アンディマンのテクノロジー(援技力)

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光と色の基礎知識 No3

1.2  光の波動性

1.2.1 光が波動である現象

波動としての光を光波と呼び、反射屈折回折・干渉などの現象を起こす。ヤングの干渉実験により光の波動説として証明され、その後マクスウェルらにより光は電磁波であることが示された。厳密にはマクスウェルの方程式で記述されるベクトル波であり偏光を持つが、波動光学では簡略化のためにスカラー波として扱うことが多い。

-光のエネルギーは電場振幅2乗に比例する

-光の運動量はポインティング・ベクトルに比例する

光は、狭義には電磁波のうち波長が380 - 760 nmのもの(可視光)をいう。広義には放射と同義であり紫外放射、可視放射、赤外放射を含めて「光」または「光放射」という。

・光の性質

光には以下のような基本的な性質がある。

-光の直進

Fig1_1_2_1
 光は均質な媒質の内部では直進する(エウクレイデスの「光の直進の法則」)。厳密には、重力場では光の経路も彎曲する(測地線)。

また、波の波長が短い場合はスリットを通過するときは平行度を保ったまま直進するが、波長が長い場合はスリットを通過するときは円状の波となって進む。

-光の反射・屈折

Fig1_1_2_2
光は異なる媒質の境界面で反射あるいは屈折する。

凸凹の無い平面鏡に当たった光は、鏡に当たったときと同じ角度で反射する(エウクレイデスの「光の反射の法則」)。光の屈折の際は、スネルの法則が成立する。

-光の透過・吸収

光が透明な媒質の境界面に当たったとき、その一部は境界面で反射するが、残りは媒質の内部を通過する現象を透過という。

光が透明な媒質の内部を通過するとき、その内部へ吸収変換される現象を吸収という。

Fig1_1_2_3
   

-光の干渉と回折

2つの光波(位相差が時間とともに変化しない同一周波数のコーヒーレントな2つの光)が重なり合うことで光が強くなったり弱くなったりする現象を干渉という。

光が伝搬するときに障害物の後方に回り込む現象を回折という。

Fig1_1_2_4
-自然光と偏光

平均的にいずれの方向に対しても同じ強さで振動しながら進行する光を自然光という。

透明な物体に一定の角度で入射したときにみられる反射光が1つの面でしか振動しなくなった光を偏光という。

 光速(光の速度)は、光源の運動状態にかかわらず、不変である(光速度不変の原理)。また、光は物質のない真空中の空間を伝播することができる。光の強さは光源からの距離の2乗に反比例する(ケプラーの光の逆2乗の法則)。

なお、光が、人間の目に入る直線経路は複数とりうることを2穴のピンホールを用いた実験によってシャイネルが確認した(シャイネル試験)。

Fig1_1_2_5
-光の乱反射

 物体の表面がなめらかな面でないとき、その凹凸のために入射した光が、いろいろな方向に反射散乱される現象である。平面のように見える面でも光の波長と同程度の尺度でみると乱雑な凹凸があるために、一方向から光を照射しても乱反射が起って、面上の各点が二次的光源になるので、どの角度からでもその面を見ることができる。

Fig1_1_2_6

-光の散乱

光の散乱とは、光を物質に入射させた時、これを吸収すると同時に光を四方八方に放出する現象をいう。

光散乱は光の反射と同じく、入射光によって誘起された電気双極子の振動から2次波が放出されることによるものである。たとえば原子に光が入射すると、電気双極子の振動が誘起され、それから2次波が放出されるが、多くの原子がまばらに、しかもランダムに分布していれば、これからの2次波を任意の方向で観測した場合に、その強度は各原子からの2次波の強度の和になり、これは一般に0にならない。これが光散乱である。

これに対して原子が密にあり、その密度が一様であるときには、各原子からの2次波は互いに干渉して特定の方向以外では強度が0になる。干渉の結果で消えない2次波は反射波となり、また入射波と干渉して屈折波ができる。このように光散乱は一般に物質が均一でないことに起因するものであり、これには物質表面が一様でなく、そこでも反射光がいろいろな方向に広がる乱反射も含まれるが、ここでは表面の効果は無視して、物質の内部で起こる光散乱について考える。

Fig1_1_2_7

-ホイヘンスの原理

 光波の進行のありさまを作図の上で求めるために 1678 C.ホイヘンスが唱えた原理で、光の波動説の重要な1つの根拠となった。光源から出た光波をまず一次波と考え、その波面の各点がまた光源となって二次波が発生し,次の波面はこれらの二次波の包絡面として得られると仮定して次々に波面を作図することで、光の直進、反射、屈折の現象を説明した。後に G.キルヒホフがこの原理の正しいことを理論的に証明した。

 

Fig1_1_2_8

 

光と色の基礎知識 No.2

1.1 光の性質

1.1.1 光の二重性(­波動性、粒子性)

光が、波動か粒子かという問題は、ニュートン対ホイヘンス以来、古典物理学の問題であった。その後、干渉,回折,屈折等の事実の観測や、Maxwellの古典電磁気学による「光=電磁波」の予言と、Hertzによる電磁波の観測等により、「光=波動」は古典力学では確立されたと思われていた。ちなみに、「光=電磁波」の予言と実証は古典電磁気学の大きな成果といえる。ところが、まもなく、それでは説明できない現象が見つかる。即ち、

光電効果 光(紫外線、X線)を金属に当てると、電子が飛び出す。

であるが、これについてLenardは以下の結果を得た:

個々の電子のエネルギーは光の強さではなく波長による。どんなに弱い光でも波長の短い光ほど高いエネルギーの電子が飛び出す。 

飛び出してくる電子の個数は光の強さによる。

このことは、「光=波動」という考えからは説明しにくい。即ち、光が電磁場の波動であるとすると、電子はその電磁場によって揺り動かされてエネルギーを得ると考えられるが、弱い光ではエネルギーは小さくなるはずである。また、光が弱いときは単位時間に電子の受け取るエネルギーは小さいから、光が当たってから電子が飛び出してくるまでに時間がかかるはずであるが、実際にはそういうことはない。アインシュタインは、この現象に対し、プランクの仮説をさらに押し進めて、光量子仮説を提唱した。 

アインシュタイン(Einsteinの光量子仮説1905年):

振動数$\nu$の光は、 $h\nu$ なるエネルギーを持った粒子(光量子、光子)のように振舞う。光の強さは光子の数に対応する。

即ち、上の光電効果では、光(光子)が電子に衝突して、その電子をたたき出したと考えればよい。光子の量が多ければ(光が強ければ)出てくる電子の数は多くなるし、光子のエネルギーが大きければ(光の振動数が大きければ)出てくる電子のエネルギーは大きくなる。出てくる電子の持つエネルギーは 

Fig1_1_1_2a


E飛び出してきた電子のエネルギー、P:金属中の電子の束縛エネルギー、となるはずである。これは後にミリカン(Millikanによって確かめられた。その後、コンプトン(Comptonの実験1922年)によって、光子が電子と粒子同士の衝突のような弾性衝突をすることが確かめられた。 

 

1.1.2          電磁波

上述したように、電磁波は、空間の電場磁場の変化によって形成された波(波動)のことである。電界と磁界がお互いの電磁誘導によって交互に相手を発生させあうことで、空間そのものが振動する状態が生まれて、この電磁場の周期的な変動が周囲の空間に横波となって伝播していく、エネルギーの放射現象の一種である。そのため、電磁放射とも呼ばれている。

 

Fig1_1_1_1

・ヤング、フレネルとマクスウェル

1800年代初頭、ヤングとオーギュスタン・ジャン・フレネルによる二重スリット実験によってホイヘンスの波動説の証拠が得られた。二重スリット実験によって、格子を通った光は、水の流れが作るものと良く似た干渉縞を作る。光の波長もこの干渉縞のパターンから計算できた。光の波動説はすぐに粒子説に置き換わることはなかったが、粒子説では説明がつかない偏光等の性質も説明できることが判かり、1800年代中頃には光に対する主流な考え方になってきた。

1800年代終わり、ジェームズ・クラーク・マクスウェルは、マクスウェルの方程式により光は電磁波の伝播であることを示した。この方程式は多くの実験によって検証され、ホイヘンスの考えは広く受け入れられていった。

・黒体放射に関するプランクの法則

1901年、マックス・プランクは、黒体放射の光のスペクトルを再生することに成功したと発表した。この問題のために、プランクは放射線を発生する原子のエネルギーは量子化されているという数学的な仮定を置いた。後に、量子化されているのは原子ではなく電磁放射線自身だと提案したのはアインシュタインだった。

 

1.1.3 アインシュタインの光電効果の実験

Fig1_1_1_2

1905年、アインシュタインはそれまで問題となっていた光電効果に対して説明を与えた。彼はこの説明のために、光のエネルギーの量子である光子の存在を仮定した。光電効果では、金属に光を照射することにより、回路に電流が生じる。これは、光が金属から電子を弾き出し、電流が流れたものであると推定された。しかし、暗い青色の光でも電流を発生させるのに対し、強い赤色の光では電流を全く発生させないことが判かった。波動説によると、光の波動の振幅は光の強さに比例するとされ、強い光は必ず大きな電流を発生させるはずである。しかし、奇妙なことに観測の結果はそうならなかった。

アインシュタインは、この難問に対し、電子は離散的な電磁場(光子と呼ばれる量子)からエネルギーを受け取ると説明した。エネルギー量Eは光の周波数fと、次の関係式で結び付けられる。

Fig1_1_1_2b

ここでh6.626 × 10-34ジュールの値を持つプランク定数であり、十分高い周波数の光子のみが電子を弾き出せることが判かる。例えば、青色光の光子は金属から電子を開放するのに十分なエネルギーを持っているのに対し、赤色光の光子は十分なエネルギーを持たない。より高い周波数の光子は、より多くの電子を弾き出せるが、周波数が基準以下になると、いくら強い光でも電子は弾き出せないことが判かる。

アインシュタインは、光電効果の理論によって1921年度のノーベル物理学賞を受賞した。

 

・ド・ブロイの仮説

1924年、ド・ブロイはド・ブロイ波の仮説を発表した。この仮説は光子だけではなく全ての物質が波動性を持つとするもので、波長λと運動量pが次の式で関係付けられた。

Fig1_1_1_2c



これは、光子の運動量pp= E/c、光子の波長λλ= c/fcは真空中の光速度)とした、アインシュタインの式の一般化である。

ド・ブロイの式は3年後に電子について電子回折の観察をする2つの別々の実験によって検証された。アバディーン大学ジョージ・パジェット・トムソンは薄い金属フィルムに電子ビームを通し、予想された干渉パターンを得た。ベル研究所クリントン・デイヴィソンレスター・ジャマーは結晶格子に電子ビームを通して同じ結果を得た。

ド・ブロイはド・ブロイ波の考案によって、1929年にノーベル物理学賞を受賞した。トムソンとディヴィソンも1937年のノーベル物理学賞を分け合った。

・ハイゼンベルクの不確定性原理

ヴェルナー・ハイゼンベルクは、量子力学の公式化を進める中で、次のように表わされる不確定性原理を仮定した。

Fig1_1_1_d



ここで、

Δ標準偏差でxpはそれぞれ粒子の位置と運動量、\hbarはプランク定数を2πで除したものを表わしている。(\hbarh/4π

ハイゼンベルクは、初めのうちは自身の発見を、測定のプロセス上生じる現象だと説明していた。粒子の位置を正確に測定しようとすると運動量が乱され、逆に粒子の運動量を正確に測定しようとすると位置が乱される。しかしこれは、現在では不確定性の一部にすぎず、不確定性は観測のプロセスではなく粒子そのものに存在することが理解されている。

実際に、現在の不確定性原理の説明は、ニールス・ボーアとハイゼンベルクによって考案されたコペンハーゲン解釈に拡張され、粒子の波動性に明確に依存している。ここでは波動の正確な位置を論じることは意味をなさず、粒子の完全に正確な位置も決まらない。さらに位置が比較的よく定まると、波動はパルス状になり、波長は定まらなくなる。

ド・ブロイ自身は、粒子と波動の二重性を説明するためにパイロット波を提案していた。この考え方では、それぞれの粒子の位置と運動量は精度良く定まるが、シュレーディンガーの式に由来する波の性質も示す。パイロット波理論は、複数の粒子に適応すると局在性を示さなくなることから、初めは否定された。しかし、すぐに非局在性は、量子理論の積分により得られることが判かった。また、デヴィッド・ボームによってド・ブロイのモデルが拡張された。ボームの理論では、粒子と波動の二重性は物質自体の性質ではなく、粒子の動きによって生じるものとされた。


光と色の基礎知識 No.1

1.光学概論

人間とは、地球上で生活を営む生命体で、社会的なありかた、関係性、人格を中心にとらえた「ひと」のことである。また、その存在のありかた全体を指すこともある。

地球=太陽系に属する惑星で、様々な物理法則から逃れられない。

生命=生物が生物として自己を維持、増殖、外界と隔離する活動の総称で固有の特性を持つ。

太陽=銀河系(天の川銀河)の恒星の1つである。太陽系の物理的中心であり、太陽系の全質量の99%以上を太陽が占める。典型的な主系列星で、スペクトル型はG2V(黄色)である。推測年齢は約46億年で、主系列星として存在する期間の半分を経過しているものと考えられている。

太陽の光(可視光線)には、無数の色が含まれている。

太陽光=白色光(色が見ない光)で、分光するとスペクトルが得られる(分光スペクトル)可視光線=電磁波の一部で、380nm780nm(JIS)の波長範囲を持つ

Fig1_0_1

全ての分光スペクトルを束ねて逆に辿れば、元の白色光に戻る。

色の違いは、波長によって決定される。

Fig1_0_2

#1 スペクトル

スペクトル(spectrumは、複雑な情報や信号をその成分に分解し、成分ごとの大小に従って配列したもののことである。2次元以上で図示されることが多く、その図自体のことをスペクトルと呼ぶこともある。

様々な領域で用いられる用語で、様々な意味を持つ。現代的な意味のスペクトルは、分光スペクトルか、それから派生した意味のものが多い。

Fig1_0_3

・分光スペクトル

分光学では、電磁波(光)をプリズムや回折格子といった分光器を通すことにより得られる、電磁波の波長ごとの強度の分布を分光スペクトルという。分光スペクトルには、対象物と光との関係によるスペクトルの種類とスペクトルの波形の特長による種類とがある。

・対象物と光との関係によるスペクトルの種類

-光源スペクトル

対象物が発する光のスペクトルをいう。

-反射スペクトル

標準の光源に対し、対象物で反射する光のスペクトルをいう。

-透過スペクトル

標準の光源に対し、対象物を透過する光のスペクトルをいう。

-吸収スペクトル

標準の光源に対し、対象物が吸収する光のスペクトルを吸収スペクトルという。一般的に吸収しやすい光のエネルギー(波長)は、物質によって異なる。直接は計測できず、減算で計算する。

・スペクトルの波形の特長による種類

-連続スペクトル

熱放射による光はあらゆる波長の光を含んでいる。このような光はプリズムで分光すると連続的な虹色の模様になる。そこでこのような光のスペクトルを連続スペクトルという。

-輝線スペクトル

電離あるいは励起された原子から放射される光は原子内の電子のエネルギー準位が量子化されているため、ある特定の波長だけに限られている。このような光はプリズムで分光すると離散的ないくつかの光の線となる。この光の線を輝線といい、輝線からなるスペクトルを輝線スペクトルという。

-吸収線スペクトル

連続スペクトルを放つ光源と観測者との間に原子が存在すると、その原子がある特定の波長の光を吸収して励起されるため、その波長での強度が減少したスペクトルとなる。このような光はプリズムで分光すると連続的な虹色の模様の中にいくつかの暗い線が見られる模様となる。この暗い線を吸収線または暗線という。吸収線を持つスペクトルが吸収線スペクトルである。

光は粒子と波動の二重性を持っていることがヤングの実験によって実証されている。

粒子と波動の二重性(Waveparticle dualityとは、量子論・量子力学における「量子」が、古典的な見方からすると、粒子的な性質と波動的な性質の両方を持つという性質のことである。

光のような物理現象が示す、このような性質への着目は、クリスティアーン・ホイヘンスとアイザック・ニュートンにより光の「本質」についての対立した理論(光の粒子説と光の波動説)が提出された1600年代に遡る。その後19世紀後半以降、アルベルト・アインシュタインやルイ・ド・ブロイらをはじめとする多くの研究によって、光や電子をはじめ、そういった現象を見せる全てのものは、古典的粒子のような性質も古典的波動のような性質も持つ、という「二重性」のある「量子」であると結論付けられた。この現象は、素粒子だけではなく、原子や分子といった複合粒子でも見られる。実際にはマクロサイズの粒子も波動性を持つが、干渉のような波動性に基づく現象を観測するのは、相当する波長の短さのために困難である。

Fig1_0_4

光が波動でもあることから、色も波動で表現できることが一般的に知られている。これは、プリズムによって得られた分光スペクトルによって色分けでき、いわゆる虹の七色を形成している。これを「色の三属性」に当てはめてみると、光のエネルギーの大小で明度を決め、電磁波の高低で彩度を決め、そして周波数の違いで色相を決めている。

 

#2 電磁波

 電磁波(electromagnetic waveは、空間の電場と磁場の変化によって形成される波(波動)である。いわゆる光(赤外線、可視光線、紫外線)や電波は電磁波の一種である。電磁放射(英: electromagnetic radiation)とも呼ばれる。現代科学において電磁波は波と粒子の性質を持つとされ、波長の違いにより様々な呼称や性質を持つ。通信から医療に至るまで数多くの分野で用いられている。

電磁波は波であるので、散乱や屈折、反射、また回折や干渉などの現象を起こし、 波長によって様々な性質を示す。このことは特に観測技術で利用されている。

微視的には、電磁波は光子と呼ばれる量子力学的な粒子であり、物体が何らかの方法でエネルギーを失うと、それが光子として放出される。また、光子を吸収することで物体はエネルギーを得る。電磁波と波長の関係は下図に示した通りである。

なお、可視光線は、JISによって定められており、380nm780nmの範囲となっている。

Fig1_0_5
Fig1_0_6


λ は波長、E は電場の振幅、M は磁場の振幅を表す。横軸は距離であり電磁波の進行方向を指す。縦軸は電場と磁場であり、磁場の軸は奥行き方向に倒して描かれている。図に示されるように、電磁波は横波として伝播する。(上図の説明)

 電場と磁場は真空中にも存在でき、波を伝える媒体となる物質(媒質)が何も存在しない真空中でも電磁波は伝わる。電磁波の電場と磁場の振動方向は互いに垂直に交わり、電磁波の進行方向もまた電磁場の振動方向に直交する。つまり電磁波は横波である。基本的に電磁波は空間中を直進するが、物質が存在する空間では、吸収、屈折、散乱、回折、干渉、反射などの現象が起こる。また、重力場などの空間の歪みによって進行方向が曲がる(歪んだ空間に沿って直進する)ことが観測されている。

Fig1_0_7媒質中を伝播する電磁波の速度は、真空中の光速度を物質の屈折率で割った速度になる。例えば、屈折率が 2.417 のダイヤモンドの中を伝播する可視光の速度は、真空中の光速度の約 41% に低下する。ところで、電磁波が異なる屈折率の物質が接している境界を伝播するとき、その伝播速度が変化することによって屈折が起こる。これを利用したものにレンズがあり、メガネやカメラ、天体望遠鏡などに使われ、電子回路の複写などにも利用されている。 なお屈折率は電磁波の波長によって異なるため、屈折する角度も波長に依存する。これを分散と呼ぶ。虹が七色に見えるのは、太陽光が霧などの微小な水滴を通るとき、分散があるために、波長が長い赤色光と波長の短い紫色光が異なる角度に屈折するためである。

電磁波は、特にその波長によって物体との相互作用が異なる。そこで、波長帯ごとに電磁波は違う呼び方をされることがある。すなわち、波長の長い方から、電波、赤外線、可視光線、紫外線、X線(あるいはガンマ線)などと呼ばれる。我々の目で見えるのは可視光線のみだが、その範囲(波長 0.4 μm 0.7 μm、正確には380nm780nm)は電磁波の中でも極めて狭い。可視光線の中では単色光の場合、赤、黄、緑、青、紫の順に波長が短くなる。そのため、ある基準よりも波長の長い電磁波を「赤い」、波長の短い電磁波を「青い」と表現することがある。 前述の通り、真空中では電磁波の速さは一定であるため、波長の長い電磁波は振動数が小さく、波長の短い電磁波は振動数が大きい。

電磁波には重ね合わせの原理が成り立ち、電磁波は線型性を持つことが知られる。線型性によって、電磁波を平面波、すなわち特定の振動方向と進行方向を持つ波の重ね合わせとして表現することができる。平面波はまた、同じ方向へ進む正弦波を用いて分解することができる。各々の正弦波は、波長、振幅、伝播方向、偏光、位相によって特徴付けられる。

ある電磁波を多くの正弦波の重ね合わせとみなしたとき、波長ごと、あるいは振動数ごとの成分の大きさの分布をスペクトルという。 例えば、理想的な白色光はすべての波長成分が一様に含まれている。逆に単色光は1つの波長成分だけを持つ。



画像の表現と調整方法(2/2)

・色温度とホワイトバランス

-色の生成

・ホワイトバランス

 ホワイトバランス(White Balance, Color Balanceは、カメラにおいて、さまざまな色あいの光源のもとで、望んだ色調の写真を得るための補正のことである。パランスについて純白の被写体をどう写すか、という点に代表させてホワイトバランスと言う。一般に赤みがかったり青みがかったりといった光源が多いため、赤-シアンを主軸とする「色温度」の調整が主となるが、他色の方向での調整も含む。

ICS_色調整_明るさ_コントラスト_線形_0a_new
ICS_色調整_明るさ_コントラスト_線形_0b_new
・厳密に正確な色再現

 フィルムカメラで厳密に撮影する場合は、カラーメーターによって色温度を測定し、その色温度に適した色補正用フィルタを装着したり、特殊なフィルム(タングステンタイプなど)をもちいて撮影している。アーカイブ目的の場合はカラーチャートを一緒に写し込む場合もある。デジタルカメラではカメラに内蔵されている機能で補正が可能なため、色補正の機材の準備や手間がかからない。これは、フィルムカメラによる撮影と比べて大きなメリットである。

-ホワイトバランス機能の種類

ホワイトバランス機能には、だいたい以下のような種類がある。上位機になるほど、手動操作が可能になり機能が多い傾向がある。

オート

撮影対象の光源の状況を、画像エンジンが自動で判断し、適正な色状態を再現する。略称はAWB。撮影場面によっては補正が足りない、あるいは過剰補正となる場合も多々ある。そもそも、万能なオートホワイトバランスというものは存在せず、カメラ毎にメーカーの開発部門の設計思想を反映していると思しき「癖」が存在している。

プリセット(等。ニコン他「プリセット」の語をこの機能ではなく次に説明する機能に使っているメーカーもある)

晴天時や曇天時・電球光・蛍光灯・エレクトロニックフラッシュ光などごとの、あらかじめ用意されている設定から選択する。

プリセットホワイトバランス(ニコン・ペンタックス)・マニュアルホワイトバランス(キヤノン)・プリセットカスタムホワイトバランス(フジフイルム)・ワンタッチホワイトバランス(オリンパス)・カスタムホワイトバランス(ソニー・シグマ)・ホワイトセット(パナソニック)・ワンプッシュホワイトバランス

色基準(純粋な白色もしくはグレー。白紙を使うのが簡単だが、撮影機材では露出確認用の18パーセントグレーが兼用される)となる被写体を撮影者が用意し、それをカメラに測定させ、それを基準とする。

-色温度指定

色温度を直接、あるいはスライドバー操作などでマニュアル入力する。

-ホワイトバランス補正

露出補正と同様、オートあるいは前述の測定によるバランスから、マニュアルで補正・調整するもの。たとえば、夕日の写真を撮る際に正常なホワイトバランスでは赤みがうまく表現できない場合、赤系に補正して赤みを強調させる、といった効果を出すことができる。

ホワイトバランスブラケティング

オートブラケット機構の1つで、オートバランスや設定値から、青系・赤系and/or緑系・赤紫系で前後何段階かシフトさせ同時に(あるいは連続して)撮影する。

以上は撮影時の設定だが、いわゆるRAW画像データが取得可能な場合、いわゆるRAWデータ現像時にも、ホワイトバランス調整が可能である(ないし、調整が必要である)。

 

色調整のポイント

・明るさとコントラスト

 下図は「明るさ」と「コントラスト」の簡単な調整方法である。これら4つの方法はいずれも「トーンカーブ」を操作して色調整を行うものである。

 そもそもトーンカーブとは写真の明るさや明暗の比率(コントラスト)を自由に調節するためのものである。「トーン」とは「調子」と言う意味で、写真では軟調~硬調などのような用語としても使われている。その「調子」を曲線を使って思い通りに調節できるのがトーンカーブである。

ICS_色調整_明るさ_コントラスト_調整_1_new

重要なことは、下図に示すように、明るさは「補正なし」の特性を上下方向に平行移動することである。つまり、光エネルギーを増減さうることで得られる。

一方、コントラストは「補正なし」の特性の傾き(勾配)を中心値の周りに回転させることである。

 明るさの補正やコントラストの補正で、値を変化させることによって、上側に飽和した場合には「白飛び」が発生し、下側に飽和した場合には「黒飛び」が発生するので、そのときの効果(現象)をよく把握して補正を行うことがとても重要なことである。

ICS_色調整_明るさ_コントラスト_調整_2_new
・ガンマ補正

 画像や映像の色の明暗が出力機器で正しく表示されるよう、対象機器のガンマ値に応じた色の補正を行うことをガンマ補正(gamma correctionという。

画素の色データをそのまま入力値として表示装置に像を写すと、装置のガンマ特性に応じて色にひずみが生じ、中間階調の色が本来より過度の暗くなったり明るくなったりする。これを避けるため、機器の持つガンマ値を打ち消すようにデータに補正を加え、表示された状態が本来の色に近づくようにする。

例えば、液晶ディスプレイのガンマ値は約2.2であるため、画像の色データをそのまま入力すると本来より暗く沈んだ表現となってしまう。このとき画像側にガンマ値約0.452.2の逆数)の補正をかけた値を入力すると、本来の表現に近い像が得られる。

実際には、ある機器に合わせたガンマ値が設定された画像などを別の機器で扱う場合に、特性の違いによる明暗の歪みが生じないようガンマ値が1に近づくよう補正することを指すことが多い。

ICS_色調整_明るさ_コントラスト_画質_ガンマ補正_rev
  上図に示すように、実際のガンマ補正は、機器側のガンマ特性に合わせて、自然な色になるよう色情報 ( 色データ ) を調整して帳尻を合わせる仕組みのことである。

 通常、ディスプレイのガンマ特性は中間調が暗くなる傾向にある。

そこで、あらかじめ中間調を明るくしたデータ信号を入力し、「入力:出力」のバランスを「 1 1 」に近づけることで、色情報を正確にやり取りできるように工夫している。

画像の表現と調整方法(1/2)

・色温度とホワイトバランス

 -色温度

ICS_色調整_モニタ個体差_変化理由_2_new色温度(いろおんどcolor temperatureとは、ある光源が発している光の色を定量的な数値で表現する尺度(単位)である。単位には熱力学的温度の K(ケルビン) を用いる。

ここで定義する色温度は、「表現しようとする光の色をある温度(高熱)の黒体から放射される光の色と対応させ、その時の黒体の温度をもって色温度とする」ものである。

物体が理想的な黒体であると想定すると、ある温度において黒体が放射する光の波長の分布を導き出すことができる。定性的にいえば、温度が低い時は暗いオレンジ色であり、温度が高くなるに従って黄色みを帯びた白になり、更に一段と高くなると青みがかった白になる。このように、白という色を黒体の温度で表現することができる。

どのような物質も、高熱を加えると、その温度によってさまざまな波長の光を放射するようになる。その色合いは、物質ごと、温度ごとに微妙に異なる。例えば、鉄の破片など金属をガスの炎で加熱すると光を発するようになる。このとき発せられる色を「呈色」というが、最初の温度が低い段階は、赤色かオレンジ色であり、温度が上昇するごとに次第に白く輝くようになり、やがては青白い光へと変化していく。

どんな物質でも、温度によってさまざまな波長の光を放射するようにななり、その呈色(色合い)の様相は、物質ごと、温度ごとによって微妙に異なってくるということである。

*色温度の単位

理想的な黒体を想定すると、ある温度において黒体が放射する光の波長の分布を導き出すことができる。温度が低い時は暗いオレンジ色であり、温度が高くなるにつれて黄色みを帯びた白になり、さらに高くなると青みがかった白に近くなる。このように、白という色を黒体の温度で表現することができ、この温度を色温度と呼ぶ。

ICS_色調整_モニタ個体差_変化理由_3_new

(このカラーチャートは概略図であり、特に物体を特定して色温度を計算したものではない。理論式については「プランクの法則*1」に従っている。)

朝日や夕日の色温度はおおむね 2000 K であり、普通の太陽光線は 5000 - 6000 K である。澄み切った高原の空の正午の太陽の光はおおよそ 6500 K といわれる。これらは、一般に考えられている白よりかなり黄色っぽい。実際に物体を照らす光には天空光(直射日光以外の光)の青色がかなり色みに影響しており、6500 K よりも高い色温度では「白」く感じられる)。

*1 プランクの法則

ICS_色調整_黒体放射_スペクトル_1

プランクの法則(Planck's lawとは物理学における黒体から輻射(放射)される電磁波の分光放射輝度、もしくはエネルギー密度の波長分布に関する公式をいう。プランクの公式とも呼ばれる。ある温度 T における黒体からの電磁輻射の分光放射輝度を全波長領域において正しく説明することができる。1900年、ドイツの物理学者マックス・プランクによって導かれた。プランクはこの法則の導出を考える中で、輻射場の振動子のエネルギーが、あるエネルギー素量(現在ではエネルギー量子と呼ばれている)ε = hν の整数倍になっていると仮定した。このエネルギーの量子仮説(量子化)はその後の量子力学の幕開けに大きな影響を与えている。

*色の再現性

写真やテレビ、パソコンのモニタ(ディスプレイ)などでは、色温度は色の正確な再現のために重要である。

写真では、スタジオ撮影のライト(写真・映画用タングステンランプ)が 3200 K、太陽光線が 5500 K と想定されており、フィルム(長露光用のタングステンタイプと短露光用のデイライトタイプ)はこの色温度の照明下で最適な色再現ができるよう作られている。

色彩工学では「標準の光D65」が現在の事実上の標準であり、これは色温度 6500 K である。アメリカのカラーテレビ(NTSC)では色温度基準は 6500 K で、日本のテレビ (NTSC-J) の色温度基準は 9300 K であり、かなり青みがかっている。

パソコンのモニタは 9300 K が主流だが、極端な廉価品を除き、6500 KsRGBモード)と5000 K に変更できるため、グラフィックデザインや映像制作などの都合で適切な色温度を選べる。また、鋭く青白い 9300 K の設定から温和な 6500 K 5000 K に変えることで作業者の疲労感(ストレス)が和らぎ、色彩についての正確さが厳しく要求されない場面でもこの機能は有用である。PowerStripf.luxのようなソフトウェアでもパソコンの色温度が調整できる。

部屋の照明に利用されている蛍光灯では、「電球色」「昼白色」「昼光色」等に分類されて色温度が3200K程度、5200K程度、7200K程度に設定されている。

これらの設定は、蛍光灯や白熱灯などの照明光源やカメラやディスプレイなどさまざまな視覚に関する機器に対して、光の色の基準として使用されている。

*色温度と視覚

人間の視覚における色の認識と色温度とは比例関係にない。そのため、人の感じ方により近い表現として、色温度の逆数である逆色温度を使う方法がある。逆色温度はケルビンでの値の逆数の K−1(毎ケルビン)ではなく、それを100万倍したミレッド (M) またはメガ毎ケルビン (MK−1) を使う(呼び名は違うが大きさは同じ単位である)。

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屋内照明として広く利用されている蛍光灯は主に「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」に分類されており、順に約3000 K3500 K4200 K5000 K6500 Kである。これらは、それぞれ 333 MK−1286 MK−1238 MK−1200 MK−1154 MK−1 となり、全て差が 40–50 MK−1 前後になり、色の変化が一定に感じられる。色温度が高い側の間隔が広く、その中間の色温度の蛍光灯があまりないのはこのためである。前記のうち、現在は「電球色」「昼白色」「昼光色」が一般に販売されており、LED照明もこれに準じている。

上図に示すように、人間の眼やカラーフィルムにとって、どのくらい光源の色温度が変わると光色が違って感じられるかということはきわめて重要であるが、その許容範囲(ラチチュード) は、通常の人間の眼で光源によって違うけれど100以下~300K程度が限界であり、照明光源の色温度の変化がラチチュードの限界以内であれば、実用的には問題ないということである。そこで、これを昼光用(デーライトタイプ)の場合にあてはめて色温度のラチチュードを求めてみると、5,500Kのランプの場合は5,208Kから5,814K、また3,200Kのランプの場合は3,096Kから3,303Kとなり、撮影光源の色温度がこの範囲内にあれば、実用上のラチチュードに入ると考えて問題ない。(ただし、厳密にみると若干の違いがあるので注意を要する)

以上のデータを見ても判るように、色温度の高い蛍光灯はかなり広いラチチュード(5,500Kでは±約300K)を持つが、色温度 の低い白熱電球などはきわめて狭い(3,200Kでは±約100Kしかない)ので、色温度を調節するのに、色温度が低い状態ほど厳密に管理する必要があるということが判る。

また、正しい色を創出させるためには、適正な色温度を持った光源を選定する必要がある。

3,500K:白熱灯の下で表示される際の色温度。この環境では、黄色ないし薄緑がかって

      見える。

4,100K:白色蛍光灯の色温度。これはCIE標準光源のF2又はF6の光源を示す。

5,500K:日光を含む昼間の明かりの色温度で、標準光源D50D65の間にある。

      CIEではD55を標準として定義するのに用いられる光源を、日光又は天空光と

呼んでいる。

6,500K:この白色点は、CIEの標準光源D65に近い色温度である。

7,500K:この白色点は、CIEの標準光源D75に近い色温度である。

9,300K:これは、Apple製パソコン用モニタの白色点である。

 

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