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光と色の基礎知識 No.13

2.2 色混合

 色の混合には、加法混色と源法混色の2つがある。

光の三原色は、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)で、赤(Red)と緑(Green)の光が混ざると黄(Yellow)、緑(Green)と青(Blue)が混ざると空色(Cyan)、青(Blue)と赤(Red)が混ざると赤紫(Magenta)、赤緑青すべてが混ざると白(White)になる。光は原色の色を混ぜるほど色が明くる区なり、三原色を加えると白くなる。下図上半分は、光の三原色を混ぜたときの様子を示している。(Blue)で、赤(Red)と緑(Green)の光が混ざると黄(Yellow)、緑(Green)と青(Blue)が混ざると空色(Cyan)、青(Blue)と赤(Red)が混ざると赤紫(Magenta)、赤緑青すべてが混ざると白(White)になる。光は原色の色を混ぜるほど色が明くる区なり、三原色を加えると白くなる。下図上半分は、光の三原色を混ぜたときの様子を示している。

Fig1_2_2_1

 絵の具の三原色は、黄色(Yellow)と赤紫色(Magenta)と空色(Cyan)である。赤色(Red)と黄色(Yellow)と青色(Blue)を絵の具の三原色と説明しているものがあるが、それは間違いである。なぜなら光の三原色の成り立ちと、色材(絵の具)の色とは何かを考えてみれば明らかである。

 白色光が色材(絵の具)に当たり、その内の一部が吸収されて、残りの光が反射または透過される。色材(絵の具)の色とは、その反射または透過された光の色のことである。だから

空色(Cyan)の絵の具とは赤色の光を吸収して青色と緑色の光を反射または透過する色材のこと。

赤紫色(Magenta)の絵の具とは緑色の光を吸収して青色と赤色の光を反射または透過する色材のこと。

黄色(Yellow)の絵の具とは青色の光を吸収して赤色と緑色の光を反射または透過する色材のこと。

 空色(Cyan)、赤紫色(Magenta)、黄色(Yellow)の色材が反射した光には2つの原色を感じさせる波長の光が含まれている。だから、それらの色材(絵の具)2つを混ぜ合わせたても、混合絵の具から反射してくる光がまだ残る。

 たとえば、空色(Cyan)の絵の具と赤紫色(Magenta)の絵の具を混ぜ合わせると赤色と緑色の光が吸収されてしまい青色のみが反射されてくる。

 同様に、赤紫色(Magenta)と黄(Yellow)の絵の具を混ぜ合わせると緑色と青色の光が吸収されてしまい赤色のみが反射されてくる。

 さらに、黄(Yellow)の絵の具と空色(Cyan)の絵の具を混ぜ合わせると青色と赤色の光が吸収されてしまい緑色のみが反射されてくる。

 当然のことであるが空色(Cyan)、赤紫色(Magenta)、黄色(Yellow)の絵の具をすべて混ぜ合わせると赤色、緑色、青色の光がすべて吸収されてしまい光のエネルギーが減少して反射してくる光がなくなるために黒色になる。

 加法混色も減法混色も(光か色材の)三原色を混ぜ合わせて色を生成することは上述の通りであるが、もう1つの表現方法として、加法混色の場合は和集合で、減法混色の場合は積集合で置き換えられる。これはブール代数という数学を適用された例である。

 

2.2.1 加法混色

色を表現する媒体のうち、様々な色の発光体を組み合わせて観る者の方へ放つことで色刺激を起こすものは、加法混合を使用して色を作っている。この場合、典型的に使われる原色は赤 (Red) ・緑 (Green) ・青 (Blue) の三色である。

白色の光を合成する為の波長を「光の三原色」や「色光の三原色」と言う。

これは光を混ぜたときに適用される。 絵の具を混ぜる場合とは状況が異なるので注意が必要である。絵の具の代わりに、ここではカラーテレビのブラウン管を例にとって考えてみる。ブラウン管には赤・緑・青の3つの小さな点が1つのかたまりとして無数に並んでいる。この赤・緑・青の3色の明滅具合によって、いろいろな色が再現される。これらの色は何かに反射したものではなく、それ自体発光している「色光」である。このように色光どうしが混ざり合う場合を加法混色という。

 ブラウン管に代表されるような「赤・緑・青」の3色が加法混色における三原色(色光の三原色)になる。 三原色はとても重要な色である。 この3色を混ぜ合わせることでいかなる色もつくり出すことができる。 逆に、三原色自体は、混色によってつくり出すことが不可能という性質を持っている。 なお、三原色は正確には「黄みの赤」「緑」「紫みの青」である。 それぞれの英語「Red」「Green」「Blue」の頭文字をとって、RGBとも呼ばれている。実際に混色すると以下のようになる。

Fig1_2_2_2

なわち、すべての波長域の光が合わさると白になることは、周知の通りである。三原色のうち2色のみの組み合わせだと、それぞれ上のような黄・緑みの青(シアン)・赤紫(マゼンタ)になる。
[

Fig1_2_2_3


加法混色の例としては、上述したカラーテレビのほかにLED(発光ダイオード)を利用した表示装置などが挙げられる。

 よく駅や空港でLEDの案内板を見かけるものであるが、一般的に赤・オレンジ・緑の3色が使われている。しかし、これはブラウン管のように、赤・オレンジ・緑色それぞれに光るLEDが並んでいるのではなく、1個で赤色にも緑色にも光る2色発光のLEDが使用されている。このLEDは、電流の流れ方によって赤色発光、緑色発光と色を変えることができ、さらに赤色・緑色が同時に光るように電流を流すと加法混色によってオレンジ(黄)色の光がつくり出されるのである。このように加法混色の原理を応用することで、少ない基本色から多くの色をつくり出すことができる。

 さらに近年、難しいとされてきた青色LEDの開発に成功した話を知っているだろうか。 これは大変画期的な話である。 なぜなら、従来からあった赤色・緑色とともにLEDとして色光の三原色すべてが揃ったことになり、LEDでフルカラーを表現できるようになった。 実際に、街中のオーロラビジョンはもとより、駅の出発案内なども多彩な色表現ができるものをよく見かけるようになった。このように、三原色というのは色の1つに過ぎないが、これがあるとないとでは、大違いのとても重要な色なのである。

 

2.2.2 減法混色

 はじめに減法混色の三原色を挙げておく。 加法混色の三原色は赤・緑・青(RGB)であったが、減法混色における三原色は「緑みの青(シアン)」「赤紫(マゼンタ)」「黄」である。では、絵の具を例にして考えてみると、たとえば、キャンバスを彩る黄色い絵の具の色は、光源(太陽や蛍光灯など)の光が絵の具に当たって反射したものを黄色と感じているに過ぎない。黄色は中波長と長波長の光が混色されてできる色である。つまり、黄色の絵の具は短波長(青に見える部分)の光を吸収してしまう性質を持っている。
Fig1_2_2_4a



 同様に、シアン色の絵の具は長波長の光、マゼンタ色の絵の具は中波長の光をそれぞれ吸収する。 いわば特定の波長の光を吸収するフィルタのような役割を持っているのである。

Fig1_2_2_4b

  

 原理的にみて、絵の具を混ぜるということは光を吸収するフィルタを重ね合わせるわけであるから、吸収される光の波長領域が増えることになる。黄とマゼンタを混ぜると短波長と中波長の光が吸収されるので、長波長の光しか反射されない。その結果として、赤色に見えるのである。
Fig1_2_2_4c






 三原色すべてを混ぜるとすべての波長領域の光が吸収されるわけであるから、原理的には黒になるはずである。

 これを1つにまとめると下図のようになる。この図をみると、減法混色は加法混色と裏表の関係にあることが判かるであろう。減法混色は、いわば光を吸収するフィルタの重ね合わせなので、色が混ざるほど明るさが低下してしまう。すなわち、中央の黒色が一番暗い(原理的には光のない)状態である。このように、色を混ぜれば混ぜるほど明るさがマイナスされていく(減法)ので、これを減法混色という。

Fig1_2_2_5
 加法混色の例としては、上述した絵の具のほかにカラー印刷のインクなどが挙げられる。  ところで、加法混色では三原色を「RGB」と呼んでいたが、印刷の世界では、これに対して減法混色の三原色シアン(Cyan)、マゼンタ(Magenta)、イエロー(Yellow)の3色にブラック(blacK)を加えて「CMYK」と呼んでいる。

 CMYKとは、Cyan(シアン)Magenta(マゼンタ)Yellow(イエロー)の色の3原色にBlack(ブラック)を加えた構成要素のことでプロセスカラーとも呼ばれている。CMYを同量ずつ重ねていくと明るさが下がり、やがて黒になるのが「減色混合法」という。しかし、現実には黒ではなくにごった茶色になるため、CMYとは別にK(墨版)を用意。4色刷りのカラー印刷は、通常このCMYのインキで刷られている。

RGBとは、モニタやプロジェクターで色を表現する発色方式のことで、光の三原色 Red(赤)・Green(緑)・Blue(青)で色を表現する。 これは「加色混合法」という方式で、 3色が混ざるほどに明るくなり白に近づいていく。光の三原色は発光色となる。プロジェクターは光りを照射しスクリーンに画像を映する。 明るい空間では少し見づらい。

 

光と色の基礎知識 No.12

2.1.5 4つの「ユニークな」色 

Fig1_2_1_4

心理視覚の研究および反対色説、反対色過程色説は、赤 - 緑過程と、黄 - 青過程による軸に起因する4つの「ユニークな」色の概念を導く。これらの説によれば、人間の視覚は錐体と桿体からの色信号を敵対的に処理する。3タイプの錐体は反応する光の波長にある程度のオーバーラップをもっているため、錐体それぞれの反応より、錐体間の反応の差を記録するのが視覚システムにとってより効率的である。反対色説は、赤-緑、青-黄、黒-白の3つの反対色チャンネルがあることを示唆する。ひとつの反対色チャンネルの片方の色への反応はもう一方の色への反応に対して敵対的である。このコンセプトにおいて、観察者にとってユニークに代表的と扱われる6色、赤・緑・黄・青・白・黒は「心理学的原色」と呼ばれるべきもので、なぜなら他のあらゆる色はこれらの組み合わせで説明できるためである。右には、ナチュラル・カラー・システム (NCS) 6色を掲げたが、NCSは顕色系であり、NCSの赤・緑・青は混色系における原色とは異なる。

ここで用いられる色の中で、赤・緑・黄・青の4色を視覚四原色という。

・ヤング=ヘルムホルツの三色説

 ヤング=ヘルムホルツの三色説Young-Helmholtz theory)は、トマス・ヤングの説を、ドイツの生理学者ヘルマン・フォン・ヘルムホルツが発展させた色覚学説の1つをいう。

色覚に赤、緑、青(あるいは紫)の3要素があり、これらが同じ割合で刺激されると白色を感じる。色別は3要素の刺激の比率に応じて生じる、というものである。その後、網膜の色覚受容器である錐状体に、赤、緑、青 (RGB) に最もよく反応する3種が区別された。これらの要素の1つないし2つを欠くと色盲となり、感度の鈍いものは色弱となる。大部分の色盲表やカラーフィルム、カラーテレビはこの説を応用している。

Fig1_2_1_5

・光源色と物体色

物体で反射したときの色は物体色といい、電球などのようにそのもの自身が発光している光源の色は光源色というは、それら両者は本質的に異なる   。

ここでは、物体色と光源色の違いについて、簡単に触れてみます。

Fig1_2_1_6
出典:https://www.konicaminolta.jp/instruments/knowledge/color/section5/17.html(改変)

-定義式の違い

人は物体の色を見る場合、物体を照らしている光源の色、物体そのものの色、人の目の感度の3つの要素が関係している。それに対して、光源の色は、光源のそのものの色と人の目の感度の2つの要素が関係している。

このため、人が感じるのと同じように色を数値で表すための定義式は、物体色と光源色で異なる。

物体色の場合、物体を照らすための照明光源が必要である。また、照明光源が違うと色が違って見えることから光源の色、すなわち照明光源の分光分布を決めて評価する必要がある。光源色の場合、光源そのものの色が知りたいのですから、照明光源は必要ない。

 

光と色の基礎知識 No.11

2.1.3 減法混色

色を表現する媒体のうち、色や光を反射して観る者に色刺激を起こすものは、減法混色を使用して色を作っている。

物体の表面を特定のにする為にインクなどを塗る場合、元の光を遮る形で色を作る。その合成の元になる基本色は一般に「色の三原色」や「色料の三原色」といわれ、次の3色を用いる。

シアン(緑青、碧)

マゼンタ(赤紫、紅)

イエロー(黄)

この3色を合成して着色された物体の表面は、光の三原色の場合と反対に黒色になる。

 

2.1.4 CMYK(四色印刷)

印刷産業では、様々な色を表現するために減法混色の原色であるシアン、マゼンタ、黄色の3色が用いられる。「シアン」や「マゼンタ」という色名が標準的に使われる以前は、印刷の三原色は「青緑」や「紫」、あるいは「青」や「赤」などとも呼ばれていた。正確な三原色は長年の間に、新たな顔料や技術の開発とともに何度も変えられている。

Fig1_2_1_3

減法混色。原色のうち、マゼンタとシアンはそれぞれ紫と青緑、または青と赤とも呼ばれることもある

イエローとシアンを混ぜると緑が、イエローとマゼンタを混ぜると赤が、マゼンタとシアンを混ぜると青が生まれる。理論上は3色すべてを均等に混ぜると灰色になり、3色に充分な光学濃度(光学密度、OD:optical density)があれば黒が生まれるはずである。実際には、暗色になりきれいな黒は作れない。美しい黒を印刷するため、また三原色のインクを節約し消費量と乾燥時間を減らすため、この3色に加えて黒のインクがカラー印刷に使われる。

これはCMYKモデルとよばれるもので、シアン(cyan)、マゼンタ(magenta)、イエロー(yellow)、キー(key)の略語である。キーとは印刷する画像の細部(輪郭や濃淡)を表現するために用いられるキープレートという版の略称で、通常は黒インキ(墨版)が使われる。

実際には、絵具など現存する物質からできた着色料を混ぜることは、より複雑な色の反応を引き起こす。三原色の顔料を混ぜるより、天然の色からできた中間色の顔料を使う方がより明るく彩度の高い色が得られる。また、顔料の持つ天然の性質も混色の過程に干渉する。例えば、黄と青(紫青)の塗料やインクなどの着色材を混ぜると、暗い緑ないし暗いマゼンタができる。これは実際の混色が理想的な減法混色と異なることを意味している。印刷の場合は、三原色の顔料は実際にはあまり混ぜられることなく、網点(ハーフトーン)の状態で印刷され、一定のパターンで配置された各色の微小の網点を見ることにより、混ぜられた色が知覚されることになる。

減法混色では、白色顔料を加えることで一定の効果を挙げられる。着色材の顕色材の量を減らすか二酸化チタンなど反射度の高い白色顔料混ぜることで着色材の色相をあまり変えずに彩度を下げることができる。また、減法混色印刷は、印刷面や紙面の色が白かまたはそれに近い場合、もっとも効果を発揮する。

減法混色のシステムは、RGBのカラートライアングルのように、色度図上で色域を簡単にあらわす方法はなく、色域は三次元のモデルで表現する必要がある。また、二次元の色度図や三次元の色空間でCMYKの色域を表現する試みは非常に多くある。

実際の印刷では、CMYKに加えて蛍光色などの特色インクを用いて色彩表現の幅を広げることが良く行われる。また、パソコン用のカラープリンタでは、以前は低価格機ではコストダウンのためにCMYのみのモデルも存在したが、現在ではCMYKにやはり中間色のインクを加えて色再現性を高めるのが主流となっている。

 

光と色の基礎知識 No.10

2.色彩概論

2.1 原色

 原色primary colors)とは、混色することであらゆる種類のを生み出せる、互いに独立な色の組み合わせのことをいう。互いに独立な色とは、たとえば原色が3つの場合、2つを混ぜても残る3つ目の色を作ることができないという意味である。

人類のにおいては、原色は3つの色の組み合わせであることが多い。たとえば、テレビモニタや照明などで、異なる色の光を重ねて新たな色を作る「加法混色」の三原色は、通常3色である。また、絵具を混ぜたり、カラー印刷で色インクを併置するときに行われる「減法混色」の場合の三原色は、シアンマゼンタイエロー3色である。

原色とされる色の選択は、基本的には恣意的なものである。加法混色の三原色に使う赤・緑・青も多様であり、表現のしやすさなどを考えに入れてさまざまな基準が定められている。また例えば、リュミエール兄弟が開発した初期のカラー写真・オートクロームAutochrome Lumière)では、赤・緑・青のほかにの組み合わせも使われた。

 

2.1.1 生物学的な基礎

原色は電磁波の本質的な要素ではない。原色は、生物の可視光線に対して起こす生理学的反応と結び付けられている。レーザー光のような単色光は別として、天然光や照明などの光は、あらゆる波長の放射エネルギーが合成されており連続的なスペクトルを持つ。その刺激値空間は無限次元にわたるが、人間の目はこれを次のような受容の仕方によって三次元の情報として処理している。

人間の目の奥の網膜には一面に光受容細胞(錐体細胞桿体細胞)があるが、光量が充分な場合は3種類からなる錐体細胞が反応する。錐体細胞には、長波長に反応する赤錐体、中波長に反応する緑錐体、短波長に反応する青錐体の3種類があり、それぞれの波長に最も反応するタンパク質(オプシンタンパク質)を含む。これらが可視光線を感受することで信号が視神経を経由して大脳の視覚連合野に入り、ここで赤・緑・青の3種類の錐体からの情報の相対比や位置を分析し、色を認識している。

人間など、3種類の色覚受容体をもつ生物の色覚は「三色型色覚」(trichromacy)とよばれている。これらの種の生物は、光刺激を3種類の錐体で受けとめ三次元の感覚情報として処理し、あらゆる光の色を3つの原色の混合比として捉える。

色覚受容体の種類の数が違う生物は、異なる数の原色によって色を感じている。たとえば、四色型色覚tetrachromacy)を持つ生物には四種類の色覚受容体があり、四原色の組み合わせで色を認識している。人間は波長780nm(赤)から380nm(紫)の範囲までしか見ることができないが、四色型色覚の生物は波長300nm紫外線まで見ることができ、四番目の原色はこの短波長の範囲にあると考えられている。

鳥類有袋類の多くは四色型色覚を持つが、人間でも女性の中には四色型色覚を持つ人もいる。X染色体にある赤錐体と緑錐体の遺伝子は時として変異により赤・緑のハイブリッドの錐体細胞を作ってしまい色覚障害を起こすことがあるが、女性の場合はX染色体が2つあるため、1つのX染色体でこのような変異が起こってももう一方で正常な赤錐体と緑錐体が作られれば、赤・緑・青のほかに長波長の範囲にもうひとつの原色を認識することになる。人間の色覚受容体が反応する波長は個々人においても多様であり、色覚の「正常」な人の間でも微妙な色覚の差として現れる。人間以外の生物の場合、こうした多様性の幅は大きいが個々の生物はそれに適合していると考えられる。霊長類以外の哺乳類のほとんどは、緑と青の2種類の色覚受容体しか持たないため二色型色覚dichromacy)であり、原色は2色しかない。

大多数の人間のもつ3色型色覚以外の生物の見る世界は色が狂って見える、と考えるのは誤りといえる。そのように生まれた生物にとってはそれが普通な世界の色であり、そうした生物が色を知覚する能力は、人間の色覚の能力とは種類が違うであろう。また、人間にとって自然な色に見えるものは、他の生物たちにとっても自然に見える。しかし、三原色の光を使って人工的に再現した色(たとえば、カラーテレビの画面)を見る場合、人間にとっては自然な色に見えても他の生物にとっては自然な色には見えない。つまり、原色を使って色を再現するときには、再現するものの色覚のシステムに依存した再現がなされる。

 

2.1.2 加法混色

Fig1_2_1_1

色を表現する媒体のうち、様々な色の発光体を組み合わせて観るものの方へ放つことで色刺激を起こすものは、加法混色を使用して色を作っている。この場合、典型的に使われる原色は赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3色である。

白色の光を合成する為の波長を「光の三原色」や「色光の三原色」といい、次の三色を用いる。

 (橙赤)(波長: 625-740 nm

 (波長: 500-565 nm

 (紫青)(波長: 450-485 nm

テレビほかディスプレイ類はこの三原色からなる「RGB」を用いて様々な色を加法混色で作る代表的な例である。原色として用いられる3色は、幅広い色を表現するために色度図上で可能な限り大きなカラートライアングルを描ける色相・純度の色であり、蛍光体や燐光体の手に入りやすさ(またはコストや使用電力など)も加味して選ばれている。ITU-Rの勧告BT.709-2ITU-R BT.709-2)で定められたsRGBは、その例である。

Fig1_2_1_2

赤と緑の光を重ねて投影すると黄色橙色茶色の影ができる。緑と青の光を重ねるとシアンの影が、赤と青の光を重ねるとマゼンタの影ができる。3つの原色を等しい割合で重ねると、灰色および白色の影ができる。こうして生成される色空間を、RGB色空間という。

国際照明委員会CIE)が1931に定めたCIE標準表色系CIE 1931 color space)は、単色の原色の定義に当たりその波長を435.8nm(青)、546.1 nm(緑)、700 nm(赤)とした。    カラートライアングルの各頂点(三原色)は、色度図に描かれた馬蹄形の曲線上(最も彩度の高い「スペクトル色」の軌跡)に置かれ、可能な限りの大きさ(色の幅の広さ)を実現している。しかし、このトライアングルにある赤と紫の限界の波長を現行のディスプレイで表現するには発光効率が非常に低くなるため、この三原色を実際に使うディスプレイ類は、存在しない。

光と色の基礎知識 No.9

1.2.7 色温度

 色温度とは、ある光源が発しているを定量的な数値で表現する尺度(単位)である。単位には熱力学的温度K(ケルビン)を用いる。

・概説

色温度は、表現しようとする光の色をある温度(高熱)の黒体から放射される光の色と対応させ、その時の黒体の温度をもって色温度とするものである。

どのような物質も、高熱を加えると、その温度によってさまざまな波長放射するようになる。その色合いは、物質ごと、温度ごとに微妙に異なる。たとえば、の釘など金属をガスの炎で加熱すると光を発するようになる(実際には温度を持っていればオレンジよりも波長が長い赤外線、遠赤外線などをわずかに発している)。最初はオレンジ色であり、だんだん白く輝くようになる。

一般的な感覚とは逆に、寒色系の色ほど色温度が高く、暖色系の色ほど色温度が低い。これは、日常的に目にする赤い炎は、炎としては最も温度が低いものだからである。

・色温度の単位

理想的な黒体を想定すると、ある温度において黒体が放射する光の波長分布を導き出すことができる。温度が低い時は暗いオレンジ色であり、温度が高くなるにつれて黄色みを帯びた白になり、さらに高くなると青みがかった白に近くなる。このように、白という色を黒体の温度で表現することができるのであり、この温度を色温度と呼ぶ。

Fig1_1_2_18
(このカラーチャートは概略図であり、特に物体を特定して色温度を計算したものではない。理論式については プランクの法則 を参照のこと。)

朝日や夕日の色温度はおおむね2000 Kであり、普通の太陽光線は、50006000Kである。澄み切った高原の空の正午の太陽の光はおおよそ6500 Kといわれている。これらは、一般に考えられている白より、かなり黄色っぽい(実際に物体を照らす光は大気の青色がかなり色味を中和しているためで、6500 Kよりも高い色温度のほうが「白」く感じられる)。

・色の再現性

写真やテレビ、パソコンのモニタなどでは、色温度は色の正確な再現のために重要である。写真撮影では、スタジオ撮影のライトが3200 K、太陽光線が5500 Kと想定されており、フィルムはこの色温度の照明下で最適な色再現ができるよう作られている。

色彩工学では「標準の光D65」が現在の事実上の標準であり、これは色温度6500 Kである。アメリカのカラーテレビ(NTSC)では色温度基準は、6500 Kで、日本のテレビ (NTSC-J) の色温度基準は9300 Kであり、かなり青みがかっている(当然ながら色再現上の問題がある)。

パソコンのモニタは9300Kが主流であるが、極端な廉価品を除き、6500 K5000 K に変更できるため、デザインや映像制作などの都合で適切な色温度を選べる。また、鋭く青白い 9300 Kの設定から温和な6500 K5000 Kに変えれば疲労感が和らぐので、色彩についての正確さが厳しく要求されない場面でもこの機能は有用である。PowerStrip のようなソフトウェアでもパソコンの色温度が調整できる。

・色温度と視覚

人間の視覚における色の認識と色温度とは比例関係にない。そのため、人の感じ方により近い表現として、色温度の逆数である逆色温度を使う方法がある。逆色温度はケルビンでの値の逆数の K−1(毎ケルビン)ではなく、それを100万倍したミレッド (M) または毎メガケルビン (MK−1) を使う(呼び名は違うが大きさは同じ単位である)。

屋内照明として広く利用されている蛍光灯は主に「電球色」「温白色」「白色」「昼白色」「昼光色」に分類されており、順に約3000 K3500 K4200 K5000 K6500 Kである。これらは、それぞれ 333 MK−1286 MK−1238 MK−1200 MK−1154 MK−1 となり、全て差が 40–50 MK−1 前後になり色の変化が一定に感じられる。色温度が高いと間隔が広いのに中間の色温度の蛍光灯があまりないのはこのためである。前記のうち「電球色」「昼白色」「昼光色」が一般に販売されている。

・色温度の種類

色温度とは、太陽光や自然光、人工的な照明などの光源が発する光の色を表すための尺度のことである。単位はケルビン(K)である。光源の温度や明るさとは関係ない。

色温度の単位(K)が低いほど暖色系の色を発し、高いほど寒色系の色を発する。

自然光などの朝日や夕日の色温度は、およそ2000K、太陽光は 50006000K程度、人工照明では、ろうそくが約2000K、白熱電球や電球色の蛍光ランプが約2800K、昼白色の蛍光ランプが約5000K、昼光色の蛍光ランプが約6500Kである。

Fig1_1_2_19
・相関色温度

 相関色温度とは、光源色と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表したものである。色温度、相関色温度は、ともに光源の光色(青っぽい、赤っぽいなど)を表す尺度であるが、厳密には、それぞれの用語の意味するところは異なる。光源の色度が黒体放射軌跡上にある色度と一致した場合に、その色度を有する黒体の温度で光源の色度を表すとき、これを色温度という。しかし、実用的な光源(蛍光ランプなど)の色度は、黒体放射軌跡に隣接して分布するものの、完全には一致しない。そこで、光源と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表示することが、実用的に行われる。これを相関色温度という。

※色度図上の距離が、知覚的な差と相関がとれるように工夫されたUCS色度図(CIE1960 UCS色度図)上に描かれた黒体放射軌跡に対して、光源の色度点から垂線を下ろし、黒体放射軌跡と交わる点の色温度から、相関色温度を求めることができる。

相関色温度は、光源と最も近い色に見える黒体放射の色(温度)で表示する方法であるため、一般照明用ランプのように、黒体放射軌跡近傍の白色に近い光源色を表すのに便利である。

黒体放射軌跡からの偏りがある場合には、UCS色度図上での距離で示し、併記することがある。

Fig1_1_2_20
 また、2つのランプの光を比較する時、以下に注意すべきである。

     相関色温度が同じランプでも、光の色が違って見えることがある(色度が違うランプの時:相関色温度が同じでも、黒体軌跡との離れ具合が違うと、光の色が違う)

     色度や相関色温度が同じランプでも、演色性が違うことがある(分光分布が違うランプの時)

・色の見え

Fig1_1_2_21色の見え方は、環境条件によって異なる。つまり、光の違いによって、色は見え方が異なってくる。

まず、光と色の関係を考えてみると、光は電磁波の一種で、人間が見ることができる可視光線と言う範囲がある。その光が、ものにあたって反射、あるいは吸収されることのよって色が見えてくる。光がなければ色は見えず、光のもと、すなわち光源が重要なわけである。光がなければ色は見えず、光のもと、すなわち光源が重要なわけである。また、光源(光)には色温度という色成分を持っているので、使用する光の性質によって色の見え方が異なる。例えば、環境光は暗い部屋でPCの画面を見るとよりはっきりした忠実な色で見えるが、蛍光灯の下では青っぽい色(昼光色)に見える。これは6,000K程度の光源で見たためにその色温度が作用したものである。同様に、白色電球の下では少しオレンジがかった色(電球色)に見える。これは3,000K程度の光源で見たためその色温度が作用したものである。

Fig1_1_2_22 例えば、色を見る時、「正確」な色を判断する場合には、何らかの基準の光源が必要になってくるので、国際照明委員会が規定した、タングステン電球に近いA光源、太陽直射光に近いB光源、昼光に近いC光源、さらに自然光に近い合成昼光D光源という「標準の光」を用います。基本となっているのはすべてのエネルギーを連続して持っている太陽の光とされており、測色用の機器などでは、それに近い波長をもっている標準光D65という光源が用いられていることが多いでしょう。また、光源について、太陽光にどれだけ近いかを「演色性Ra」と言う数値で評価しています。野菜など自然の色等は、演色性の高いランプを用いると生き生きとして熟したおいしさを感じさせてくれます。機器を使わず、目で見て測定する場合は、昼光の北窓が良いとされています。光の変化が少なく安定して見えるからです。陽の光を直接受けた場合、反射する光の量が多すぎて光るような状態になり、淡い色等は見えなくなってしまいます。外での色彩の調査をする場合には、晴天より薄曇りで周辺全体に光が柔らかく拡がっている状態のほうが色を見やすいのです。

Fig1_1_2_23
  カラーチャートは、「色」の「表」、つまり色見本を配列した板状の物体であり、画像システムの色彩再現性をチェックするなど色の比較・測定に用いる。デジタルカメラやスキャナーなどのグラフィック機器を較正したり特徴を明らかにするのに使われる。

光に照らされたときの、物体の色の見え方を「演色性」という。

照明用の白色LED製品には、この演色性を数値で表す「平均演色評価数(Ra)」という値が記載されていて、 この値が100に近いほど、本来の自然の色を再現できる性質が高いと言われている。

演色性は、われわれが普段から見慣れている 自然光に近い光を基準として、それからどれくらい違って見えるのか が数値で評価されます。そして、これにより求められた数値を 「演色評価数」 といいます。

物体の様々な色を代表させた、下図のような「色票」という試験色がある。

演色評価数は、実際に色票を、JISで決められている基準光と、対象となる照明(試料光)とで照らした時に、 どれくらい色のずれがあるかを数値で表したものである。

演色評価数は、基準光で照明したときを100として、ずれが大きくなるほど数値は小さくなります。

つまり、数値が大きいほど(100に近いほど)対象物を自然な色合いに見えるように照明できるということになる。

Fig1_1_2_24
  演色評価数の測定は、物体の様々な色合いを代表させたNo.1No.15の色票を使って、個々の演色評価数が求められる。 これらを、特殊演色評価数Rii115)という。

このうち、R1R8の数値を平均した値を「平均演色評価数(Ra)」 といい、通常はこのRaの数値が演色性を代表した値として、製品に記載されている。

※演色評価数は、あくまで色の再現性の高さを表したもので、好ましく見えるかどうかとは関係がなく、演色評価数が低くても、 照明対象物やシーンによって好ましい色に見える場合もある。

JIS(日本工業規格)とは、日本の工業製品に関して、工業標準化法に基づいて定められた日本の国家規格のことをいう。

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