アンディマンのテクノロジー(援技力)

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光と色の基礎知識 No.22

2.4.1 構造色

光の波長或いはそれ以下の微細構造による干渉や回折、散乱により物体が色付く現象を構造色と呼んでいる。構造色として有名なものに、モルフォチョウ、カモの羽根、宝石のオパールなどがある。

構造色structural color)は、光の波長あるいはそれ以下の微細構造による発色現象を指す。身近な構造色にはコンパクトディスクやシャボン玉などが挙げられる。コンパクトディスクやシャボンには、それ自身には色がついていないが、その微細な構造によって光が干渉するため、色づいて見える。構造色の特徴として、見る角度に応じて、様々な色彩が見られることが挙げられる。色素や顔料による発色と異なり、紫外線などにより脱色することがなく、繊維や自動車の塗装など工業的応用研究が進んでいる。

Fig1_2_4_2



・薄膜による干渉

光の波長程度の薄い膜(薄膜)では、膜の上面で反射する光と下面で反射する光が干渉するため、膜の厚さに対応した波長光が色づいて見える。シャボン玉や油膜に色が付いて見えるのは、このような薄膜干渉(はくまくかんしょう)に起因している。シャボンや油膜の厚さに応じて、様々に色づいて見える。

・多層膜による干渉

薄い膜を何層も重ねたような構造による光の干渉である。膜厚の組み合わせ、各層の枚数の組み合わせによって干渉の仕方が変化し、様々な色彩が現れる。

アワビ等の貝殻の内側は、真珠母と呼ばれる炭酸カルシウムの薄膜が層構造を形成しており、11つの層から反射される光が干渉することで、様々な色合いが見られる。

タマムシ、ハナムグリといった甲虫類に見られる金属光沢に富んだ色彩は、キチン質の層構造によるものである。オオゴマダラといったチョウの蛹も同様に金属光沢のある構造色が見られる。

サンマやイワシといった魚類の体色が銀色なのは、体表にある虹色色素胞中でグアニンの板状結晶(反射小板)と細胞質の積層構造による干渉の効果である。可視光線がほぼ完全に反射されることで、体色が銀色に見える。ルリスズメダイやネオンテトラでは、反射小板と細胞質の膜厚比が大きく異なるため、特定の波長領域の光のみが反射され、鮮やかな色彩がみられる。

・微細な溝・突起などによる干渉

コンパクトディスクやDVDではアルミ薄膜表面に刻まれた凹凸によってデジタル情報を記録している。この凹凸が回折格子の様に光を干渉するため、記録面側は虹色に見える。

『生きた宝石』とも呼ばれるモルフォチョウの翅(はね)は、鮮やかな青色をしているが、これは鱗粉表面に刻まれた格子状の構造による構造色である。この構造は青色の光の波長のちょうど半分にあたる200nm間隔に並んでおり、干渉により青色の光のみが反射される。2003年、松井真二(兵庫県立大学高度産業科学技術研究所 教授)らは集束イオンビーム装置を用いて、この構造をシリコン基板上に作り出すことで、モルフォチョウの青色を再現することに成功している。

クジャクやカワセミといった鳥類では、羽毛にある微細な構造によって、鮮やか色彩が現れる。

・微粒子などによる散乱

宝石のオパールは、規則的に並んだケイ酸塩の微粒子によって光が干渉し、見る角度によって様々な色彩がみられる。

牛乳が白いのは、脂肪のコロイドが光を散乱するためである。青い空、夕焼けなどの色は、太陽光が大気中の窒素や酸素分子によって散乱されるためである。このような、光の波長より小さな粒子による散乱現象はレイリー散乱と呼ばれる。光の波長と同程度の粒子(散乱体)による光の散乱はミー散乱と呼ばれる。雲が白く見えるのはミー散乱によるものである。

 

光と色の基礎知識 No.21

2.4 色(光源色と物体色)

Fig1_2_4_1

とは、視覚を通して得られる感覚の一種で、「形状」や「距離」の様に空間の物理的な性質ではない。色の感覚はある広がりを持った領域(視界内の物の表面など)が発する電磁放射のスペクトルを反映していることが多い。つまり、目に入る光(可視光線)の波長と結び付いている。ある者が視覚を通して受け取る光の波長が変化すると、それに伴って変化する視覚経験の内容が色である、ということができる(ただし、色覚が弱い人、持たない人もいるため、例外がある)。生理学的にいうと、網膜内にある3種類の錐体細胞が吸収する可視光線の割合が色の感覚を生む。これらの錐体細胞は、それぞれ黄~橙、緑、青(藍)の波長に最も反応するタンパク質(オプシンタンパク質)を含んでいる。これが3原色という感覚を生む原因である。

色感覚についてはまだ判かっていない事柄が多い。例えば、ある種の魚類ではヒトよりも1つ多い4種類の錐体細胞を持つ。従って、3原色ではなく4原色の「色」を知覚していると考えられている。

物理的な対応物がないのに色を知覚する例として、ベンハムの独楽という錯視現象がある。ベンハムの独楽とは独楽の上面を白と黒で塗り分けただけであるのに、回転させると色知覚が生まれるという実験を指す。

「色気を出す」、「色をつける(おまけする)」、「焦りの色」というように、魅力や状態を表す単語でもある。

・物理学上の色と色覚

物理学的には、の変化は、物体と物体を照らす光との「相性」により説明される。物体に入射する何らかの波長の光が観測者の方向へ反射(正反射・乱反射を含む)する際に、その物体の物性に応じた特定の波長のみが反射されそれ以外は吸収される(=波長に応じ反射率が異なる)という現象が起こる。観測者には反射された光だけが届くため、その波長に基づいて判断されるが、「その物体の」として認識される(つまり、光そのものに色という性質はなく、光を受けた器官が色を作っている)。

また、そのように観測者に届く光とそれに対する認識とに左右されるため、一般的なは、人間の視覚、即ち可視光線の範囲内を基準として表現されている。逆にいえば、可視光線の範囲を超えた波長の光について観測すると、可視光域で見た場合に比べて全く別の「色」や模様になっている物体もある。例えば、蝶の羽根の模様は紫外線領域では人の肉眼で見る場合とはまた異なる鮮やかな模様を描き出すし、真っ黒に焼け焦げた新聞紙などは赤外線領域のある波長では燃えた紙とインクが燃えた部分とで反射率が異なるため書かれていた元の内容を読み出すことができる。

・錐体と三原色

人間の可視領域において緑6、赤3、青1程度の強度で光が観測される場合、その色は「白」と表現される。一方、全帯域において殆ど観測されない場合、その色は「黒」と表現される。なお、光を完全に反射もしくは吸収する物質は存在しないため、完全に黒い物質はないが、光を完全に遮断することで完全な闇を作ることはできる。

人間の視覚が色を認識する際には、その光の分光分布を直接計っているのではなく、眼球の錐体細胞に含まれる3つの色素が光を吸収する割合を計っているに過ぎない。そのため、独立した複数の色を合成することで人間に別の色を感じさせることができる。例えば、黄色の波長の光は、赤の波長の光と緑の波長の光の組み合わせとほぼ同じ刺激を与えるから、黄色は赤と緑の組み合わせの光として表現できる。そしてこの場合、黄色の波長の光だけが眼球に入っている場合と、赤の光と緑の光が組み合わせで眼球に入っている場合とでは人間には区別することができない(ほぼ同じ、とは単色光としての純粋な黄色はRGBでは表現することができないことを指す。また、色弱とは、3種の錐体細胞が感得する光の波長が、健常者と異なっている状態である)。

 

光と色の基礎知識 No.20

2.3.3 知覚

知覚とは、動物が外界からの刺激を感じ取り、意味づけすることである。 視覚、聴覚、嗅覚、味覚、体性感覚、平衡感覚などの感覚情報をもとに、「熱い」「重い」「固い」などという自覚的な体験として再構成する処理であるといえる。

・大脳におる知覚のメカニズム

Fig1_2_3_18体性感覚情報はまず刺激対側の中心後回(一次感覚野)に達し、その後両側の頭頂弁蓋部(二次感覚野)に伝えられる。

聴覚情報は主に刺激対側の側頭葉上面の一次聴覚野、その後その周囲の二次聴覚野に伝達される。

聴覚、体性感覚とも一次から二次皮質に進むに従い、高次な処理が行われるようである。

視覚情報は後頭葉の一次視覚野にまず達し、順次前方に向かって情報が伝達され様々な処理がなされていく。

視覚、体性感覚、聴覚皮質に囲まれた、あるいは重複する場所に位置する頭頂葉は、それらの情報を統合する(「異種感覚情報の統合」)働きを有している。例えば「机の上にあるコップに手を伸ばして掴む」という一見単純な動作にも、表在感覚や深部覚を含む体性感覚、視覚、さらに運動出力情報を複雑な統合が必要であるが、頭頂葉の障害でこのような動作がスムーズにできなくなる(このような症状は失行と呼ばれている)。

・知覚における運動の役割

Fig1_2_3_19
 ただし、知覚を実現しているのは感覚情報だけではない。例えば、「重い」という知覚を感じ取るためには皮膚からの強い圧覚、筋紡錘や関節からの深部覚フィードバックとともに、それに拮抗して筋力を収縮させているという運動出力の情報も必要となっている。

このように能動的に運動することも情報として使用することによる物体の認識は「アクティブ・タッチ」とよばれている。

・知覚から認知へ

知覚をもとにして、さらに「これは犬である」などと解釈する処理などが認知である。

 

光と色の基礎知識 No.19

2.3.2 感覚

生理学的には、知覚の方法である。感覚とその作用、分類、理論は様々な分野で重なって研究されている。例えば、神経科学、認知科学、認知心理学、哲学がある。

また、一般的な用法として、もっと高次な認知の仕方(文化的・社会的な物事の感じ方)のことも「感覚」ということがある(例:「日本人の感覚では・・・」「新感覚」)。

・定義と歴史

現在広く認められている感覚の定義は、「特定の物理的エネルギーに応答し脳内におけるシグナルが受容・解釈される決められた部分に一致する、感覚細胞の型またはそのグループを含む1つのシステム」とされている。論争が起こるところは、多様な細胞の正確な分類と脳に於ける領域のそれらのマッピング(位置づけ)である。感覚を初めて分類したのはアリストテレスである。(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)の5分類で、ここから五感と呼ばれる。現在では少なくとも7つ以上の感覚があることが広く認められている。

現代の生理学では感知される情報の内容、感知機序、伝達様式などからより多くの種類に分類されており、その分類自体も確定してはいない。かゆみをはじめとして、仕組みが未解明の感覚も多く残されているからである。

・ヒトの感覚分類

5分類

ヒトの感覚は5分類では次のようになる。

体性感覚:表在感覚(皮膚感覚)と深部感覚。

表在感覚には触覚(触れた感じ)、温覚(暖かさ)、冷覚(冷たさ)、痛覚(痛さ)がある。

深部感覚には運動覚(関節の角度など)、圧覚(押さえられた感じ)、深部痛、振動覚がある。

内臓感覚:内臓に分布した神経で、内臓の状態(動き、炎症の有無など)を神経活動の情報として感知し、脳で処理する仕組み。

臓器感覚(吐き気など)

内臓痛

特殊感覚:視覚(目で見る)、聴覚(耳で聞く)、味覚、嗅覚、前庭感覚(平衡感覚)がある。

視覚:光を網膜の細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

聴覚:音波を内耳の有毛細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

味覚:食べ物に含まれる化学物質(水溶性物質)の情報を、舌、咽頭、喉頭蓋などの味覚細胞で神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

嗅覚:鼻腔の奥にある嗅細胞で、空気中の化学物質(揮発性物質)情報を神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

前庭感覚:内耳の半規管などで、頭部の傾き、動き(加速度)などを神経活動情報に変換し、脳で処理する仕組み。

他の感覚

平衡覚(前庭感覚)平衡(身体の傾き、全身の加速度運動)に対する知覚であり、内耳の流体を含む腔に関係する。方向や位置確認も含めるかどうか意見の相異があるが、以前の奥行感覚と同様に"方向"は次感覚的・認知的な意識だと一般的に考えられている。

固有感覚:(運動感覚)体に対する意識(筋、腱内の受容器による筋、腱、間接部の緊張の変化)の知覚である。ヒトが大きく依存する感覚であり、しかしながら頻繁に意識されない感覚である。説明するより更に簡潔に明示すると、固有感覚とは、体の様々な部位の位置する場所を感じているという"無意識"である。これは目を閉じて腕を周りに振ることで演示することができる。固有感覚機能が正確だと思い込んで、どの他の感覚にも感知されてないにも関らず、直ぐに実際にある手の位置の意識が無くなるだろう。

ヒト以外の感覚

-ヒト類似感覚

他の生物も上記で挙げたような周りの世界を感じとる受容体を持つが、そのメカニズムと能力は幅広い。

嗅覚:ヒト以外の種では、イヌが鋭い嗅覚を持つがその仕組みは同様である。昆虫は嗅覚受容体をその触角に持つ。

視覚:マムシや一部のボアは、赤外線を感知する器官を持つ。つまり、これらの蛇はえさの体熱を感じることが出来る。

-電気感覚:サメ・エイ・ナマズなどが持っている。デンキウナギは透明度の低い水に棲むため視覚が活用できないため、電気を発信しレーダーのように周囲の状況を把握する。

-磁気感覚:ハトなどの帰巣本能に役立っている。

・被視感度

Fig1_2_3_13比視感度(Luminosity function, or Photopic luminous efficiency function)とは、ヒトの目が光の波長ごとの明るさを感じる強さを数値で表したものである。

明るい場所に順応したときに、人間の目が最大感度となる波長での感じる強さを "1" (つまり、100%のこと)として、他の波長の明るさを感じる度合いをその比となるよう、1以下の数で表したものである。

明るい所では555nm(ナノメートル)付近の光を最も強く感じ、暗いところでは507nm付近の光を最も強く感じるとされる。標準比視感度とは、国際照明委員会(CIE)と国際度量衡総会では、人間の比視感度の平均から世界標準となる「標準比視感度」が規定された。標準比視感度には「明所視標準比視感度」と「暗所視標準比視感度」がある。特に断らなFig1_2_3_14い場合は、視感度といえば明るい環境での人間の目の感じ方である明所比視感度のことを指す。

W.G.WrightJ.Guildの等色実験に基づき、CIEで定められた等エネルギースペクトルに対する目の感度をスペクトル刺激値といい、この感度曲線を等色関数といいます。

「私たちが色を感じるプロセスと測色計の違いについて。」では、これを「人間の目に対応する分光応答度」(等色関数)と説明しています。等色関数は2°視野と10°視野の場合がCIEで採用されています。

・明所視と暗所視

明所視とは、光量が充分にある状況での、目の視覚のこと。ヒトや多くの動物では、明所視では色覚が可能であり、これは錐体細胞のはたらきによる。

人間の目には3種類の錐体細胞があり、これらはそれぞれえ異なる波長の光に感度を持つ。錐体細胞の色素は吸光波長のピークを420 nm()534 nm(青緑)564 nm(黄緑)にもつ。錐体細胞の感度は互いに重なり合い、可視光スペクトルを形成している。最大視感度は555 nm()での683 lm/Wである。 人間の目は、暗所では暗所視を、中間の明るさでは薄明視を用いている。

Fig1_2_3_15暗所視とは、光量が小さい状況での、目の単色の視覚のこと。錐体細胞は光量が小さい場合には機能しないことから、暗所での視覚は桿体細胞のみによって生じる。そのため、暗所では色覚は生じない。暗所視は、輝度が10-2から 10-6 cd/m2のあいだで生じる。

薄明視は、中間の明るさで生じる(輝度が10-2 から 1 cd/m2)もので、暗所視と明所視が組み合わさったものである。しかし薄明視では、視力や色弁別の能力は必ずしも正確ではない。

輝度が1 から 106 cd/m2程度の通常の光量下では、錐体細胞による視覚がメインであり、これは明所視とよばれる。この場合は、視力や色弁別は良好である。

科学的文献では、暗所照度(scotopic lux)という語が使われることもある。これは、明所照度(photopic lux)に対応するもので、照度を計算する際の視感度関数に、明所視感度関数ではなく暗所視感度関数を用いたものである。

・プルキニェ現象(ブルーシフト、青偏移)

Fig1_2_3_16プルキニェ現象Purkinje Phenomenonもしくはプルキニェ効果(Purkinje effectは、19世紀のチェコの生理学者ヤン・エヴァンゲリスタ・プルキニェが解明したことから名付けられた視感度がずれる現象をいう。「プルキニエ」や「プルキンエ」と表記されることもある。

色は網膜の視細胞で感知しているが、明るい場所では赤が鮮やかに遠くまで見え、青は黒ずんで見える。一方、暗い場所では青が鮮やかに遠くまで見えるのに対して、赤は黒ずんで見える。これは、桿体と呼ばれる視細胞の働きによるもので、人の目は暗くなるほど青い色に敏感になる。

防犯のために活用する動きも見られる。奈良県警はイギリスのグラスゴーの防犯対策に倣い(ただし、グラスゴーでは当初景観改善のために導入された)、奈良市で青色街路灯を導入し一定の効果をあげたため、奈良市以外でも天理市、生駒市など県北部の都市を中心に導入を進めている。現在は兵庫県においても多数採用されている。

・分光感度特性

Fig1_2_3_17 視覚系の感度は、光の波長によって異なる人間の視覚系の視感度は、明所視では555 nmでピーク値をとる。このときの感度を基準として、他の波長の光に対する感度を求めると、可視光全体に対する比視感度が求まる。暗所視では507 nmの光に対して最も感度がよい。暗所では感度曲線が短波長側にシフトしている。この事実をプルキニエシフトとよぶ。放射輝度と視感度をかけ合わせた値を輝度とよぶ。

明所視では色が知覚される。色覚異常者の視感度曲線等色関数から、分光感度の異なる3種類の光受容器(錐体)が存在することが示唆される(三色説)。健常者の等色関数および2色型色覚異常者の混同色中心から、錐体分光感度を求めることができる。暗所視における光受容器(桿体)は1種類であるため色覚は存在しない。桿体分光感度は暗所視視感度に等しい。

なお、分光感度特性は一般的に使用される「測定器」でも固有に持っているが、人間の目の感度と相関性があり、ほぼ同一の特性を持っていると考えて良い。

 

光と色の基礎知識 No.18

2.3.1 目の仕組み

・人間の目

Fig1_2_3_7は受容器の一つで、光を感じ取る。構造がカメラに似ていることから「カメラ眼」とも呼ばれている。顔面に左右一対あり、立体視による遠近感を認識できる。

-構造



球体になっており、外側は角膜、強膜で構成され、眼球の球体を維持する。

-光の受容

像はまず角膜を通り、瞳孔を経て眼球内部に入る。外部の光の量によって虹彩が収縮し、瞳孔の大きさを調節する。

網膜上に像を合わせるために水晶体により像を屈折する。水晶体はチン小帯・毛様体の働きによって厚さが調節され、カメラと同じように広い距離の焦点を合わせることができる。

屈折した像は硝子体を通して網膜に映りこむ。

Fig1_2_3_8
上図は、遠くからの光左図と近くからの光右図)が網膜で焦点が合う様子を示している。近い場合はレンズが厚くなっている。

水晶体がレンズ状であるため水晶体が屈折の主な役割を果たしていると思われがちであるが、実際には屈折は空気と角膜との屈折率の差によってほとんど行われており、水晶体は焦点の調整のみに関わっているといってよい。そのため、角膜が傷つくと失明の危険がある。網膜には桿体細胞、錐体細胞の2種類の視細胞があり、この細胞を通じて視神経経由で視覚情報が大脳に送られ、視覚となる。桿体細胞は、暗所で機能する。光に対する感度が高い。錐体細胞は、明所で機能する。光に対する感度は低いが色彩の識別が可能である。

外部には、瞼、まつ毛がある。瞼は外部からの異物や強力な光をさえぎるほか、まばたきすることにより眼球表面結膜へ涙を送る。

・瞳の色

個体により瞳の色が異なるのはメラニン色素の量の違いによる。色素量によって青<緑<茶<黒のように見える。色素異常によって色素量が極端に少ない場合、血液の色が透けて見え、赤い瞳となる。白ウサギの目が赤いのはこのためである。

視覚神経科学

眼は、感覚器のひとつであり、角膜などの光学系と神経系の一部である網膜から構成される。光学系は角膜、レンズ(水晶体、瞳孔などから構成され、光量の調整や焦点の調節などの機能を持つ。網膜の光受容細胞では光の強度と波長の分布が神経信号に符号化される。網膜において符号化された情報は、神経細胞の間を神経線維の興奮の伝導の形で伝えられる。以降の一連の神経線維の経路を視覚路と呼んでいる。反対色などの視覚特性は網膜内での処理に由来すると考えられている。網膜からは視神経が発しており、外側膝状体(LGN)に投射している。外側膝状体からは視覚野への投射がある。視神経は上丘や視床の一部にも投射するが、こうした情報伝導路は眼球運動や概日周期などの非画像的な情報処理に関与するものであり、視覚情報処理の主たる経路は外側膝状体から第一次視覚野に至る経路であると考えられている。第一次視覚野からは、それ以降の高次視覚野に対して投射が存在する。第一次視覚野以降の伝導路は、物体の形状や色を処理する"What"経路と、物体の空間における位置や運動を処理する"Where"経路に二分される。"What"経路は後頭葉から側頭葉に向かい、腹側系と呼ばれる。"Where"経路は後頭葉から頭頂葉に向かい、背側系と呼ばれる。こうして処理された情報は、前頭葉などでさらに高次な処理を受けている可能性がある。

・網膜における情報処理

光学系を通過した光は、網膜において網膜像を結ぶ。網膜像は網膜上の光受容細胞によってサンプリングされ、神経信号として符号化される。光受容細胞には分光感度特性の異なる桿体および錐体がある。光受容細胞はヒトの場合1億個以上存在する。錐体は網膜の中心部で密に分布し、桿体は中心部に少なく周辺部に多く分布している。光受容細胞は光入力に対して、電気的な信号によって応答する。光受容細胞の応答は、網膜内の神経節細胞に伝わる。神経節細胞の軸索は片眼で100万本程度あり、束になって眼球を出て、左右の視神経を形成し、さらに間脳の腹側から脳内に進み、間脳の視床の一部である外側膝状体(または外側膝状核)と呼ばれる神経核に達する。そこで、外側膝状体の神経細胞とシナプスを形成する。

・皮質下における処理

-皮質における処理

外側膝状体の神経細胞の軸索は大脳新皮質の後頭葉の一次視覚野に達する。

-視覚における困難

不良設定問題  結合問題  窓問題  ホムンクルス  おばあさん細胞  クオリア

・網膜の構造

Fig1_2_3_9 人の目は3層の膜からなっており、一番外側には網膜という組織がある。網膜に投影された画像は電気信号に変換されて脳に送られ、分析されて「見る」ことができる。

網膜の表面には、「錐体」と「桿体」という光を受け取る2種類の視細胞がある。

 錐体は網膜の中心部分に多く分布しており、明るい所でしか働かず、色の区別ができる。また、解像度が高く(視力が良い)ものをはっきりと見ることができる。

 一方、網膜の周辺に多く分布する「桿体」は色の区別はできないが、非常に高感度なので暗い所で働き、動きの検出に優れている。しかし、解像度は低く(視力が悪い)ぼんやりとしか見えません。また、この二つの種類の視細胞の数は大きく異なり、錐体が約650万個に対して桿体は12000万個と圧倒的に多いのです(上図参照)。

・視覚の作用

Fig1_2_3_10 主に桿体の働きによってものを見ることを「周辺視」、錐体の働きでものを見ることを「中心視」といい、この2つは役割分担を明確にして共同作業している。

周辺視でわずかに動くものや小さな変化を検出し、物体として認識されると、目や体を動かして、中心視で色や形を検出して、それが「何であるか」を詳しく知ることができる。

錐体には、R錐体、G錐体、B錐体の3種の視細胞があり、入力された映像に合わせてRGBの色をそれぞれ検知する。錐体細胞の占める比率は、R:G:B40:20:1になっているので赤感度が非常に高く、青感度は最も少なくなっている。この事実は色を識別するのに赤の情報を多く集めて判断していることが分かる。

Fig1_2_3_11・網膜細胞と視物資の視覚範囲

 網膜は、組織学的に10層に分けることができる。外側から順に、網膜色素上皮層、視細胞層、外境界膜、外顆粒層、外網状層、内顆粒層、内網状層、神経節細胞層、神経繊維(線維)層、内境界膜である。外界から網膜に照射された光は、内境界膜側から網膜層を透過し、視細胞層にある錐体・桿体視細胞に到達する。

網膜には大別すると、視細胞(錐体、桿体)、双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、神経節細胞の5つの神経細胞が存在する。光は視細胞で電気信号に変換され、その信号(情報)は化学シナプスを介して双極細胞と水平細胞に伝達される。双極細胞はアマクリン細胞や神経節細胞とシナプス結合しており、神経節細胞の軸索が視神経として大脳の視覚中枢に連絡している。 網膜外網状層で視細胞と双極細胞、水平細胞がシナプス結合しており、内網状層で双極細胞とアマクリン細胞、神経節細胞がシナプス形成をしている。外顆粒層には視細胞、内顆粒層には双極細胞、水平細胞、アマクリン細胞、神経節細胞層には神経節細胞の細胞体が位置する。

 暗所で微弱光を感知するのに特化した桿体視細胞に対して錐体視細胞は明所で機能する。通常動物は複数の錐体視細胞を持っており、それぞFig1_2_3_12れ波長感度の異なる錐体視物質を持つことによって色覚を可能にしている。例えば人間は赤色光、緑色光、青色光を受容する3種類の錐体視物質を持っていて3色光色覚(Trichromacy)を実現している。このように錐体視物質は波長感度でグループ分けすることができるが、このグループは分子系統的なグループ分けとおよそ一致していて、錐体視物質は波長感度によって多様化したことが知られている。桿体視物質は緑色光を受容する錐体視物質から分岐し、暗所での光受容に特化した。明所で働く錐体視細胞の応答は桿体視細胞に比べて応答が速いが感度が低いのが特徴である。このように視細胞の特徴的な応答特性は光受容を担う視物質やシグナル分子の分子特性の違いに起因すると考えられている。

人間の視物資はRGB3種あり(三色型色覚)、右図に示すような視覚範囲を持っている。また、例えば鳥類は人間より多く視物資を4種類(RGBV)持っており(四色型色覚)、紫外線領域まで見えることになる。

 



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