンズによる正立像や、平面鏡の作る鏡像は虚像である。

転じて、第三者によってつくられた実際とは正反対の姿も指す。 これは、屈折像と間違えやすいので注意を要する。

 

光と色の基礎知識 No.22

2.4.1 構造色

光の波長或いはそれ以下の微細構造による干渉や回折、散乱により物体が色付く現象を構造色と呼んでいる。構造色として有名なものに、モルフォチョウ、カモの羽根、宝石のオパールなどがある。

構造色structural color)は、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による発色現象を指す。身近な構造色にはコンパクトディスクやシャボン玉などが挙げられる。コンパクトディスクやシャボンには、それ自身には色がついていないが、その微細な構造によって光が干渉するため、色づいて見える。構造色の特徴として、見る角度に応じて、様々な色彩が見られることが挙げられる。色素や顔料による発色と異なり、紫外線などにより脱色することがなく、繊維や自動車の塗装など工業的応用研究が進んでいる。

Fig1_2_4_2



・薄膜による干渉

光の波長程度の薄い膜(薄膜)では、膜の上面で反射する光と下面で反射する光が干渉するため、膜の厚さに対応した波長光が色づいて見える。シャボン玉や油膜に色が付いて見えるのは、このような薄膜干渉(はくまくかんしょう)に起因している。シャボンや油膜の厚さに応じて、様々に色づいて見える。

・多層膜による干渉

薄い膜を何層も重ねたような構造による光の干渉である。膜厚の組み合わせ、各層の枚数の組み合わせによって干渉の仕方が変化し、様々な色彩が現れる。

アワビ等の貝殻の内側は、真珠母と呼ばれる炭酸カルシウムの薄膜が層構造を形成しており、11つの層から反射される光が干渉することで、様々な色合いが見られる。

タマムシ、ハナムグリといった甲虫類に見られる金属光沢に富んだ色彩は、キチン質の層構造によるものである。オオゴマダラといったチョウの蛹も同様に金属光沢のある構造色が見られる。

サンマやイワシといった魚類の体色が銀色なのは、体表にある虹色色素胞中でグアニンの板状結晶(反射小板)と細胞質の積層構造による干渉の効果である。可視光線がほぼ完全に反射されることで、体色が銀色に見える。ルリスズメダイやネオンテトラでは、反射小板と細胞質の膜厚比が大きく異なるため、特定の波長領域の光のみが反射され、鮮やかな色彩がみられる。

・微細な溝・突起などによる干渉

コンパクトディスクやDVDではアルミ薄膜表面に刻まれた凹凸によってデジタル情報を記録している。この凹凸が回折格子の様に光を干渉するため、記録面側は虹色に見える。

『生きた宝石』とも呼ばれるモルフォチョウの翅(はね)は、鮮やかな青色をしているが、これは鱗粉表面に刻まれた格子状の構造による構造色である。この構造は青色の光の波長のちょうど半分にあたる200nm間隔に並んでおり、干渉により青色の光のみが反射される。2003年、松井真二(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 教授)らは集束イオンビーム装置を用いて、この構造をシリコン基板上に作り出すことで、モルフォチョウの青色を再現することに成功している。

クジャクやカワセミといった鳥類では、羽毛にある微細な構造によって、鮮やか色彩が現れる。

・微粒子などによる散乱

宝石のオパールは、規則的に並んだケイ酸塩の微粒子によって光が干渉し、見る角度によって様々な色彩がみられる。

牛乳が白いのは、脂肪のコロイドが光を散乱するためである。青い空、夕焼けなどの色は、太陽光が大気中の窒素や酸素分子によって散乱されるためである。このような、光の波長より小さな粒子による散乱現象はレイリー散乱と呼ばれる。光の波長と同程度の粒子(散乱体)による光の散乱はミー散乱と呼ばれる。雲が白く見えるのはミー散乱によるものである。

 

光と色の基礎知識 No.21

2.4 色(光源色と物体色)

Fig1_2_4_1

とは、視覚を通して得られる感覚の一種で、「形状」や「距離」の様に空間の物理的な性質ではない。色の感覚はある広がりを持った領域(視界内の物の表面など)が発する電磁放射のスペクトルを反映していることが多い。つまり、目に入る光(可視光線)の波長と結び付いている。ある者が視覚を通して受け取る光の波長が変化すると、それに伴って変化する視覚経験の内容が色である、ということができる(ただし、色覚が弱い人、持たない人もいるため、例外がある)。生理学的にいうと、網膜内にある3種類の錐体細胞が吸収する可視光線の割合が色の感覚を生む。これらの錐体細胞は、それぞれ黄~橙、緑、青(藍)の波長に最も反応するタンパク質(オプシンタンパク質)を含んでいる。これが3原色という感覚を生む原因である。

色感覚についてはまだ判かっていない事柄が多い。例えば、ある種の魚類ではヒトよりも1つ多い4種類の錐体細胞を持つ。従って、3原色ではなく4原色の「色」を知覚していると考えられている。

物理的な対応物がないのに色を知覚する例として、ベンハムの独楽という錯視現象がある。ベンハムの独楽とは独楽の上面を白と黒で塗り分けただけであるのに、回転させると色知覚が生まれるという実験を指す。

「色気を出す」、「色をつける(おまけする)」、「焦りの色」というように、魅力や状態を表す単語でもある。

・物理学上の色と色覚

物理学的には、の変化は、物体と物体を照らす光との「相性」により説明される。物体に入射する何らかの波長の光が観測者の方向へ反射(正反射・乱反射を含む)する際に、その物体の物性に応じた特定の波長のみが反射されそれ以外は吸収される(=波長に応じ反射率が異なる)という現象が起こる。観測者には反射された光だけが届くため、その波長に基づいて判断されるが、「その物体の」として認識される(つまり、光そのものに色という性質はなく、光を受けた器官が色を作っている)。

また、そのように観測者に届く光とそれに対する認識とに左右されるため、一般的なは、人間の視覚、即ち可視光線の範囲内を基準として表現されている。逆にいえば、可視光線の範囲を超えた波長の光について観測すると、可視光域で見た場合に比べて全く別の「色」や模様になっている物体もある。例えば、蝶の羽根の模様は紫外線領域では人の肉眼で見る場合とはまた異なる鮮やかな模様を描き出すし、真っ黒に焼け焦げた新聞紙などは赤外線領域のある波長では燃えた紙とインクが燃えた部分とで反射率が異なるため書かれていた元の内容を読み出すことができる。

・錐体と三原色

人間の可視領域において緑6、赤3、青1程度の強度で光が観測される場合、その色は「白」と表現される。一方、全帯域において殆ど観測されない場合、その色は「黒」と表現される。なお、光を完全に反射もしくは吸収する物質は存在しないため、完全に黒い物質はないが、光を完全に遮断することで完全な闇を作ることはできる。

人間の視覚が色を認識する際には、その光の分光分布を直接計っているのではなく、眼球の錐体細胞に含まれる3つの色素が光を吸収する割合を計っているに過ぎない。そのため、独立した複数の色を合成することで人間に別の色を感じさせることができる。例えば、黄色の波長の光は、赤の波長の光と緑の波長の光の組み合わせとほぼ同じ刺激を与えるから、黄色は赤と緑の組み合わせの光として表現できる。そしてこの場合、黄色の波長の光だけが眼球に入っている場合と、赤の光と緑の光が組み合わせで眼球に入っている場合とでは人間には区別することができない(ほぼ同じ、とは単色光としての純粋な黄色はRGBでは表現することができないことを指す。また、色弱とは、3種の錐体細胞が感得する光の波長が、健常者と異なっている状態である)。

 

光と色の基礎知識 No.20

2.3.3 知覚

知覚とは、動物が外界からの刺激を感じ取り、意味づけすることである。 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、体性感覚、平衡感覚などの感覚情報をもとに、「熱い」「重い」「固い」などという自覚的な体験として再構成する処理であるといえる。

・大脳におる知覚のメカニズム

Fig1_2_3_18体性感覚情報はまず刺激対側の中心後回(一次感覚野)に達し、その後両側の頭頂弁蓋部(二次感覚野)に伝えられる。

聴覚情報は主に刺激対側の側頭葉上面の一次聴覚野、その後その周囲の二次聴覚野に伝達される。

聴覚、体性感覚とも一次から二次皮質に進むに従い、高次な処理が行われるようである。

視覚情報は後頭葉の一次視覚野にまず達し、順次前方に向かって情報が伝達され様々な処理がなされていく。

視覚、体性感覚、聴覚皮質に囲まれた、あるいは重複する場所に位置する頭頂葉は、それらの情報を統合する(「異種感覚情報の統合」)働きを有している。例えば「机の上にあるコップに手を伸ばして掴む」という一見単純な動作にも、表在感覚や深部覚を含む体性感覚、視覚、さらに運動出力情報を複雑な統合が必要であるが、頭頂葉の障害でこのような動作がスムーズにできなくなる(このような症状は失行と呼ばれている)。

・知覚における運動の役割

Fig1_2_3_19
 ただし、知覚を実現しているのは感覚情報だけではない。例えば、「重い」という知覚を感じ取るためには皮膚からの強い圧覚、筋紡錘や関節からの深部覚フィードバックとともに、それに拮抗して筋力を収縮させているという運動出力の情報も必要となっている。

このように能動的に運動することも情報として使用することによる物体の認識は「アクティブ・タッチ」とよばれている。

・知覚から認知へ

知覚をもとにして、さらに「これは犬である」などと解釈する処理などが認知である。

 

ギャラリー
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